「フィッツウィリアム・ヴァージナル・ブック」の版間の差分

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当時の鍵盤楽曲集の多くは演奏者によって編纂されていた。他の例として、ウィル・フォースターのヴァージナル曲集(''Will Forster's Virginal Book'' )、クレメント・マチェットのヴァージナル曲集(''Matchett's Virginal Book'' )、ウィリアム・ティスデイルのヴァージナル曲集(''Tisdale's Virginal Book'' )、アン・クロムウェルのヴァージナル曲集(''Anne Cromwell's Virginal Book'')などが挙げられる。[[1612年]]に『パーセニア』(''Parthenia'' )が出版されるまで、当時のイングランドでこの種の曲集というものは出版されなかった。
 
収録作品の年代は、[[1562年]]ごろから[[1612年]]ごろまでの半世紀にまたがっており、[[ウィリアム・バード]]、ピーター・フィリップス、[[ヤン・ピーテルスゾーン・スウェーリンク]]、[[ジョン・ブル (作曲家)|ジョン・ブル]]、[[ジャイルズ・ファーナビー]]らの作曲家が名を連ねている。収録数は300298以上に及ぶ。当時の鍵盤楽曲の筆写譜の通例として、どの曲も特定の楽器は指定されてはいないが、[[ヴァージナル]]、[[チェンバロ]]、[[クラヴィコード]]、[[オルガン]]など、当時の鍵盤楽器のどれでもよく演奏できる。収録曲はたいてい小品で、多くはひょうきんで印象深い題名がついている。[[ジャイルズ・ファーナビー]]作曲の《剣を収めてくれよ、ジェミー》(''Put up thy Dagger, Jemy'')、《新しいサ・フー》(''The New Sa-Hoo'')、《クォドリングの楽しみ》(''Quodlings Delight'')、[[リチャード・ファーナビー]]の《誰のためでもないジグ》(''Nobody's Gigge'')、ウィリアム・バード作曲の《お化け》(''The Ghost'')、《オックスフォード伯爵の行進曲》(''The Earle of Oxford's Marche'')、[[トマス・トムキンズ]]作曲の《ウスターのどんちゃん騒ぎ》(''Worster Braules'')、作者不詳の《パキントンの報酬》(''Pakington's Pownde'')、《アイルランドの憂鬱なダンス》(''The Irishe Dumpe'')などはその例である。ジャイルズ・ファーナビー編曲による[[ジョン・ダウランド|ダウランド]]の《涙のパヴァーヌ》も収録されている。[[ジョヴァンニ・ピッキ]]の《トッカータ》や[[オーランド・ギボンズ]]の《パヴァーヌ》など、この曲集のみによって伝えられている作品も少なくない。
 
この曲集は当時は出版されず、個人蔵となっていた。[[1899年]]に[[ブライトコプフ・ウント・ヘルテル]]社が、校訂報告つきで新たに出版譜を発表した。この版は権利が失効したため、ドーヴァー社などによって著作権切れの版が復刻され、廉価で購入できるようになった。