「マクスウェルの悪魔」の版間の差分

削除された内容 追加された内容
→‎シラードのエンジン: 収縮を(波動関数の)収束に変更。
47行目:
ところが、悪魔が R となり上図の上段の経路を通ったか、L となり下段の経路を通ったかを知ろうとして、(b) において(おそらくはエネルギー散逸なしで)実験者 {{Mvar|X}} が悪魔の状態を観察するかもしれない。 これによって例えば {{Mvar|X}} が悪魔の状態を R だと知ったときには相空間での可能な状態は、図の赤い部分だけに減るように思われ、内部エントロピーの変化は、順に (a) 1 → (b) 0 → (c) 1 → (a) 1 となる。 このときはあたかも観測でエネルギー散逸が必要で、消去にエネルギー散逸は必要なくなったように思われる。 しかし、この場合には実験者 {{Mvar|X}} がメモリを観測したために'''実験者自身が悪魔として'''気体との相関をもってしまっており、サイクルは完結していない。 {{Mvar|X}} の観察結果を知らない人からみれば、やはり {{Mvar|X}} がその記憶を消去するときにエネルギー散逸が必要となる。 このことはエントロピーが観測者の知識に依存した観測者相対の概念であることを明瞭に示している。
 
なお、この観測過程を[[量子論]]における収縮(収束、崩壊)を伴う量子状態の観測だとみなすと、この議論は[[シュレーディンガーの猫]]に類似している。 このとき、悪魔と分子の位置の相関は猫の生死の状態と同位体の崩壊の状態との[[EPR相関]]に対応し、それを外から見ることは猫の生死の重ねあわせを認める[[観測問題]]の[[エヴェレット解釈]]に、悪魔の状態を実験者が観察することは収を認める立場に対応づけることができる。
 
== 現実の世界とマクスウェルの悪魔 ==