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ブーツィ・コリンズ
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[[File:Red Hot Chili Peppers - Rock in Rio Madrid 2012 - 11.jpg|640*427px|thumbnail|right|[[ベーシスト]]の[[フリー (ミュージシャン)|フリー]]はロック的なスラップ奏法を見せる。]]
'''スラップ奏法'''(スラップそうほう)は、[[ベース (弦楽器)|ベース]]の[[奏法|演奏方法]]のひとつ。'''スラッピング'''({{lang-en-short|''slapping''}})とも呼ばれる。チョッパーは日本における用語である{{要出典|date=2019年7月|}}。「''Slap''」とは[[英語]]で「'''(平手で)打つ'''」という意味の[[動詞]]である。
 
== 概要・アップライトベースにおけるスラップ奏法 ==
電気を通していないベースは、アップライト・ベース、ダブル・ベース、ウッド・ベースなどと呼ばれる。これらは[[コントラバス]]と同じだが、コントラバスは[[クラシック音楽]]において、弓を使用して演奏される。奏法としては以下のような奏法が存在する。
* 指で弦を引っ張り垂直に離す事で[[指板]]に当て、実音([[音程]])と同時にスラップ音を発生させる奏法(クラシック音楽の奏法における[[ピッツィカート#バルトーク・ピッツィカート|バルトーク・ピッツィカート]]と類似しているが、厳密にはスラッピングとは異なる)。
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いずれの奏法も[[弦 (楽器)|弦]]を指板上に叩き付ける事で[[スネアドラム]]の[[リムショット]]のような音が鳴り、通常の音色(実音)に打楽器的な表現を加える事が出来る。古くは[[拡声器]]の無い頃、スウィング・ジャズの[[ビッグバンド]]でベース奏者が大きな音を出すために用いたが、後に[[ロカビリー]]<ref>http://www.artofslapbass.com/</ref>、ネオ・ロカビリー、[[サイコビリー]]、ジャズ、[[カントリー]]その他で使用されるようになる。初期は1920年代から30年代のスウィング・バンド、スウィング・オーケストラで使われた。
 
== 詳細・エレクトリックベースにおけるスラップ奏法 ==
[[エレクトリックベース]]においてのスラップ奏法は、[[親指]]で弦を叩くようにはじく動作(サムピング、{{lang-en-short|thumping}})と、人差し指や中指で弦を引っ張って指板に打ちつける動作(プリング、{{lang-en-short|popping}})があり、この二つの動作を組み合わせる事で[[打楽器]]のようなパーカッシブな効果が得られる。基本的な弾き方としてはサムピングで低音弦、プリングで高音弦を奏する。
 
誕生以来、主に[[ファンク]]で聞かれたが、現在では様々な音楽ジャンルの楽曲で使われているようになった。スライ&ファミリー・ストーンのメンバーだった[[ラリー・グラハム]]<ref>http://www.allmusic.com/artist/larry-graham-mn0000130402</ref>は、自身がドラムレスの[[バンド (音楽)|バンド]]で低音弦のサムピングを[[バスドラム]]、高音弦のプリングをスネアに見立て奏したのが始まりだと語っている(ただし彼はスラップという言葉は用いず「Thumbpin'& pluckin'」と呼ぶ)。しかし、スラップの元祖には異論が多くあり、同時期の音楽シーンで自然発生したのではないかとの見方もある。他にブーツィ・コリンズ<ref>{{cite web |url={{Allmusic |class=album |id=r31268 |pure_url=yes}} |title=Stretchin' Out in Bootsy's Rubber Band – Bootsy's Rubber Band |website=AllMusic | accessdate=11 August 2020}}</ref> 、バーナード・エドワーズ、ルイス・ジョンソンらが、スラップ奏法のベーシストとして知られている。
 
楽器を腰より上に構えるか([[ラリー・グラハム]]、[[マーカス・ミラー]]等、[[ファンク]]、ジャズ・クロスオーバー系に多い)、腰より下に低く構えるか([[TMスティーブンス]]等、ロック系に多い)で親指の角度と共に奏法が変わる。そのため、低く構えるベーシストの中にも複雑なスラップ奏法の際にはモニタ・スピーカや台に足を乗せ、高く構えた時と同様の高さに持ち上げるベーシストもいる。
 
== 主なベーシスト ==
* Mark Adamsマーク・アダムス (funk band Slave)
* James Alexanderジェームス・アレキサンダー (The Bar-Kaysバーケイズ), "Shut The Funk Up", 1977
* [[ブーツィ・コリンズ]] (solo artist; Bootsy's Rubber Band, [[ファンカデリック]], Parliament)
* マーヴィン・クレイグ (レイクサイド)
* Nathan East ネイサン・イースト(ボビー・ウーマック、Daft Punkなど)
* バーナード・エドワーズ (Chicシック)
* ジョニー・フリッピン(ファットバック)
* Johnny Flippin (Fatback Band)
* ラリー・グレアム<ref>http://larrygraham.com/home</ref> (Sly and the Family Stone, Graham Central Station)
* ルイス・ジョンソン
 
== 日本における「チョッパー奏法」 ==
日本におけるスラップ奏法の始祖は、米軍基地でアメリカ人の演奏を見てスラップ奏法を始めたジャズ、ロカビリーのベーシストが存在し、誰が最初に始めたかを特定するのは困難である。ただ、[[田中章弘]](鈴木茂&ハックルバック)は自身の証言として「日本で最初にチョッパー(スラップ)を始めたのは誰なのかと検索すると[[後藤次利]]って出て来るのね。でもボクの方が先です」[https://www.chuckrainey.jp/encyclopedia/4696/]と語っている。日本のスラップ・ベース奏者で、ファンキーな特徴をよく表現しているのは、美乃家セントラル・ステイションに在籍した六川正彦、福田郁次郎がまずあげられる。他にオーサカ・モノレールの大内毅、中村大らもいる<ref>http://osakamonaurail.com/news/2015/01/post-58.html</ref>。
 
{{要出典範囲|date=2019年7月|日本の音楽界に広がったスラップ奏法は、日本独自表現著名にした曲は、[[1975年]]の「チョッパーズ・ブギ(ベースは[[後藤次利]])いう説呼ばれた、英語では「Slapping・スラッピング」が一般的である。日本においてただし、ラリー・グラハムが自身の教則ビデオ内でスラップなど他名称を俗に並べ「チョッパー」というぶのはこの曲が起源とされ紹介してい当時一部教則などでスラップ奏法に特有の呼称が無かったため、」と「チョッパー」を別の演として広ま紹介す事にな場合もあるが、これは日本独自の解釈であ}}
 
日本の音楽界に広がったスラップ奏法は「チョッパー」と呼ばれたが、英語では「Slapping」が一般的である。ただし、ラリー・グラハムが自身の教則ビデオ内でスラップなど他の名称と並べ「チョッパー」という呼称も紹介していた。一部の教則本などでは「スラップ」と「チョッパー」を別の演奏方法として紹介する場合もあるが、これは日本独自の解釈である。
 
2014年のTV番組「[[魁!音楽の時間|魁!ミュージック]]」(フジテレビ)内の企画「魁!四弦組合」で出演者が語ったところでは、親指を弦に打ち付ける時に親指が下を向いているのは「スラップ」上を向いているのは「チョッパー」としていた。この時、親指が下を向いているという事でスラップ、ゲストの[[亀田誠治]]は上を向いているという事でチョッパーと定義していたが、これらは誤りであり、裏付けの無い独自な解釈である。外国ではスラップ、日本ではチョッパーと呼んでいる、が正しい{{要出典|date=2019年7月|}}。
 
注意点として、エレキ・ベースでのスラップ奏法は、瞬時に高いエネルギーの信号を発生させるため、[[ロック (音楽)|ロック]]等で顕著な大音量で弾いた際に[[スピーカー]]を故障させたり、[[真空管]]を用いた[[アンプ (楽器用)|アンプ]]に至ってはアンプその物を故障させる可能性がある。そのためスラップ奏法を行う際は右手のコントロールで確実にダイナミクスを調整するか、音量を抑える[[リミッター (音響機器)|リミッター]]、[[コンプレッサー (音響機器)|コンプレッサー]]等の[[エフェクター]]を使用して、過大入力を防ぐ事を考慮しなければならない。