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水素分子は、それぞれの[[原子核]]([[陽子|プロトン]])の[[核スピン]]の配向により、オルト(ortho)とパラ(para)の2種類の異性体が存在する<ref name="Lee" />。オルト水素は、互いの原子核のスピンの向きが[[平行]]で、パラ水素ではスピンの向きが反平行である。この2つは、化学的性質に違いがないが、物理的性質([[比熱]]や[[熱伝導率]]など)がかなり異なる。これは内部エネルギーにある差によるもので、パラ水素側が低い<ref name="Lee" />。統計的な重みが大きいほうをオルトと呼ぶ。
 
常温以上では、オルト水素とパラ水素の存在比はおよそ3:1であるが、低温になるほどパラ水素の存在比が増し、[[絶対零度]]付近ではほぼ100パーセントパラ水素となる<ref name="Lee" />。ただし、このオルト-パラ変換はスピン反転を伴うために、触媒を用いない場合極めて遅く、触媒を用いずに水素を液化すると、液化した後もオルト-パラ変換に伴い両者のエネルギー差に相当する熱が発生するため、液化水素が気化してしまう。これを水素のボイル・オフ問題という。<ref>{{Cite web|title=<研究例紹介>液化水素用水素分子核スピン転換触媒の開発 {{!}}マルチスケール機能集積研究室 北海道大学大学院工学研究院附属エネルギーマテリアル融合領域研究センター|url=https://labs.eng.hokudai.ac.jp/labo/LIFM/hydrogen.html|website=labs.eng.hokudai.ac.jp|accessdate=2020-06-10}}</ref>オルト‐パラ変換を起こす[[触媒]]は、[[活性炭]]や鉄などの金属の一部、常磁性物質またはイオンなどがある<ref name="Lee" />。
 
== イオン ==
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ヒドリドは塩基として作用する場合と[[還元剤]]として作用する場合がある。これを[[ヒドリド還元]]というが、それは金属と還元を受ける化合物との組み合わせにより変化する。ヒドリドの[[標準酸化還元電位]]は&minus;2.25Vと見積もられている。
: <chem>H2(g)\ + 2\mathit{e}^- -> 2H^-(aq)</chem>
 
 
ヒドリドの発生源としては、代表的なものとしてNaBH<sub>4</sub>やLiAlH<sub>4</sub>(通称LAH)がある。これらの化合物のBH<sub>4</sub><sup>-</sup>やAlH<sub>4</sub><sup>-</sup>からはH<sup>-</sup>が脱離する。この反応は有機合成の時に非常に便利であり、例えば、炭素間二重結合に対して反マルコフニコフ付加を施したい時に有効である。
 
=== 周期表上の位置 ===
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* [[溶接]] - 水素分子をいったん2つの水素原子に[[解離]]させ、それを再結合させると多量の熱を発生する。これを利用した金属溶接法がある<ref name="Lee" />。
* その他 - [[テクニカルダイビング]]や軍隊などで大深度潜水時の使用が試みられたが、同時に酸素も用いられるために爆発の可能性が使用中につきまとうなど、危険であるため使用されていない。
* [[標準水素電極]]が[[標準電極電位]]の基準として用いられている。
 
=== エネルギー利用 ===
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2019年12月10日現在、水素の医療利用に関係する学術論文は600報を超える<ref>{{Cite web|url=http://www.e-miz.co.jp/file/documents2.8_ja_black.pdf|title=「水素分子の各種疾患又は疾患モデルに対する 効果を報告した文献一覧」MiZ株式会社|accessdate=2020年2月18日|publisher=}}</ref><ref>{{Cite web|title=A “philosophical molecule,” hydrogen may overcome senescence and intractable diseases|url=http://www.medgasres.com/article.asp?issn=2045-9912;year=2020;volume=10;issue=1;spage=47;epage=49;aulast=Hirano|website=www.medgasres.com|accessdate=2020-03-16|last=Hirano}}</ref>。
 
==== 水素の商品利用 ====
巷の水素水なるものの商品の中には、明確な根拠を示さないまま、あたかも水素が含まれていることで大病が治るかのようなプロモーションがなされていることがある。しかし、水素の効能がきちんと定義されていないため、盲目にプロモーションを信じてしまうことはトラブルの元になりかねない。このような情報に惑わされるのではなく、消費者個人個人が情報の正しさを判断していくことが望ましい。
 
== 宇宙における水素の反応 ==
宇宙空間は、私たちが日頃暮らしを営む環境とは大きく異なるため、全く異なる現象が起こる。水素の場合も例外ではない。例えば惑星大気の上層部分では、水素に高エネルギー電子が衝突することによって、三水素イオンが生成する。
 
<chem>H2(g) + e- -> H2+(g) + 2e-
</chem>
 
<chem>H2+(g) + H2(g) -> H3+(g) +H(g)</chem>
 
この三水素イオンは、宇宙空間のような低圧条件では安定して存在できる。このイオンは惑星大気の分析に用いられる。このイオンの濃度を調べることで、その惑星の上層大気についての情報を得ることができる。
 
== 水素と似た粒子 ==