「弦楽四重奏曲第2番 (メンデルスゾーン)」の版間の差分

削除された内容 追加された内容
編集の要約なし
楽譜の出版年の根拠をIMSLPの記述とされていましたが、ヘンレ社の序文に詳しい出版の経緯が書かれており、それによればIMSLPの記述は間違っております。
9行目:
この曲全体を統一する動機には、メンデルスゾーンが数か月前に作曲していた[[ピアノ]]伴奏による[[バリトン]]のための歌曲『本当に?』(''Ist es wahr?'')作品9-1からの引用が行われている。この曲はヨハン・グスタフ・ドロイゾン(Johann Gustav Droyson)の詩に基づくもので「きみがいつも木陰を散策する私を待っているというのは本当か」といった内容である。メンデルスゾーンは弦楽四重奏曲の楽譜の表紙にこの歌曲の題を書き入れており、これはベートーヴェンが『[[弦楽四重奏曲第16番 (ベートーヴェン)|弦楽四重奏曲第16番]]』の終楽章に「Muss es sein?」(かくあらぬか)と書き入れたことを思い起こさせる。しかし内容的には、内省的で[[実存主義]]的なベートーヴェンの楽曲とは異なり、メンデルスゾーンのそれは豊かなロマン性を有している。研究者のルーシー・ミラー(Lucy Miller)は「(略)ベートーヴェン後期の作曲技法に大きく依存するこの四重奏曲は、[[古典派音楽|古典派]]の形式感と[[ロマン派音楽|ロマン派]]の表現を橋渡しするものである。」と記している<ref>Miller, Lucy (2006) ''Adams to Zemlinsky'' Concert Artists Guild ISBN 1-892862-09-3, p. 168</ref>。
 
この曲のように大部分が短調で書かれ、性格的にも暗く、開始楽章と終楽章が共に短調であるというのは、当時の弦楽四重奏曲の慣習からは遠い冒険的な試みであった。総譜は1827まず1830年にパート譜が[[ブライトコプフ・ウント・ヘルテル]]社から、総譜は1843年に同じくブライトコプフ社から出版された。<ref>{{Cite webbook|url=http://imslp.org/wiki/String_Quartet_No.2,_Op.13_(Mendelssohn,_Felix) 和書|title=IMSLPStreichquartett Op.12, Mendelssohn ''String Quartet NoOp.2'' 13|accessdatedate=2014-1-4|year=|publisher=Henle}}</ref>ヘンレ社からも原典版が刊行されている。
 
== 演奏時間 ==
33行目:
</score>
 
序奏部を終えると[[ヴィオラ]]の[[演奏記号#装飾記号|トリル]]で接続され、曲はアレグロ・ヴィヴァーチェ、イ短調の主部に入る。ここまでの開始部分の構成は、やはりアダージョで始まり続いて16分音符による第1主題と叙情的な走句が見られるベートーヴェンの『[[弦楽四重奏曲第15番 (ベートーヴェン)|弦楽四重奏曲第15番]]』と類似している<ref group="注">さらに詳細な比較分析については次の文献を参照のこと。Gregory John Vitercik, ''The Early Works of Felix Mendelssohn: A Study in the Romantic Sonata Style'' (1992) Taylor & Francis, ISBN 2-88124-536-6, pp 227-229; and Uri Golomb, "[http://cantab.academia.edu/UriGolomb/Papers/506679/_Mendelssohns_creative_response_to_late_Beethoven_Polyphony_and_thematic_identity_in_Mendelssohns_Quartet_in_A-major_Op._13_ Mendelssohn's creative response to late Beethoven: Polyphony and thematic identity in Mendelssohn's Quartet in A-major Op. 13]", ''Ad Parnassum: A Journal of Eighteenth- and Nineteenth-Century Instrumental Music'', Volume 4, Issue 7 (April 2006): 101-119.</ref>。主部では4/4拍子になり、やはりヴィオラに先導される形で第1主題が出される(譜例3)。
 
譜例3