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インドのヒンドゥー教信者なら誰でも知っている女性
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| caption2 = ラーダーとクリシュナ<br />([[ラヴィ・ヴァルマ]]画・1890年)
}}
==伝説==
'''ラーダー''' ('''Rādhā''') は、[[インド神話]]に登場する美しい牧女(ゴーピー)。ヴリンダーヴァナの牛飼いアーヤナゴーシャの妻<ref>インド神話伝説事典 菅沼晃 東京堂出版 1985年 p339</ref>。[[ラクシュミー]]女神の化身であるともいわれる<ref>クリシュナはヒンドゥー教の主神の[[ヴィシュヌ]]の化身であり、ラクシュミーはヴィシュヌの妻である。ヒンドゥー神話の神々 立川武蔵 せりか書房 2008年 p288。</ref>。ヒンドゥー教の数ある神々の中で最も親しまれている英雄である[[クリシュナ]]の恋人。伝説によれば、幼いクリシュナは悪王カンサの追及から逃れるために牛飼いのカンダに預けられて育ち、青年になると非常にハンサムな男子になったので多くの牛飼いの娘たちに愛されたが、クリシュナが最も愛した牧女がラーダーであった<ref>インド神話伝説事典 菅沼晃 東京堂出版 1985年 p139-141</ref>。
 
ラーダーの名前は古い「バーガヴァタ・プラーナ」には出てこないが、9世紀頃からクリシュナの恋人として知られるようになり、12世紀頃の詩人[[ジャヤデーヴァ]]が『[[ギータ・ゴーヴィンダ]]』において、ラーダーとクリシュナの恋を官能的に描いたことで有名になった<ref>ギータ・ゴーヴィンダは、恋人でありかつ帰依者であるラーダーのクリシュナへの愛情を描いたものである。</ref>。現在のインドでもクリシュナとラーダーの愛を描いた細密画は非常に多い<ref>ヒンドゥー神話の神々 立川武蔵 せりか書房 2008年 p162</ref>
 
==クリシュナとラーダーの愛に対する信仰==
ラーダーは年長の既婚の女性であり、クリシュナとの愛は世俗的には不義となる。しかし笛の名手であるクリシュナが夜に吹く笛の音にひかれて外出するラーダーの行動は、神への純粋な親愛の表れであって伝統的な社会的義務を超えるもので、「人間の最高の精神性である個我の神に対する希求の感情」とされる<ref>ヒンドゥー教の事典 東京堂出版 2005年 p127</ref>。
クリシュナチャイタニヤ(1488-1533)は、ラーダーとクリシュナの愛情を中心課題とする「ガウリーヤ・ヴァイシュナヴァ派」を樹立した。この派の協議では、両者の愛情は極めて官能的であるが超越的で現世的でない愛情とされ、「ラーダーとクリシュナの神々しい愛の遊戯(リーラー)を精神的な、すなわち完成された体で至福感を伴って常に経験すること」が[[解脱]]であるとしている<ref>ヒンドゥー教の事典 東京堂出版 2005年 p126</ref>。
 
 
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File:Radha and Krishna (Myths of the Hindus).jpg|ラーダーとクリシュナ(1914年画)