削除された内容 追加された内容
節名を「歴史・起源」に変え、概要の一部を移動して補筆
「特徴」が概要や歴史と重複してたので整理、テンプレ追加(主な業者は追って整理します)
1行目:
{{otheruses|和菓子|池などの上に設置される木製の橋|橋#特殊な橋}}
{{Infobox prepared food
[[画像:Yatsuhashi 20160422.JPG|サムネイル|240px|八ツ橋(井筒八ッ橋本舗製)]]
| name =
| enname =
| image = 画像:Yatsuhashi 20160422.JPG
| caption = 八ツ橋(井筒八ッ橋本舗製)
| alternate_name =
| country = {{JPN}}
| region = 不詳
| national_cuisine =
| creator = 不詳
| year = 一説には[[1689年]](元禄2年)
| mintime =
| maxtime =
| type = 和菓子
| course =
| served =
| main_ingredient = 米粉・砂糖・[[シナモン|ニッキ]]
| minor_ingredient =
| variations =
| serving_size =
| calories =
| protein =
| fat =
| carbohydrate =
| glycemic_index =
| similar_dish =
| other =
| complexity =
| reference =
}}
{{Infobox prepared food
| name = 生八ツ橋
| enname =
| image = 画像:Yatsuhashi nama.jpg
画像:Yatsuhashi nama.jpg| caption = 生八ツ橋<br>([[シナモン|ニッキ]]風味)
| alternate_name =
| country = {{JPN}}
| region = 不詳
| national_cuisine =
| creator = 不詳
| year = [[1960年]]頃
| mintime =
| maxtime =
| type = 和菓子
| course =
| served =
| main_ingredient = 米粉・砂糖・ニッキ
| minor_ingredient = 小倉餡・[[抹茶]] 等
| variations =
| serving_size =
| calories =
| protein =
| fat =
| carbohydrate =
| glycemic_index =
| similar_dish =
| other =
| complexity =
| reference =
}}
'''八ツ橋'''(やつはし、'''八橋'''・'''八つ橋'''・'''八ッ橋'''とも記す)は、[[京都]]を代表する[[和菓子]]の一つである。
 
== 概要 ==
米粉・砂糖・[[シナモン|ニッキ(肉桂、シナモン)]]を混ぜて蒸し、薄く伸ばした生地を焼き上げた堅焼き[[煎餅]]の一種。形は[[箏]]を模しており<ref>聖護院八ツ橋総本店による。別にまたは[[橋]]の形を模しているという説もある。</ref>され、長軸方向に凸になった湾曲した長方形をしている。
今日では京都銘菓として認知されている和菓子{{R|jiten155}}<ref name="H18kanko">{{PDFlink|[http://raku.city.kyoto.jp/kanko_top/image/kanko_chosa18.pdf 平成18年京都市観光調査年表]}} - 京都市 産業観光局</ref>。古くは「八ツ橋」といえば堅焼き菓子を指したが、[[1960年]]代には「生八ツ橋」が考案され現代ではこちらの方が人気がある{{R|jiten155}}<ref name="Yahoo">{{cite web |url=https://news.yahoo.co.jp/byline/nakamuratomohiko/20180606-00086094/ |title=なぜ老舗同士がトラブル? ~ 京菓子「八ツ橋」騒動 |publisher=Yahoo! Japan |date=2018-06-06 |accessdate=2020-10-22}}</ref>。統計調査によると京都[[観光]]の[[土産]]として[[菓子]]類を購入する人は96%にのぼるが、そのうち八ツ橋の売上は全体の45.6%(生八ツ橋24.5%、八ツ橋21.1%)を占め、京都を代表する土産物になっている<ref name="H18kanko" />。
 
[[1960年]]代には生地を焼き上げずに一定サイズに切り出した「'''生八ツ橋'''」が発売される<ref name="Yahoo">{{cite web |url=https://news.yahoo.co.jp/byline/nakamuratomohiko/20180606-00086094/ |title=なぜ老舗同士がトラブル? ~ 京菓子「八ツ橋」騒動 |publisher=Yahoo! Japan |date=2018-06-06 |accessdate=2020-10-22}}</ref>。当初は焼いた八ツ橋と同様に生地を四角く切り分けただけのものを指したが、後に半分に折った生地で小倉[[餡]]を包んだものが登場する。餡を包んだものは製造業者によって創意工夫が凝らされ、現代では生地に抹茶や[[ゴマ|ごま]]を混ぜたり、餡に果物やチョコレートを用いるものも生み出されている{{R|jiten155}}。
 
今日では八ツ橋・生八ツ橋ともに京都を代表する[[銘菓]]として認知されており{{R|jiten155}}、[[2006年]](平成18年)の京都市による統計調査では京都[[観光]]の[[土産]]として[[菓子]]類を購入する人は96%にのぼるが、そのうち八ツ橋の売上は全体の45.6%(生八ツ橋24.5%、八ツ橋21.1%)を占めている<ref name="H18kanko">{{PDFlink|[http://raku.city.kyoto.jp/kanko_top/image/kanko_chosa18.pdf 平成18年京都市観光調査年表]}} - 京都市 産業観光局</ref>。また、和菓子として消費者がそのまま食べるほか、[[前菜]]や酒の[[肴|つまみ]]、料理の食材として使う飲食店も一部にある<ref>え、これ全部…?原材料:八つ橋/意外に合う!?[[ソーシャル・ネットワーキング・サービス|SNS]]で話題/[[アボカド|アボガド]]{{ママ|?}}巻きや[[コーラ (飲料)|コーラ]]まで登場『[[日経MJ]]』2019年6月12日(トレンド面)。</ref>。
 
昔の生八ツ橋は、古くは[[竹]]皮によって包まれていたが、現在は[[賞味期限]]を延ばすためにほとんどが[[真空パック]]詰めされている。そのため、真空パックを開封しなければ[[賞味期限]]はおおよそ9日から11日となっている。ただし、昔ながらの製法を特徴としているメーカーの商品の場合は、[[保存料]]や[[酸化防止剤]]を使わず、真空パックもしない品質保持についても昔ながらであるために、賞味期限は季節にもよるが2日 - 4日と、他メーカーの製品と比較して極端に短い。
<gallery>
画像:Yatsuhashi 001.jpg|[[餡]]入り生八ツ橋
画像:Japanese_sweets_with_Black_Sesame.jpg|黒[[ゴマ|ごま]]生地の餡入り生八ツ橋
画像:Peach_Hijiri.JPG|白桃餡を包んだ入り生八ツ橋。<br>聖護院八ツ橋総本店([[京都市]])の品。
</gallery>
 
== 歴史・起源 ==
八ッ橋の起源は不明な部分が多いが、主に以下の2つの説が唱えられている<ref name="Yahoo" /><!--Yahoo!の出典では3つとの記載がああるが詳細は書かれていないので割愛--><ref name="toyokeizai">{{web cite |url=https://toyokeizai.net/articles/-/227801 |title=「八ッ橋」訴訟、なぜ業界各社は沈黙するのか |auther=東洋経済ONLINE |date=2018-07-07 |accessdate=2020-10-22}}</ref>。
# [[箏曲]]の祖・[[八橋検校]]を偲び[[箏]]の形を模したことに由来するとする説{{R|jiten155}}
# 『[[伊勢物語]]』第九段「かきつばた」の舞台「[[三河国]]八橋」<ref>旧[[碧海郡]]八ツ橋村。現在の[[知立市]]八橋町</ref>にちなむとする説{{R|jiten155}}
京都の八ッ橋製造業者の団体'''京都八ツ橋商工業組合'''{{R|jiten155}}<ref>{{cite web |url=http://www.kyokakouso.jp/kasikougyou.html |title=京都府菓子工業組合 - 京都府菓子工業組合 |publisher=京都府菓子工業組合 |accessdate=2017-10-25}}</ref>に加盟する14社のうち、1.の説を支持するのが[[聖護院八ツ橋総本店]]・[[井筒八ッ橋本舗]]など6社、2.の説を支持するのが[[本家西尾八ッ橋]]などである<ref name="toyokeizai" />。いずれの説でも[[元禄]]年間に原型が作られ、現在に近い形になったのは[[享保]]年間としている点共通している<ref name="Yahoo" />。
 
もともとは地味な農村菓子であったとされるが、[[1879年]](明治10年)に京都に鉄道が通ったことで西尾松太郎が[[京都駅]]で販売を開始し、徐々に人気となって土産物として定着した<ref name="jiten155">事典 和菓子の世界 155頁</ref><ref name="toyokeizai" />。[[1900年]](明治33年)には松太郎の息子・西尾為治が八ッ橋を[[パリ万国博覧会 (1900年)|パリ万国博覧会]]に出品し、銀賞を受賞している<ref name="toyokeizai" />。[[1915年]](大正4年)には京都で[[大正天皇]]の即位式が行われ、改装された京都駅で販売された八ッ橋が爆発的に売れたとされる<ref name="toyokeizai" />。[[1926年]](大正15年)に京都府内務部が発行した京都名物紹介本『京の華』には「西尾為治の祖先が[[1689年]](元禄2年)に三河の僧侶から製法を教わって、[[聖護院]]の森で販売を始めた」と八ッ橋の起源に関する記載があるが、詳細は不明であり真偽も分かっていない<ref name="toyokeizai" />。
17 ⟶ 87行目:
聖護院八ツ橋総本店など3社は、八ッ橋の起源として「1689年(元禄2年)に聖護院の森の黒谷([[金戒光明寺]])[[参道]]の[[茶店]]にて供された」として宣伝にも用いている<ref name="Yahoo" />。しかし前述のとおり起源には不明な点が多く、1.の説を支持する業者のうち聖護院以外の5社で構成する'''京銘菓八ッ橋工業協同組合'''は「根拠もなしに聖護院が創作したように誤解を与える表現である」として是正を求め、[[2017年]](平成29年)5月に民事調停を申し立てた<ref name="Yahoo" /><ref name="toyokeizai" />。聖護院側は「法で定められた民事調停の対象ではない」と主張し、調停は不成立に終わった<ref name="Yahoo" /><ref name="toyokeizai" />。[[2018年]](平成30年)6月には井筒八ッ橋本舗が単独で、聖護院八ツ橋総本店に記載差し止め等を求めて[[京都地方裁判所]]に提訴<ref name="toyokeizai" /><ref>{{cite news |newspaper=京都新聞 |url=https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/273072 |title=井筒八ッ橋の請求棄却 聖護院八ッ橋を訴えた訴訟で |date=2020-06-10 |accessdate=2020-06-11}}</ref>。京都地裁は[[2020年]](令和2年)6月10日に「表示は創業年と解釈されると推測される」「全てが誤りという確証はない」として井筒側の請求を棄却<ref>{{cite web |url=https://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye4000782.html |title=京都・老舗「八ッ橋」店 裁判、原告敗訴「創業年に誤認ない」 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20200611043142/https://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye4000782.html |archivedate=2020-06-11 |publisher=[[TBS NEWS (ニュースサイト)|TBS NEWS]] |date=2020-06-10 |accessdate=2020-10-22}}</ref><ref>{{cite web |url=https://www.jiji.com/jc/article?k=2020061000942&g=soc |title=「八ツ橋」表示めぐり「井筒」敗訴 「1689年創業」不当と損賠請求―京都地裁  |publisher=[[時事ドットコム]] |date=2020-06-10 |accessdate=2020-10-22}}</ref>、判決を不服とした井筒側は6月23日に[[大阪高等裁判所]]に控訴した<ref>{{cite news |url=https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/288735 |title=聖護院を訴えた「八ッ橋」創業年訴訟、請求棄却の井筒が控訴  |newspaper=[[京都新聞]] |date=2020-06-23 |accessdate=2020-10-22}}</ref>。
 
一方、聖護院八ツ橋総本店と本家西尾八ッ橋の間にも確執が存在している<ref name="toyokeizai" />。聖護院八ツ橋総本店は[[1926年]](大正15年)に前述の西尾為治が個人商店から法人化して誕生しているが、経営危機から4年後に個人として破産申告し、息子の西尾為一とともに聖護院八ツ橋総本店を去っている<ref name="toyokeizai" />。[[1947年]](昭和22年)に西尾為一が個人で八ツ橋の製造販売を再開、5年後に「本家八ッ橋聖護院西尾」として法人化した<ref name="toyokeizai" />。その際、宣伝に『創業二百六十余年』『本家八ッ橋』といった文言を用いたことで聖護院八ツ橋総本店から提訴され、[[1959年]](昭和34年)に和解が成立し社名から「聖護院」を削除して現在の社名となった<ref name="toyokeizai" />。これで問題は解決と思われたが、[[1969年]](昭和44年)に[[京都府]]が「100年以上続く老舗業者」を表彰した際に、本家西尾八ッ橋を「最古の八ッ橋業者」として表彰した<ref name="toyokeizai" />。これを不満としに思った聖護院八ツ橋総本店は、表彰されるべきは我社である旨を記した「聖護院文書」と題した冊子を同業他社に配布するに至った<ref name="toyokeizai" />。
 
== 特徴 ==
米粉・砂糖・[[シナモン|ニッキ(肉桂、シナモン)]]を混ぜて蒸し、薄く伸ばした生地を焼き上げた堅焼き[[煎餅]]の一種。形は[[箏]]を模しており<ref>聖護院八ツ橋総本店による。別に[[橋]]の形を模しているという説もある。</ref>、長軸方向に凸になった湾曲した長方形をしている。
 
蒸し終えて薄く伸ばした生地を焼き上げずに一定サイズに切り出したものは「生八ツ橋」と呼び、[[1960年代]]に発売された。純粋に生地だけのものと、正方形の生地を二つ折りにして[[餡]]を包んだものがある。特に後者はメーカーにより多種多様な種類が作られている。生地は通常のニッキのほか抹茶や[[ゴマ|ごま]]を混ぜたものがあり、餡も通常のつぶあんのほかに果物やチョコレートの餡を用いるものもある。
 
昔の生八ツ橋は[[竹]]皮によって包まれていたが、現在は[[賞味期限]]を延ばすためにほとんどが[[真空パック]]詰めされている。そのため、真空パックを開封しなければ[[賞味期限]]はおおよそ9日から11日となっている。ただし、昔ながらの製法を特徴としているメーカーの商品の場合は、[[保存料]]や[[酸化防止剤]]を使わず、真空パックもしない品質保持についても昔ながらであるために、賞味期限は季節にもよるが2日 - 4日と、他メーカーの製品と比較して極端に短い。
 
[[抹茶]]味、[[イチゴ]]味、[[チョコレート]]入りの八ツ橋も作られており、多くの種類が考案されている{{R|jiten155}}。
 
和菓子として消費者がそのまま食べるほか、[[前菜]]や酒の[[肴|つまみ]]、料理の食材として使う飲食店も一部にある<ref>え、これ全部…?原材料:八つ橋/意外に合う!?[[ソーシャル・ネットワーキング・サービス|SNS]]で話題/[[アボカド|アボガド]]{{ママ|?}}巻きや[[コーラ (飲料)|コーラ]]まで登場『[[日経MJ]]』2019年6月12日(トレンド面)。</ref>。
 
<gallery>
画像:Yatsuhashi nama.jpg|生八ツ橋<br>([[シナモン|ニッキ]]風味)
画像:Yatsuhashi 001.jpg|[[餡]]入り生八ツ橋
画像:Japanese_sweets_with_Black_Sesame.jpg|黒[[ゴマ|ごま]]生地の餡入り生八ツ橋
画像:Peach_Hijiri.JPG|白桃餡を包んだ生八ツ橋。<br>聖護院八ツ橋総本店([[京都市]])の製品。
</gallery>
 
== 主な製造販売企業 ==