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== 鉄道車両 ==
=== 日本の鉄道車両の前照灯 ===
鉄道車両の前照灯は、日本では法律的には'''前部標識'''という扱いであり、正式には「前灯」と称する。夜間および長大トンネル区間では点灯が義務付けられている。自動車と異なり車両の進行方向が一定であることから、あくまで「標識」としての位置づけてあり、光量については暗部において遠方より車両の存在が確認できる程度であれば問題ないことになっている。その為、自動車と同様、昼間は前照灯を点けないことが殆どだったが、近年は前照灯としての役割を強化するため光量を増やすだけでなく、車外からの視認性向上および自動車・歩行者への注意喚起のため、昼間であっても常時点灯することが多くなっている([[昼間点灯]]の項を参照)。
 
古くは油灯やカーバイドランプが使われており、電灯となってからもシングルフィラメントの時代が長かったため、光軸の切り替えが不可能であり、すれ違い時には減光で対応していた<ref>前灯スイッチの隣にある「前灯減光」などの減光スイッチを操作する</ref>。ダブルフィラメントとなってからは、ハイビームとロービームを切り替えることが可能になった。HID式のように放電式灯の場合は輝点の切り替えができないため、[[電磁石]]などで機械的に光源か反射板を動かし、光軸を切り替えるようになっている。
 
[[1960年代]]以前に製造された車両の多くはランプ交換式の暗い白熱灯式の前照灯(当初は150 [[ワット|W]]、後に250 W)であったが、[[1970年代]]以降は後に[[シールドビーム]]<ref>灯体自体が電球となるよう、レンズ・反射鏡・フィラメントを一体化し、不活性ガスを封入し、シールされたランプを指す。</ref>化が進み光量のアップと長寿命化、交換の容易化<ref>白熱灯式の前照灯は、電球交換の後に必ず焦点調整をする必要があった。</ref>が図られた。[[1990年代]]から[[プロジェクター]]式、[[2000年]]頃からHID式、[[2006年]]からは高輝度[[発光ダイオード|LED]]を用いたものなどが出現するなど、バリエーションが増えている。
 
取り付け位置は車体の上部(運転者の視点より高い)にある場合、下部(運転者の視点より低い)にある場合、そして上下両方にある場合があり、使用環境([[気候]]・[[天候]]、速度、[[線形 (路線)|線形]]など)や各車種によってさまざまで、同じ[[鉄道事業者]]でも統一はされていないが、[[阪急電鉄]]のように創業以来一貫して全ての車両が正面[[貫通扉|貫通路]]の上部に設置している事業者も存在する。運輸省令で「夜間の前部標識として前灯を上部に1個掲出する」と定められていたため、かつては上部に1個のみ取り付けられていた。私鉄では1957年10(昭和32年)10月、[[名鉄5000系電車 (初代)#沿革|名古屋鉄道5200系電車]]が固定式前照灯三灯で登場。国鉄では[[東海道本線]]の電車特急「[[こだま (列車)|こだま]]」を運転するにあたり、新造された[[国鉄181系電車#151系|20系(後の151系電車]]が前灯を腰部にも2灯増設して3個取り付けることになり、運輸大臣の特認を得た。その後前灯の2個以上の取り付けは標準的なものとなり、省令も改正された<ref>{{Cite book | 和書 | author=[[福原俊一 (電車発達史研究家)|福原俊一]] | title=ビジネス特急〈こだま〉を走らせた男たち | page=p.67 | edition=初版 | date=2003-11-01 | publisher=[[JTB]] | language=日本語 | isbn=4-533-05011-5}}</ref>。また、主に関西圏では[[特別急行列車|特急]]のように高速度を出す列車に用いられる車両には、列車種別を分かりやすくするために前照灯とは別に[[通過標識灯]]を装備する場合がある。
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ファイル:115 series D-26 D-27 20170503.jpg|シールドビーム前照灯<br />[[日本国有鉄道|国鉄]][[国鉄115系電車|115系]]