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== 歴史 ==
[[Image:Fairey Firefly TT.1 SE-CAW Svensk Flyg RWY 09.55 edited-2.jpg|thumb|right|からし色に塗装された Svensk Flygtjanst ABスウェーデン航空サーヴィス社の[[フェアリー ファイアフライ|ファイアフライ]] TT.1標的曳航機([[マンチェスター空港]]、1955年)]]
[[第二次世界大戦]]以前や大戦中は、[[空軍|航空軍事組織]]が自ら飛ばす航空機のために標的曳航機を運用するのが普通であった。またこうした標的曳航機には、第一戦から外された機体や、本来の設計目的には不適であったり不要となった機種([[フェアリー バトル]]や[[ショート スタージョン]]を参照)を転用するのが常であった。通常、これらの機体は、胴体末端に曳航標的や布製吹流しを取り付けた長い曳航索(数千[[メートル]]に及ぶ場合もある)を引っ張り、[[:en:fighter pilot|戦闘機パイロット]]や[[:en:air gunner|銃手]]の訓練生が、別の航空機からこの標的を射撃するというものであった。この際に用いられる銃弾には着色弾が採用され、命中の記録と分析が行えた。標的曳航機に加えられる主な改造は、標的操作員席の装備と、着陸前に曳航索を巻き取る[[ウインチ]](通常は風力駆動)の設置であった。標的を投棄することもあり、これは標的曳航機の着陸前に、回収に便利な決められた場所で行われた。特殊な例として[[P-63 (航空機)|RP-63]]は有人機であるが、専用の演習弾で直接銃撃される「有人標的機」であった。
 
[[File:Martin_B-57E_Canberra_in_flight._Aircraft_towing_target_is_B-57E_(SN_55-4269)_061031-F-1234P-004.jpg|thumb|right|布製吹流しを曳航して飛行中の[[イングリッシュ・エレクトリック キャンベラ#B-57 キャンベラ(航空機)|マーティン B-57E キャンベラ]] (SN 55-4269)]]
傾向として、民間企業が元軍用機を購入/改造して運用するやりかたが発展してきたが、この種の機体は戦後も使用し続けられた。橙色の[[ホーカー シーフューリー|シーフューリー]]を運用した[[西ドイツ]]のドイツ航空アドヴァイザリーサーヴィス(Deutschen Luftfahrt-Beratungsdienstes)社や黄色の[[フェアリー ファイアフライ|ファイアフライ]][[A-1 (航空機)|ダグラス スカイレイダー]]のような機体を運用した[[西ドイツ]]のドイッチスウ・ルフトファルト・ベラートゥングスィースト社や、]]の[[:en:Swedair|スウェーデン航空サーヴィス社]]のSvensk(現 Flygtjänst: ABスウィーデア社)が、戦後ではこの分野で知られる2大企業であった。しかし、多くの航空軍事組織は自ら標的曳航機を運用し続けた。
 
後年になると、民間企業による標的曳航機の運用は世界中に広まり、[[1960年代]]/[[1970年代|70年代]]には多くの企業が設立され、この事業分野に参入する会社も増えた。依然として元軍用機を使用するという傾向も続き、例えばIllawarraイラワラ飛行サーヴィシーズ社(Illawarra Flying Services Services)は、[[1960年]]から[[1970年代]]後半まで、[[オーストラリア]]において2機の元[[オーストラリア空軍|RAAF]]の[[P-51 (航空機)|CACCA-18 マスタング]]を使用した<ref>''Mustangs of the RAAF and RNZAF'' Peter N. Anderson. A. H. & A. W. Reed. ISBN 0 589 07130 0.</ref>。[[:en:Canadair Sabre|カナディアCA-27 セイバー]]は[[1975年]]4月に無人での初飛行を行った最初の航空機であったが、フライトシステム社(Flight Systems Inc.)は、このカナディア セイバーを改造したQF-86Eミサイル標的機を使用し、[[カリフォルニア州]] [[:en:Mojave, California|モハーヴェ]]で業務を開始した。後に同社はセイバーを標的曳航機として運用した<ref>http://web.archive.org/20020403005249/f-86.tripod.com/fsi.html Retrieved 2007-07-18</ref>。フライトシステム社は後に[[:en:Tracor|トラコー]]社に買収され、この業務は現在も[[A-4 (航空機)|ダグラス スカイホーク]]を使用して[[:en:BAE Systems Inc.|BAEシステム・フライトシステム]]社が行っている<ref>http://www.landings.com Online search of US civil aircraft register database performed July 18 2007</ref>。元軍用機を標的曳航機として使用(及び航空軍事組織がこの任務用に古い機体を保有)したことは、結果的にこれらが時代を経て生き残ることとなり、こういった機体は[[:en:warbird|大戦機]]として人気が高まった。多くの元標的曳航機は[[航空ショー]]で見ることができたり、飛行可能な状態まで修復中であったり、または航空博物館に保存されている。
 
[[File:Learjet_GFD_2010.jpg|thumb|標的曳航業務を行うドイツ企業GFD社の登録記号D-CGFGの[[リアジェット]]]]
現在、多くの航空軍事組織が標的曳航任務を民間企業へと委託するようになってきている。この分野における多くの企業が、現在は元軍用機の代わりに[[ビジネスジェット]]の改造機を使用している。民間機を運用する利点には、登録の容易さ(多くの国々で元軍用ジェット機を民間機として登録することは困難になっている)、保守の容易さと、元軍用機と比較した場合の運用コストの低さが挙げられる。[[2007年]]現在、標的曳航業務を提供している企業には、[[イギリス]]の[[:en:Cobham plc|FR エイヴィエーション・サービス]]社(Aviation Services Ltd.)、[[ダッソー ファルコン 20|ファルコン 20]]を使用する提携会社のAVdef社([[フランス]])およびファルコン・スペシャル・エアサービス社(Falcon Special Air Services)([[マレーシア]])<ref>http://www.fraviation.com/about.aspx Retrieved 2007-07-18</ref>、[[リアジェット]]を使用するオーストラリアの[[:en:Pel-Air|ペル=エア]]、(最近の機種採用傾向に対するある種の反動で)[[ピラタス PC-9|PC-9]]を使用する[[ドイツ]]のEISエアクラフト社(EIS Aircraft Gmbh)がある。
 
現代では無人[[標的機]]が利用されることが多いが、無人航空機は布製吹流しに比べ高価であるため、従来型の標的曳航も行われている。このため純粋な標的曳航機は少なく、無人機の空中発射や管制、チャフの散布や電波妨害など複数の訓練に対応した訓練支援機としての運用が多い。[[海上自衛隊]]では艦隊の訓練支援用として[[リアジェット35]]を改造したU-36Aを運用しており、標的曳航、チャフ散布、訓練評価用写真撮影、[[対艦ミサイル]]攻撃のシミュレートを行っている。
 
標的曳航任務には危険が付きまとっている。[[1994年]]9月17日にゴールデンイーグル・エイヴィエーション社(Golden Eagle Aviation)の[[リアジェット35|リアジェット 35A]]が[[:en:live-fire exercise|実弾射撃訓練]]中に[[中華民国海軍]]の艦船により偶発的に撃墜された<ref>http://aviation-safety.net/database/record.php?id=19940917-1 Retrieved 2007-07-18</ref>。軽微な話としては、標的ではなく標的曳航機の方に命中させた銃手に対し、曳航機パイロットが言うお決まりの警句として「肝に銘じておけ。俺は押してるんじゃない、引っ張っているんだ!」というものがある。
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File:De_Havilland_DH-100_Vampire_Swiss_Target_Tug.jpg|この[[デ・ハビランド バンパイア|DH.100 ヴァンパイア]]の様に、標的曳航機は自機が曳航する標的と識別されやすいよう、目立つ塗装がなされることがある。
File:FJ-4_VU-7_with_towed_aerial_targets_1960.jpg|dual Del Mar rig (TDU-10/B 射撃標的器)を翼端に備えた米海軍の[[FJ-4 (航空機)|ノースアメリカン FJ-4 フューリー]]
File:VII_Małopolski_Piknik_Lotniczy_–_North_American_OV-10B_Bronco,_F-AZKM_(1).jpg|標的操作員用に胴体尾部が透明化された[[OV-10 (航空機)|ロックウェル OV-10 ブロンコ]]
File:Northrop_F-5F_(Tail_No._00891)_with_Dart_Aerial_Gunnery_Target_in_1975_061006-F-1234S-082.jpg|ダーツ型射撃標的器を装備した[[F-5 (戦闘機)|ノースロップ F-5F]](No. 00891)、1975年
File:Saab_Aerotech_Learjet_35A_Zagreb-Pleso.jpg|サーブ・エアロテック社の[[リアジェット35|リアジェット 35A]]
File:Dassault.falcon20.g-frak.arp.jpg|標的曳航用に改造された[[:en:Cobham plc|FR エイヴィエーション・サービス]]の[[ダッソー ファルコン 20|ファルコン20]]
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