「格物致知」の版間の差分

[[南宋]]の[[朱熹]]（1130～1200）はその解釈を継承し、『大学』には格物致知を解説する部分があったとして『格物補伝』を作った。ここで格は「至（いたる）」、物は「事」とされ、事物に触れ理を窮めていくことであるが、そこには[[読書]]も含められた。そして彼はこの格物窮理と[[居敬]]を「聖人学んで至るべし」という[[聖人]]に至るための方法論とした。この時代、[[経書]]を学び、[[科挙]]に合格することによって[[官僚]]となった[[士大夫]]に対し、格物致知はその理論的根拠を提供した形である。しかし、格物は単に読書だけでなく事物の観察研究を広く含めた。そのような朱子学の影響のもと、近世以降の[[東アジア]]では[[博物学]]（[[本草学]]や[[名物学]]）の営為が「格物」と表現されることもあった<ref>{{Cite journal|和書|author=太田由佳|year=2011|title=松岡恕庵本草学の研究（要旨）|url=httphttps://hdl.handle.net/2433/142297|journal=|volume=|page=|publisher=京都大学 博士論文}} / {{Cite book|和書|title=松岡恕庵本草学の研究|year=2012|publisher=思文閣出版|author=太田由佳|isbn=978-4784216178}}</ref><ref>[[西村三郎]]『文明のなかの博物学 西欧と日本 上』 紀伊國屋書店、1999年。ISBN 978-4314008501。第2章「花ひらく江戸の博物学 「格物致知」－朱子学の立場」</ref>。また、[[幕末]]には[[福沢諭吉]]の『[[窮理図解]]』など、西洋の[[自然科学]]（[[自然哲学]]）を導入するに際して「[[窮理]]」の語彙が使われた。