「南満洲鉄道の歴史」の版間の差分

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ソ連より接収した北満鉄路の軌間は5フィートであったため、標準軌に改軌する工事が必要で、新京・ハルビン間は1935年8月22日に着手し、29日に準備終了、30日の運転が終了後に作業を開始し、終了予定は翌日8時だったが全部の作業を7時50分に終了して試運転もおこない、ただちに平常業務がなされた<ref name="harak162" />。作業参加人員は2,508名、通信設備その他の切り替えもこの時なされ、この工事は満鉄の技術力を示すものとして高く評価された<ref name="harak162" />。
 
[[ファイル:Couches in China Railway Museum.jpg|thumb|right|北京の[[中国鉄道博物館]]に展示されている展望車。「あじあ」で使用されたテンイ8形ではなく「大陸」用のテンイネ2形ではあるが、同時代に同じ技術陣によって設計された姉妹車で、デザインや構造に共通点が多い。]]
[[1934年]]、大連 - 新京間に満鉄最初の特急「[[あじあ (列車)|あじあ]]」が登場した<ref name="komuta266">[[#小牟田|小牟田(2015)pp.266-274]]</ref>。最高速度は110km/h、表定速度は82.5km/hで、日本国鉄の特急「[[つばめ (列車)|つばめ]]」の平均速度66.8km/hを上回った<ref name="komuta266" />。大連 - 新京(長春)間701.4キロメートルを8時間半でむすび、従来の急行よりも2時間も所要時間を短縮させた<ref name="komuta266" />。北満鉄路接収後の[[1935年]]9月には運転区間は[[ハルビン|哈爾濱]](ハルビン)まで延長された<ref name="komuta266" />。
 
あじあ号の編成は前から順に手荷物郵便車、3等客車(定員88名)2両、食堂車、2等客車(定員68名)、展望1等客車(定員43名、うち展望1等社30名、展望室12名)の全6両編成で、前車両[[エアーコンディショナー]]完備であり、密閉式の二重窓を備えていた<ref name="Chronicle3">[[#クロニクル|『図説 日本の鉄道クロニクル第3巻 満鉄・大陸横断鉄道の夢』(2011)pp.37-38]]</ref>{{refnest|group="注釈"|内地では「つばめ」が食堂車のみにクーラーを装備していた程度だったので冷暖房完備は前例がなかった<ref name="Chronicle3" />。高圧高熱を用いた吸収式冷却方式の空調が採用されたが、これはアメリカの技術であった<ref name="Chronicle3" />。二重窓によって砂塵、酷寒、猛暑を遮断できたが、客室の窓はロックされており乗客に窓の操作はできなかった<ref name="Chronicle3" />。}}。食堂車は定員36名で、メニューは[[洋食]]が中心であったが、コースには[[和食]]も用意されており、「あじあカクテル」と命名された2種類の[[カクテル]]を飲むことができた<ref name="Chronicle3" />{{refnest|group="注釈"|[[ウェイトレス]]には[[ロシア人]]女性も雇われていた<ref name="Chronicle3" />。テーブルは2人がけ、4人がけのテーブルをそれぞれ6つ配置しており、待合室があって4人分の[[椅子]]が容易されていた<ref name="Chronicle3" />。}}。「あじあ」の名称は、30,066通の[[懸賞]]応募の中から決定されたものであった<ref>[[#トレジャー|『新幹線トレジャー・ボックス』(2013)所収『流線型特別急行列車「あじあ」』(1934)]]</ref>。また、編成最後尾の[[展望車]]後部には「あじあ」の列車名と、「亜細亜(アジア)」の「亜」を図案化し、太陽の光をモチーフにしたシンボルマークが掲げられていた<ref>[[#市原|市原(1971)]]</ref>
 
=== 満鉄改組 ===
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* {{Cite book|和書|author=[[有馬学]]|year=2010|month=4|title=日本の歴史22 帝国の昭和|publisher=[[講談社]]|series=[[講談社学術文庫]]|origyear=2002|isbn=4-06-268923-5|ref=有馬}}
* {{Cite book|和書|author=[[飯塚一幸]]|year=2016|month=12|title=日本近代の歴史3 日清・日露戦争と帝国日本|publisher=[[吉川弘文館]]|isbn=978-4-642-06814-7|ref=飯塚}}
* {{Cite book|和書|author=[[市原善積]]|year=1971|month=1|title=南満洲鉄道―「あじあ」と客・貨車のすべて|publisher=[[誠文堂新光社]]|asin=B000J9WBPE|ref=市原}}
* {{Cite book|和書|author=[[伊藤之雄]]|year=2010|month=4|title=日本の歴史22 政党政治と天皇|publisher=講談社|series=講談社学術文庫|origyear=2002|isbn=978-4-06-291922-7|ref=伊藤}}
* {{Cite book|和書|author=[[井上勇一 (国際関係論)|井上勇一]]|year=1990|month=11|title=鉄道ゲージが変えた現代史|publisher=[[中央公論新社]]|series=[[中公新書]]|isbn=4-12-100992-4|ref=井上}}
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* {{Cite book|和書|editor=[[田中陽児]]・[[倉持俊一]]・和田春樹(編)|author=[[和田春樹]]|year=1994|month=10|chapter=第7章 近代ロシアの国家と社会|title=世界歴史大系 ロシア史2 (18世紀―19世紀)|publisher=[[山川出版社]]|isbn=4-06-207533-4|ref=和田}}
* {{Cite book|和書|editor=[[講談社]](編)|year=2011|month=3|chapter=第4章 超特急「あじあ」号がデビュー|title=図説 日本の鉄道クロニクル第3巻 満鉄・大陸横断鉄道の夢|publisher=講談社|isbn=978-4-06-270163-1|ref=クロニクル}}
* {{Cite book|和書|editor=[[南満洲鉄道株式会社]](編)|year=2013|month=12|origyear=1934|title=流線型特別急行列車「あじあ」|publisher=廣済堂出版|series=『新幹線トレジャー・ボックス』所収|isbn=978-4331450222|ref=トレジャー}}
 
== 関連項目 ==