「重力ターン方式」の版間の差分

削除された内容 追加された内容
m typo
m →‎ダウンレンジ加速: 表現の修正、リンク追加
15行目:
=== ダウンレンジ加速 ===
[[ファイル:Gravity_turn_-_phase_2.svg|左|サムネイル|200x200ピクセル|ダウンレンジ加速中の時刻 <math>t</math> および <math>t+1</math> における速度ベクトルを示した図。前述のように、ロケットの新しい速度は、前の速度、推力による加速度、重力加速度のベクトル和により決定する。重力は真下に作用するため、新しい速度ベクトルは水平に近くなる。すなわち、軌道が重力により「ターン」する。]]
ピッチオーバーの後は、ロケットの飛行経路は完全に垂直ではなくなるため、重力の作用により飛行経路地面へと向かって曲がっていく。ロケットが推力を発生していなかった場合、飛行経路はボールを投げた場合と同様単純な[[楕円|楕円に]]なり([[放物線]]になると考えるのはよくある間違いである。地球が平らで、重力が常に同じ方向を向いている場合にのみ軌道は放物線となる。距離が短い場合においてのみ放物線による近似が通用する)、水平となったのち地面へと落下していく。しかし、ロケットは推力を発生しているため、水平を向くまでに安定した軌道に配置するのに十分な高度と速度を獲得する。
 
多段ロケットの場合、各段の分離とエンジン点火との間にはある程度エンジン燃焼を停める時間が必要であるが、ロケットの設計によっては、各段の燃焼開始までに追加で慣性飛行時間が必要となる場合がある。ロケットの推力が大きい場合には特に、すぐ燃焼を始めるとロケットが重力により水平方向を向くよりもはるかに前に燃料を使い果たしてしまうため、慣性飛行時間は長くなる<ref name="thesis">{{Cite journal|last=Callaway|first=David W.|date=March 2004|title=Coplanar Air Launch with Gravity-Turn Launch Trajectories|url=https://research.maxwell.af.mil/papers/ay2004/afit/AFIT-GAE-ENY-04-M04.pdf|journal=Masters Thesis}}</ref>。この手法は、地球など大気の厚い惑星からの打ち上げの場合にも有効となる。自由飛行中にも重力により飛行経路は回転しつづけるため、ピッチオーバー角をより小さくとることができ、そのぶん垂直速度を大きくとり、大気圏からより速やかに脱出することができる。これにより、打ち上げ時の空力損失と空力負荷の両方を軽減することができる。その後、慣性飛行中に大気圏よりも上でロケットは水平になるため、迎え角がゼロの状態でエンジンを再点火すると、機体は水平方向に加速されることになり、軌道へと投入される。