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{{参照方法|date=2021年1月19日 (火) 00:53 (UTC)}}
{{基礎情報 会社
|社名= AMS
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|統一金融機関コード=
|SWIFTコード=
|事業内容= デジタル・プロセッシング・オーディオ・システムの設計開発および製造
|代表者=
|資本金=
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|特記事項=
}}
'''AMS''' (Advanced Music Systems)''' 社は1976年に、Mark CrabtreeとStuart Nevisonによって[[イングランド]]西北部の[[ランカシャー]]にて発足された[[録音スタジオ|レコーディング・スタジオ]]向けの音響用デジタル・プロセッシング・オーディオ・システムの設計開発と生産を行っていた企業。1992年には[[シーメンス]]・グループの傘下で、[[Neve Electronics]]社と合併し、現在では[[AMS Neve]]社となっている。
 
== 来歴 ==
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=== DM-20 (Tape Phase Simulator) ===
: テープ・フェイジング・サウンドを電子的に作り出し再現させる機種。テープ・フェイジングとは、時短軸と音程が連続的に変化することによって音にうねりが生じる効果のこと
 
: 1966年に[[ビートルズ]]がアルバム「[[リボルバー (アルバム)|リボルバー]]」のレコーディング・セッション中に利用したテープ・レコーダーの複数台同期運転 (シンクロナイズ) 運用方法から生まれた[[ADT (音響機器)|ADT]] (Artificial Double Tracking) 技術を元に、その副産物であったテープ・フランジング効果と、テープ・フェイジング効果を電子回路で再現させる機種になっている。1978年に発売された[[ウイングス]]のアルバム「[[ロンドン・タウン]]」で、そのサウンドを聞くこと出来できる。
: テープ・フェイジング・サウンドを電子的に作り出し再現させる機種。テープ・フェイジングとは、時短軸と音程が連続的に変化する事によって音にうねりが生じる効果の事。
 
: 1966年に[[ビートルズ]]がアルバム「[[リボルバー (アルバム)|リボルバー]]」のレコーディング・セッション中に利用したテープ・レコーダーの複数台同期運転 (シンクロナイズ) 運用方法から生まれた[[ADT (音響機器)|ADT]] (Artificial Double Tracking) 技術を元に、その副産物であったテープ・フランジング効果と、テープ・フェイジング効果を電子回路で再現させる機種になっている。1978年に発売された[[ウイングス]]のアルバム「[[ロンドン・タウン]]」で、そのサウンドを聞く事が出来る。
 
=== rmx-16 (Digital Reverbrator) ===
: 19インチ2Uのラック・サイズ内に収められた機種で、DSPを利用したデジタル・リバーブレーター。
 
: 搭載されるプリセット・バンクには、HALL、PLATE、ROOM、AMBIENCE、NON-LIN 2、REVERSE というリバーブ・プログラムがあり、プリ・ディレイ <ref>リバーブ成分が発生するまでの遅延時間を設定する部分</ref> 、リバーブ・タイム、高域と低域のフィルタリング、等が装備されていて、少ないパラメーターながらもレコーディング・セッションでは使いやすい機種になっていた。1970年代の終わりから世界中のレコーディング・スタジオへ導入された人気機種でもあった <ref>当時の日本国内正規代理店からの販売価格は概ね200万円程の高額機種でもあった。</ref> 。
: 19インチ2Uのラック・サイズ内に収められた機種で、DSPを利用したデジタル・リバーブレーター。
 
: この機種を使った例としては、イギリスのプロデューサー/エンジニアの[[ヒュー・パジャム]]がエンジニアリングした、[[フィル・コリンズ]]のアルバム「[[フィル・コリンズIII|No Jacket Required]]」と「[[バット・シリアスリー|...But Seriously]]」、[[ XTC (バンド) |XTC]]のアルバム「Black Sea」と「English Settlement」、[[ピーター・ガブリエル]]のアルバム「Peter Gabriel III」、[[デヴィッド・ボウイ]]のアルバム「[[トゥナイト (アルバム)|Tonight]]」などがあり、特徴的に派手なドラムおよびパーカッション・サウンドになっている。
: 搭載されるプリセット・バンクには、HALL、PLATE、ROOM、AMBIENCE、NON-LIN 2、REVERSE というリバーブ・プログラムがあり、プリ・ディレイ <ref>リバーブ成分が発生するまでの遅延時間を設定する部分</ref> 、リバーブ・タイム、高域と低域のフィルタリング、等が装備されていて、少ないパラメーターながらもレコーディング・セッションでは使いやすい機種になっていた。1970年代の終わりから世界中のレコーディング・スタジオへ導入された人気機種でもあった <ref>当時の日本国内正規代理店からの販売価格は概ね200万円程の高額機種でもあった。</ref> 。
 
: 他には1980年代半ばに様々なプロデューサーやリミキサーによって制作された12インチ・リミックス盤などのリミックス音源のドラム・サウンドなどで聞くこと出来できる。特に AMBIENCE と NON-LIN 2 プログラムを使ったブリティッシュ系のサウンドは特徴的でもあった。
: この機種を使った例としては、イギリスのプロデューサー/エンジニアの[[ヒュー・パジャム]]がエンジニアリングした、[[フィル・コリンズ]]のアルバム「[[フィル・コリンズIII|No Jacket Required]]」と「[[バット・シリアスリー|...But Seriously]]」、[[ XTC (バンド) |XTC]]のアルバム「Black Sea」と「English Settlement」、[[ピーター・ガブリエル]]のアルバム「Peter Gabriel III」、[[デヴィッド・ボウイ]]のアルバム「[[トゥナイト (アルバム)|Tonight]]」などがあり、特徴的に派手なドラム及びパーカッション・サウンドになっている。
 
: 他には1980年代半ばに様々なプロデューサーやリミキサーによって制作された12インチ・リミックス盤などのリミックス音源のドラム・サウンドなどで聞く事が出来る。特に AMBIENCE と NON-LIN 2 プログラムを使ったブリティッシュ系のサウンドは特徴的でもあった。
 
=== dmx-15 '80s (Digital Delay w/Pitch Shift) ===
: 19インチ2Uのラック・サイズ内に収められた機種で、デジタル回路のメモリー機能を用いたデジタル・ディレイ <ref>日本語的表現に直すと「遅延」で、音が遅れて戻ってくる現象を機材で作り出す方法や効果のこと。</ref> およびピッチ・シフター <ref>音程 (ピッチ) を自由に任意の音程へ推移 (シフト) させる機能</ref> 。メモリー機能をそのままオーディオ・サンプリングに利用できる機種でもある。
 
: レコーディング・スタジオにおけるディレイ・マシーンは、テープ・レコーダーの録音ヘッドと再生ヘッドのギャップとテープ・スピードを関連させたテープ・ディレイ・マシーンとして、1950年代頃から[[エルビス・プレスリー]]や、ビートルズ等のレコーディング時やミキシング時に利用されていた。テープ・ディレイの弱点として、ロング・ディレイに設定するとテープ・レコーダーの走行スピードが著しく低速になってしまうため、そのことによって音質も低速度になると共に劣化してしまい、本来求めているようなディレイ・サウンドが作り出せなかった。
: 19インチ2Uのラック・サイズ内に収められた機種で、デジタル回路のメモリー機能を用いたデジタル・ディレイ <ref>日本語的表現に直すと「遅延」で、音が遅れて戻ってくる現象を機材で作り出す方法や効果の事</ref> 及びピッチ・シフター <ref>音程 (ピッチ) を自由に任意の音程へ推移 (シフト) させる機能</ref> 。メモリー機能をそのままオーディオ・サンプリングに利用できる機種でもある。
 
: レコーディング・スタジオにおけるディレイ・マシーンは、テープ・レコーダーの録音ヘッドと再生ヘッドのギャップとテープ・スピードを関連させたテープ・ディレイ・マシーンとして、1950年代頃から[[エルビス・プレスリー]]や、ビートルズ等のレコーディング時やミキシング時に利用されていた。テープ・ディレイの弱点として、ロング・ディレイに設定するとテープ・レコーダーの走行スピードが著しく低速になってしまうため、その事によって音質も低速度になると共に劣化してしまい、本来求めているようなディレイ・サウンドが作り出せなかった。
 
: そこで、そのディレイ効果をメモリー・チップ内へ取り込んで、自由に設定できるオーディオ・メモリー機能にしたものがこの機種で使われている技術になっている。その際に使われるメモリー機能をオーディオ・サンプリング機能として使用するためのメモリー終了スイッチと、オーディオ入力信号をトリガー <ref>意味的には拳銃などのトリガーと同義語で、何かの切っ掛けになる信号の意味</ref> として使用したサンプリング音の再生手法も活用され、rmx-16と同じ背景である1980年代中頃のリミックス盤などで、様々なフレーズ・サンプリング機能として用いられている。
 
: ピッチ・シフト機能はディレイ・モードとサンプリング再生モードの両方で使用でき、可変出来できる音程はオクターブ下からオクターブ上までとなっていて、ディレイも併用できるため双方の効果を混ぜた使い方などで、dmx-15特有のサウンドを作り出せた。この機種のディレイ・ピッチ効果を使った例として、[[イエス (バンド)|イエス]]にも在籍していた[[トレヴァー・ラビン]]のギター・サウンドがあり、イエスのアルバム「[[ロンリー・ハート|90125]]」や、ソロ・アルバムでのギター・ソロに掛けられた数度のハーモニクスが同時に出ているエフェクト効果などがある。 <ref>この機種も、当時の日本国内正規代理店からの販売価格は概ね200万円程の高額機種でもあった。</ref>
 
== 脚注 ==
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* [[Neve Electronics]]
* [[AMS Neve]]
* [[Lexicon]]
* [[Eventide]]
* [[録音スタジオ|レコーディング・スタジオ]]
* [[ミキシング・コンソール]]