「カドミウムイエロー」の版間の差分

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== 概説 ==
硫化カドミウムを主成分とするものは橙黄色〜鮮黄色を呈し、硫化カドミウム-硫化亜鉛(硫化カドミウムと[[硫化亜鉛]]の[[固溶体]])を主成分とするものは鮮黄色〜淡黄色。着色力が大きく、耐[[アルカリ]]性・耐[[熱]]性・耐[[光]]性に優れているが、耐[[酸]]性が低く、[[カドミウム]]を含んでいるため有毒で高価である。かつては優れた耐熱性を利用して[[プラスチック]]の着色に多く使われてきたことでも知られている。アゾ系の黄色有機顔料が登場してからも、鮮明性に優れている為、[[塗料]]・[[インク]]、[[プラスチック]]・[[ゴム]]・[[ガラス]]・[[陶磁器]]の着色に使用されてきたが、カドミウムイエローと同等の堅牢性を持つ比較的鮮やかな黄色無機顔料の[[バナジン酸ビスマス|ビスマスバナジウム黄]]が登場してからはビスマスバナジウムイエローに置き換えられ<ref>[httpshttp://www.h-and-aartnavi.cone.jp/indexrepresentation/gazai/ecology/8.php?controller=BottomGazai&action=ecology_8html 画材のエコロジー 『アートなび』からの提言] - [https://www.h-and-a.co.jp/ 株式会社ハート・アンド・アート公式サイト]内のページ</ref>、[[2016年]]現在カドミウムイエローは[[絵具]]やプラスチックの着色に使われるのみとなっている。カドミウムイエローは淡色のものは淡色のビスマスバナジウム黄にも似た色合いであるが、濃色のカドミウム黄は濃色のビスマスバナジウム黄では到底及ばない、高彩度で不透明性の高い無機顔料である。
 
黄色絵具に使用される顔料としてアゾ系有機顔料はポピュラーであるが、有毒なカドミウムイエローも未だ使用されている。カドミウムイエローは高い不透明性と彩度により描画効率がよく、堅牢性にも優れる為に多くの[[画家]]に愛用されている。カドミウムイエローはその原料であるカドミウムが貴重な上有害である為、[[日本]]以外の国では純粋な硫化カドミウムからなるカドミウム黄及びカドミウムイエロー(PY37)は既に製造が中止されている。従って日本以外の国で製造・供給されているカドミウムイエローは全て、硫化カドミウム-硫化亜鉛からなるカドミウム黄である。特に[[ヨーロッパ]]では低公害化の動きが活発で、PY37よりは毒性が弱いPigment Yellow 35に代替されている。しかしながら日本では2009年現在Pigment Yellow 37、Pigment Yellow 35ともに流通しており、絵具も販売されている。絵具においては、先述の性質から人気が高く、カドミウム黄の優れた特性を全面的に具えた代替物は存在しない<ref>「WINSOR&NEWTON Artist's Water Colour Perfecting the Fine Art of Water Colours ― パーフェクトな水彩絵具を目指して ―」Winsor & Newton</ref>。したがって、代替顔料はカドミウム顔料が持つ優れた特性を必要としない場合にこそ勧められる。また、世間ではカドミウム化合物が環境に及ぼす影響を懸念する声が一部存在するが、絵具メーカーが使用するカドミウム顔料は、実用において他の物質に溶け出すことは無い。