「ゴジラvsデストロイア」の版間の差分

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| 配給 = [[東宝]]
| 公開 = {{Flagicon|JPN}} [[1995年]][[12月9日]]
| 上映時間 = 103分{{R|東宝特撮映画大全集248}}
| 製作国 = {{JPN}}
| 言語 = [[日本語]]
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| 次作 = [[ゴジラ2000 ミレニアム]]
}}
『'''ゴジラvsデストロイア'''』(ゴジラたいデストロイア、または、ゴジラ ブイエス デストロイア)は[[1995年]][[12月9日]]に公開された[[日本映画]]で、「[[ゴジラ|ゴジラシリーズ]]」の第22作である{{R|東宝特撮映画大全集249}}。カラー、ビスタビジョン、ドルビーステレオ{{R|東宝特撮映画大全集248}}。観客動員数は400万人。[[配給収入]]は20億円。キャッチコピーは「'''ゴジラ死す'''」{{R|東宝特撮映画大全集249}}
 
== 概要 ==
'''ゴジラの死を描いた作品'''として公開された、平成vsシリーズの完結編{{R|東宝特撮映画大全集249}}
 
1954年公開のシリーズ第1作『[[ゴジラ (1954年の映画)|ゴジラ]]』への[[オマージュ]]色が濃く、第1作に登場した山根恵美子が再登場し、回想シーンでも第1作の映像が使用されている他、タイトルコールにも第1作のメインタイトルを引用するなどの演出が盛り込まれている{{R|東宝特撮映画大全集249}}
 
この作品は1954年のシリーズ第1作から製作に携わっていた[[田中友幸]]の名前や「特技監督」がクレジットされる最後のゴジラ映画となっており{{R|東宝特撮映画大全集249|特撮全史}}、また、音楽担当の[[伊福部昭]]・特技監督の[[川北紘一]]・ゴジラのスーツアクターの[[薩摩剣八郎]]などもゴジラシリーズ最後の参加となった。
 
本作のゴジラの鳴き声は前作までと違い、甲高い鳴き声の中にうめき声のようなものが強調されている。
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** 助監督 - [[鈴木健二 (特撮監督)|鈴木健二]]
** 製作担当者 - 篠田啓助、小島太郎
** [[ゴジラ (架空の怪獣)|ゴジラ]]{{R|東宝特撮映画大全集249}} - [[薩摩剣八郎]]
** デストロイアII{{R|東宝特撮映画大全集249}} - [[播谷亮]]
** デストロイア{{R|東宝特撮映画大全集249}} - 柳田英一
** ゴジラジュニア{{R|東宝特撮映画大全集249}} - [[破李拳竜]]
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* 協力 - [[防衛省|防衛庁]]、[[東京都港湾局]]、[[東海大学|東海大学情報技術センター]]
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== 企画から製作までの経緯 ==
以前より製作が発表されながらも延期となっていたハリウッド版『[[GODZILLA]]』が1997年に公開される見通しが立ったことから{{efn|実際の公開は日米共に1998年であった。}}、平成ゴジラシリーズ最終作として製作された{{R|東宝特撮映画大全集251}}。
 
当初の仮タイトルは『ゴジラ死す』で、特技監督の[[川北紘一]]はそれまでの『ゴジラVS○○』という命名法から脱却し、この作品をシリーズ最終作とする意気込みを体現するつもりであった{{R|perfection159}}。その後、特報では『ゴジラ7』の仮タイトルで発表され、最終的に現在の題名となる。
 
本作の初期案は、初代ゴジラの生体エネルギーが幽霊のような「ゴーストゴジラ」として出現{{R|東宝特撮映画大全集250}}。ゴジラと戦い、ゴジラは倒されるが、ゴーストゴジラはジュニアによって倒される、というものだった。実体のない怪獣という面白い見せ方も考えられた。元々ゴジラのバリエーションが割と成功していたために企画されたが、やはり3作もゴジラとゴジラのバリエーション怪獣が戦う作品が連続するのはよろしくない{{efn|前作と前々作はそれぞれ[[スペースゴジラ]]と[[メカゴジラ#『ゴジラvsメカゴジラ』のメカゴジラ|メカゴジラ]]という、いずれもゴジラのバリエーション怪獣との対決ものになっていた。}}うえ、実体のないものに感情移入はしにくいのではないかということで不採用となっている。この脚本を持ってきたのは、川北曰くプロデューサーの[[富山省吾]]だったらしい。
 
ゴジラのメルトダウンと、デストロイアに相当する新怪獣「[[バルバロイ]]」{{R|東宝特撮映画大全集251}}が登場する企画は、川北組のとある人物が考えたとされる。川北側ではゴーストゴジラ案が没案となったことを受け、それなら「ゴジラを死なせる」ことを考え、唯一ゴジラを葬り去った兵器「オキシジェン・デストロイヤー」でも死ななかった最強の生物・デストロイアと戦わせるというプロットが生まれたという。プロデューサーの[[田中友幸]]はゴジラを死なせることに反対したそうだが、また復活することを前提に「ゴジラ死す」という企画が認められたとのこと<ref>{{Cite book |和書 |author = 冠木新市 |title = ゴジラ・デイズ ゴシラ映画クロニクル |pages = 406 |date = 1998 |publisher = [[集英社]] |series = 集英社文庫 |isbn = 4-08-748815-2}}</ref>{{R|東宝特撮映画大全集251}}。このため、公開当時のパンフレット冒頭にある田中の挨拶文には「またゴジラは必ずスクリーンに帰ってきます」との言葉が記されている。このインタビュー記事で川北は、『[[ゴジラvsスペースゴジラ]]』でゴジラを死なせた方がいいと考えていたことも明かしている。
 
ゴーストゴジラ案だった頃には、ゲスト怪獣として[[アンギラス]]の登場が検討されており、デザイン画も描かれていた。また、デストロイアがバルバロイと呼ばれていた頃には、その一形態としてアンギラス型の怪獣の登場も検討されていた<ref>{{Cite book |和書 |author = 川北紘一(特別監修) |title = 平成ゴジラ クロニクル |page = 197 |date = 2009 |publisher = [[キネマ旬報社]] |isbn = 978-4-873763194 }}</ref><ref>{{Harvnb|平成ゴジラパーフェクション|2012| p=156|loc=「平成ゴジラバーニング・コラム」}}</ref>。
 
『[[ゴジラvsビオランテ]]』から『[[ゴジラvsモスラ]]』まで監督や脚本に参加していたがそれ以降はシリーズに関わらなかった[[大森一樹]]は、ゴジラで描けることがある限りは参加すると表明しており、今回は川北と監督の[[大河原孝夫]]に口説かれ、ゴジラの死を描くことに賛同して再参加を決めた。プロットのやり取りは、大森が海外に滞在中でも[[ファクシミリ|FAX]]によって続けられた。大森は執筆中に[[阪神・淡路大震災]]に被災した経験から{{R|東宝特撮映画大全集251}}、火災鎮火のために冷凍レーザーを考案したという。
 
== 撮影 ==
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* デストロイアの形態に関して、完全体だけゴジラに類似する二足歩行のオーソドックスな怪獣の姿なのは、製作サイドの事情としてはスポンサー[[バンダイ]]の「最終形態だけは怪獣の姿にして欲しい」という要請によるものである。バンダイは作品自体には発光する「バーニングゴジラ」の着ぐるみのための透明素材やデストロイア集合体のソフトビニール人形(群れのシーンに使われている)を大量に提供している。
* 羽田空港でのバトルシーンでは駐機場に映っているのは架空の航空会社の飛行機(模型)ばかりだが、シーンラストのデストロイアがゴジラを滑走路に引きずる部分になると一転して実在する[[全日本空輸|全日空]]や[[日本航空]]の飛行機が映る(この部分だけ実写との合成のため)。
* タイアップイベントとして1995年12月3日に[[有明コロシアム]]にて'''ゴジラ告別式'''が催された{{R|東宝特撮映画大全集251|PERFECTION100}}。
* 本作でのシリーズ終了を惜しまれて、1995年度第33回[[ゴールデン・アロー賞]]で「特別賞」を贈られた(受賞者は「ゴジラ」名義)。
* 漫画『[[名探偵コナン]]』の第13巻の表紙において、東京港湾部の自衛隊vsデストロイア(幼体)の撮影ミニチュアが掲載されているが、これは作者の[[青山剛昌]]が東宝に使用要請を行い許可が下りたためである。要請理由は、コナン作中の『大怪獣ゴメラ』(ゴジラと[[ガメラ]]を掛け合わせた風貌のパロディ怪獣)製作現場で発生する殺人事件と表紙を関連させるためであったとアシスタントが語っている{{要出典|date=2016年12月28日 (水) 13:47 (UTC)}}。
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<ref name="PERFECTION100">{{Harvnb|平成ゴジラパーフェクション|2012|p=100|loc=「Memories of ゴジラVSデストロイア」}}</ref>
<ref name="perfection159">{{Harvnb|平成ゴジラパーフェクション|2012|p=159|loc=「ゴジラVSデストロイアのポイント」}}</ref>
<ref name="東宝特撮映画大全集248">{{Cite Harvnb|和書 |title = 東宝特撮映画大全集 |pages 2012|p= 248 - 251 |date loc= 2012 |publisher = [[ヴィレッ「『ゴブックラvsデ]] |isbn = 9784864910132トロイア』」}}</ref>
<ref name="東宝特撮映画大全集249">{{Harvnb|東宝特撮映画大全集|2012|p=249|loc=「『ゴジラvsデストロイア』作品解説/俳優名鑑」}}</ref>
<ref name="東宝特撮映画大全集250">{{Harvnb|東宝特撮映画大全集|2012|p=250|loc=「『ゴジラvsデストロイア』怪獣図鑑/兵器図録/資料館」}}</ref>
<ref name="東宝特撮映画大全集251">{{Harvnb|東宝特撮映画大全集|2012|p=251|loc=「『ゴジラvsデストロイア』撮影秘話/川北監督に訊く」}}</ref>
<ref name="特撮全史">{{Harvnb|特撮全史|2020|p=116-117|loc=「ゴジラVSデストロイア」}}</ref>
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* {{Cite book|和書|author= 間宮尚彦|title = ゴジラVSデストロイア超全集|date= 1996-1-1|publisher = [[小学館]]|series = てれびくんデラックス愛蔵版|isbn= 409101450X|ref = harv}}
* {{Cite |和書|editor= 野村宏平|title= ゴジラ大辞典|date= 2004|publisher = [[笠倉出版社]]|isbn= 4-7730-0292-1|ref = harv}}
* {{Cite book|和書|others=執筆:元山掌 松野本和弘 浅井和康 鈴木宣孝 加藤まさし|title=東宝特撮映画大全集|date=2012-09-28|publisher=[[ヴィレッジブックス]]|isbn=978-4-86491-013-2|ref={{SfnRef|東宝特撮映画大全集|2012}}}}
* {{Cite book|和書|year= 2012|author= 監修:[[川北紘一]]|title= 平成ゴジラパーフェクション|publisher= [[アスキー・メディアワークス]]|series= DENGEKI HOBBY BOOKS|isbn = 978-4-04-886119-9|ref={{SfnRef|平成ゴジラパーフェクション|2012}}}}
* {{Cite book|和書|date = 2020-01-07|title =キャラクター大全 特撮全史 1980〜90年代 ヒーロー大全|publisher = 講談社|isbn = 978-4-06-512925-8|ref = {{SfnRef|特撮全史|2020}}}}