「国民社会主義ドイツ労働者党」の版間の差分

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略称の日本語訳は、「ナチス」の他、戦前・戦中は「'''国粋社会党'''<ref>『[[東京朝日新聞]]』1933年1月31日号「[[惑星 (曖昧さ回避)|惑星]]ヒトラー氏 遂に政權を掌握す」の文中「國粹社會黨首領アドルフ・ヒトラー氏」など</ref>」「'''国民社会党'''<ref>米国産業協議会著、[[法政大学大原社会問題研究所|大原社会問題研究所]]訳『国民社会党下における独逸の労働及経済』</ref>」なども使用された。
 
ナチス・ドイツ時代の[[メディア]]などを研究する[[佐藤卓己]]は、'''国民'''社会主義」と訳すべきと主張する{{sfn|佐藤卓己|2018|p=62}}。佐藤は、「{{lang|de|National}}」を「国家-」とするのは誤訳であり{{sfn|佐藤卓己|2018|p=62}}、現代ドイツ史の専門家でこのように訳す者はいないと主張する{{sfn|佐藤卓己|2011|p=15}}。佐藤はさらに、「国家- 」と誤訳され続ける背景には「国家の責任のみ追求して国民の責任を問おうとしない心性」があると主張する{{sfn|佐藤卓己|2018|p=62}}。ドイツ近現代史専門の[[石田勇治]]も、「{{lang|de|National}}」は「国家({{lang|de|Staat}})ではなく、国民あるいは民族という意味で用いられている」と指摘している{{sfn|長谷部恭男|石田勇治|2017|p=86}}。石田は、「ナチズムは国家ではなく、国民・民族を優先する思想」であり、党名を「国家- 」と訳すとそのナチズムの本質を見誤ってしまうため、日本語訳は「国民- 」とすべきと主張する{{sfn|長谷部恭男|石田勇治|2017|p=86}}。2021年には[[小野寺拓也]]も、高校世界史教科書での具体的な採用状況を挙げたうえで(「国民社会主義ドイツ労働者党」([[東京書籍]]、[[帝国書院]]、[[実教出版]])、「国民(国家)社会主義」([[山川出版社]]))、上記の2つの主張を踏まえて「国民社会主義」との訳語の方が適切である旨述べている<ref>小野寺拓也「[https://gendai.ismedia.jp/articles/-/81126 なぜナチズムは「国家社会主義」ではなく「国民社会主義」と訳すべきなのか 「訳語」はこんなに重要です]」現代ビジネス</ref>。2020年には[[田野大輔]]が「ヒトラーは社会主義者だ」とする主張に反論するうえで、訳語についても触れ、「『国家(Staat)』と『国民(Nation)』の混同を避ける目的から、近年では『国民社会主義』という訳語が一般的になっている」としている<ref>[https://gendai.ismedia.jp/articles/-/69830 田野大輔、ヒトラーを「左翼」「社会主義者」と見なしてはいけない理由 安易なレッテル貼りの危うさ]</ref>。
<ref>[https://gendai.ismedia.jp/articles/-/81126 小野寺 拓也、なぜナチズムは「国家社会主義」ではなく「国民社会主義」と訳すべきなのか 「訳語」はこんなに重要です]</ref>。2020年には[[田野大輔]]が「ヒトラーは社会主義者だ」とする主張に反論するうえで、訳語についても触れ、「『国家(Staat)』と『国民(Nation)』の混同を避ける目的から、近年では『国民社会主義』という訳語が一般的になっている」としている<ref>[https://gendai.ismedia.jp/articles/-/69830 田野大輔、ヒトラーを「左翼」「社会主義者」と見なしてはいけない理由 安易なレッテル貼りの危うさ]</ref>。
 
経済学者の[[瀬戸丘紘]]は、「ファシズムにとって『階級』ならぬ『民族』を意識させ『民族』意識をテコとすることは決定的に重要だった」との理由から、「国家- 」ではなく「民族- 」の訳語を用いている{{Sfn|瀬戸丘紘|2009|pp=437–438}}。