「赤色矮星」の版間の差分

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この研究の趣旨は「K型・G型主系列星では金属量が低い古い星が少ないことが知られていたが、それが赤色矮星にも当てはまることが分かった」というものです
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より重い恒星が進化して主系列を離れてからも赤色矮星やその他の低質量星は主系列に留まり続けるという事実から、[[星団]]内で既に主系列を離れた恒星の質量を元にしてその星団の年齢を推定することができる。この手法から[[宇宙]]の年齢の下限値が与えられるほか、[[銀河ハロー]]や[[銀河円盤]]などのような[[銀河系]]内の構造の形成時間スケールの下限値を推定することができる。
 
観測されている全ての赤色矮星は「[[金属量|金属]]」を含んでいる。ここで言う金属とは[[天文学]]における金属であり、水素とヘリウムより重い元素を指す。[[ビッグバン]]理論によると、第一世代の恒星は水素とヘリウム、そして微量の[[リチウム]]のみからなり、したがって低金属量であると予想される。赤色矮星は極めて寿命が長いため、初代星 ([[星の種族|種族III]]の恒星) として宇宙初期に誕生した赤色矮星は現在でも存在しているはずである。しかし、金属量が低い赤色矮星は希少である。現在受け入れられている宇宙の化学進化モデルでは、宇宙初期の金属が欠乏した環境では巨大な恒星のみが形成されると考えられているため、金属量が低い矮星も少ないと予想されている。巨大な恒星が[[超新星]]爆発を起こしてその短い生涯を終えると、より小さい恒星を形成するために必要な重元素を周囲に放出する。そのため、宇宙が年老いて金属が増加するにつれて、軽い恒星がより一般的な存在になっていく。宇宙初期に形成された年老いた低金属量の赤色矮星は基本的に数が少ない{{R|astrobites20120215|Woolf 2012}}。同様のことが予想されている一方、観測で発見されているそのような赤色矮星の数予測よりもさらに少ない。暗い赤色矮[[K型主系列星]]や[[G型主系列は検出することが非常に難しいという観測バイアスがこの食い違いの原因]]あると考えも知られていたが、その後発展した観測技術はこの食い違いの存在をさらに浮き彫りにしただけであった<refる{{R|Woolf name="astrobites20120215"/>2012}}
 
軽い赤色矮星と最も重い褐色矮星の境界となる質量は、金属量に強く依存する。太陽と同じ金属量の場合、境界は0.07太陽質量程度であるが、金属量がゼロの環境では0.09太陽質量程度となる。太陽金属量では最も軽い赤色矮星は理論的には 1700 K 程度の温度になるが、太陽の近傍にある赤色矮星の温度の測定からは、最も低温なものはおよそ 2075 K でスペクトル分類は L2 であることが示唆されている。理論的な予測では、金属量がゼロである最も低温な赤色矮星の温度はおよそ 3600 K となる。最も軽い赤色矮星の半径はおよそ0.09太陽半径だが、より重い赤色矮星とより軽い褐色矮星はどちらもそれより大きな半径を持つ<ref name="DieterichHenry2014"/><ref name="BurrowsHubbard2001"/>。
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<ref name="WilliamsCasewell2015">{{cite journal |last1=Williams |first1=P. K. G. |last2=Casewell |first2=S. L. |last3=Stark |first3=C. R. |last4=Littlefair |first4=S. P. |last5=Helling |first5=Ch. |last6=Berger |first6=E. |title=THE FIRST MILLIMETER DETECTION OF A NON-ACCRETING ULTRACOOL DWARF |journal=The Astrophysical Journal |volume=815 |issue=1 |year=2015 |pages=64 |issn=1538-4357 |doi=10.1088/0004-637X/815/1/64 |arxiv=1511.05559 |bibcode=2015ApJ...815...64W}}</ref>
 
 
<ref name="Woolf 2012">{{cite journal |authors="Woolf, V. M. and West, A. A. |title=The M dwarf problem in the Galaxy |journal=Monthly Notices of the Royal Astronomical Society |volume=422 |year=2012 |pages=1489 |doi=10.1111/j.1365-2966.2012.20722.x |bibcode=2012MNRAS.422.1489W}}</ref>
 
<ref name="SahuCasertano2006">{{cite journal |last1=Sahu |first1=Kailash C. |last2=Casertano |first2=Stefano |last3=Bond |first3=Howard E. |last4=Valenti |first4=Jeff |last5=Ed Smith |first5=T. |last6=Minniti |first6=Dante |last7=Zoccali |first7=Manuela |last8=Livio |first8=Mario |last9=Panagia |first9=Nino |last10=Piskunov |first10=Nikolai |last11=Brown |first11=Thomas M. |last12=Brown |first12=Timothy |last13=Renzini |first13=Alvio |last14=Rich |first14=R. Michael |last15=Clarkson |first15=Will |last16=Lubow |first16=Stephen |title=Transiting extrasolar planetary candidates in the Galactic bulge |journal=Nature |volume=443 |issue=7111 |year=2006 |pages=534–540 |issn=0028-0836 |doi=10.1038/nature05158 |arxiv=astro-ph/0610098 |bibcode=2006Natur.443..534S}}</ref>