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{{馬齢旧}}
{{競走馬
|名 = ナリタブライアン
|英 = {{lang|en|Narita Brian}}
|画 = [[ファイル:Narita Brian 19960309R1.jpg|260px]]
|説 = 第44回阪神大賞典<br />（1996年3月9日、阪神競馬場）
|性 = [[牡馬|牡]]
|色 = [[黒鹿毛]]
|斑 = [[ウマ#白斑|星額刺毛鼻梁鼻白]]<ref group="†">額及び鼻梁、鼻部に[[ウマ#白斑|白斑]]（白い斑点）、額に刺毛（白斑に至らない毛の集まり）があることを意味する。なお頭部以外に白斑はない。</ref>・[[ウマ#旋毛|珠目上]]<ref group="†">頭部に「珠目上」と称される[[ウマ#旋毛|旋毛]]（つむじ）があることを意味する（より具体的には目から上の位置につむじがあるということ）。</ref>
|種 = [[サラブレッド]]
|生 = [[1991年]][[5月3日]]
|死 = {{死亡年月日と没馬齢|p=1|1991|5|3|1998|9|27}}
|登 = 1993年5月20日
|抹 = 1996年11月20日
|父 = [[ブライアンズタイム]]
|母 = [[パシフィカス]]
|母父 = [[ノーザンダンサー|Northern Dancer]]
|産 = [[資生園早田牧場|早田牧場]]新冠支場
|国 = {{JPN}}（[[北海道]][[新冠町]]）
|主 = [[山路秀則]]
|調 = [[大久保正陽]]（[[栗東トレーニングセンター|栗東]]）
|厩 = 村田光雄
|績 = 21戦12勝
|金 = 10億2691万6000円
|medaltemplates =
{{MedalGI|[[朝日杯フューチュリティステークス|朝日杯3歳S]]|1993年}}
{{MedalGI|[[皐月賞]]|1994年}}
{{MedalGI|[[東京優駿]]|1994年}}
{{MedalGI|[[菊花賞]]|1994年}}
{{MedalGI|[[有馬記念]]|1994年}}
{{MedalGII|[[スプリングステークス|スプリングS]]|1994年}}
{{MedalGII|[[阪神大賞典]]|1995年・1996年}}
{{MedalGIII|[[共同通信杯|共同通信杯4歳S]]|1994年}}
}}
'''ナリタブライアン'''（''Narita Brian''、[[1991年]][[5月3日]] - [[1998年]][[9月27日]]）は、[[日本]]の[[競走馬]]・[[種牡馬]]。
[[中央競馬]]史上5頭目の[[中央競馬クラシック三冠#クラシック三冠|クラシック三冠馬]]であり、そのトレードマークから「'''シャドーロールの怪物'''」という愛称で親しまれた。1993年8月にデビューし、同年11月から[[1995年]]3月にかけてクラシック三冠を含む[[競馬の競走格付け|GI]]5連勝、10連続[[連対]]を達成し、1993年[[JRA賞最優秀2歳牡馬|JRA賞最優秀3歳牡馬]]<ref group="†" name="JRA">JRA賞の部門名はいずれも当時の名称。</ref>、[[1994年]]JRA賞年度代表馬および[[JRA賞最優秀3歳牡馬|最優秀4歳牡馬]]<ref group="†" name="JRA"/>に選出された。1995年春に故障（股[[関節]][[炎症|炎]]）を発症したあとは低迷し、6戦して[[重賞]]を1勝するにとどまった（GIは5戦して未勝利）が、[[第44回阪神大賞典]]における[[マヤノトップガン]]との[[マッチレース]]や短距離戦である[[第26回高松宮杯]]への出走によってファンの話題を集めた。第26回高松宮杯出走後に発症した[[屈腱炎]]が原因となって[[1996年]]10月に競走馬を引退した。引退後は[[種牡馬]]となったが、[[1998年]]9月に[[胃]]破裂を発症し、[[予後不良 (競馬)|安楽死]]の措置がとられた。
[[競走馬の血縁関係|半兄]]に[[1993年]]の[[JRA賞]]年度代表馬[[ビワハヤヒデ]]がいる。[[1997年]][[日本中央競馬会]]（JRA）の[[顕彰馬]]に選出<ref name="yusyun19970467">{{Cite journal|和書|publisher=日本中央競馬会|journal=優駿|year=1997|month=4|page=67|title=今月のトピックス『ナリタブライアン顕彰馬に決定 - トウカイテイオー以来、24頭目の“殿堂入り”』}}</ref>。
== 生涯 ==
=== 誕生・デビュー前 ===
ナリタブライアンは[[1991年]][[5月3日]]、[[北海道]][[新冠町]]にある[[資生園早田牧場|早田牧場]]新冠支場にて誕生した。父・[[ブライアンズタイム]]は早田牧場が中心となった[[種牡馬#シンジケート|シンジケート]]が組まれて[[アメリカ合衆国|アメリカ]]から輸入された種牡馬であり、本馬はその初年度産駒にあたる。母・[[パシフィカス]]にとって本馬は第5仔であるが、本馬が生まれる2年前の[[1989年]]に[[シャルード]]の産駒を宿した状態で[[イギリス]]・[[ニューマーケット#イギリス|ニューマーケット]]で行われたノベンバーセールに上場され、牧場経営者の[[早田光一郎]]に3万1千ギニー（約560万円）で落札され、翌1990年に本馬の半兄・ビワハヤヒデを出産していた<ref>[[#木村1998/6|木村1998/6]]、145頁。</ref>。
早田や場長の太田三重によると、誕生後しばらくはこれといって目立つ馬ではなかったが<ref name="retsuden116">[[#名馬列伝ナリタブライアン|名馬列伝ナリタブライアン]]、116頁。</ref><ref>[[#橋本1997|橋本1997]]、13-14頁。</ref>、次第にその身体能力が鍛錬にあたった牧場スタッフによって高く評価されるようになった。1992年10月以降、資生園早田牧場新冠支場で行われた初期調教においてナリタブライアンの調教を担当した其浦三義は、バネや背中の柔らかさ、敏捷性において半兄のビワハヤヒデをはるかに超える素質を感じたと述べている<ref name="hashimoto34">[[#橋本1997|橋本1997]]、34頁。</ref>。また早田によると、初期調教が行われていた時期に複数の[[ウマ|馬]]に牧場内の坂を上り下りさせる運動をさせたころ、ナリタブライアンだけまったく呼吸が乱れなかったという<ref name="retsuden116"/>。一方で[[調教]]中に水たまりに驚いて騎乗者を振り落とすなど臆病な気性も見せた<ref name="hashimoto35">[[#橋本1997|橋本1997]]、35頁。</ref>{{#tag:ref|なお、デビュー前の[[1992年]]3月から10月にかけては資生園早田牧場えりも分場において[[放牧#昼夜放牧|昼夜放牧]]によって鍛錬された<ref>[[#名馬列伝ナリタブライアン|名馬列伝ナリタブライアン]]、117頁。</ref>。|group="†"}}。
ナリタブライアンは[[庭先取引]]によって[[山路秀則]]に購入され、[[中央競馬]]の[[調教師]][[大久保正陽]]の厩舎で管理されることが決定した。早田によるとナリタブライアンの馬主が山路に、調教師が大久保に決定した経緯は以下の通りである。まず[[家畜]]取引[[商人|商]]・工藤清正の仲介により大久保に紹介され、大久保が山路に購入を打診。山路と大久保が資生園早田牧場を訪れ購入が決定した。大久保はのちに「ビワハヤヒデの活躍が早ければナリタブライアンは自分のところにはやってこなかった」と述懐している<ref>[[#橋本1997|橋本1997]]、27-32頁。</ref>。取引価格は山路によれば「2,400万か2,500万」円から「100万くらい」値引きしてもらった額であったという<ref>{{Cite journal|和書|author=石川喬司|authorlink=石川喬司|publisher=[[日本中央競馬会]]|journal=[[優駿]]|year=1994|month=10|page=44|title=優駿・ロングインタビュー 山路秀則『馬、また人を選ぶ』}}</ref>。
=== 競走馬時代 ===
==== 3歳（1993年） ====
===== 競走内容 =====
ナリタブライアンは[[1993年]][[5月13日]]に[[日本中央競馬会]]（JRA）の馬体検査を受け合格<ref name="hashimoto35"/>。同年[[5月19日]]、[[栗東トレーニングセンター]]の大久保正陽[[厩舎]]に入厩した<ref>[[#橋本1997|橋本1997]]、38頁。</ref>。[[主戦騎手]]は[[南井克巳]]に決定した。その経緯について南井は、大久保に「君はダービーを勝ったことがあるか」と問われ、ないと答えたところ「じゃあうちの馬に乗ってダービーを勝ってくれないか」と持ちかけられたと述べている<ref name="hashimoto41">[[#橋本1997|橋本1997]]、41頁。</ref><ref>[[#さようならナリタブライアン全書|さようならナリタブライアン全書]]、39頁。</ref><ref>[[#杉本2001|杉本2001]]、116-118頁。</ref>{{#tag:ref|片山良三は、南井は「いいえ。勝ちたい気持ちばかりで現実はうまくいきません」と答えたところ、大久保が「じゃあ、願いが叶う（ダービー制覇）かもしれない馬に乗ってもらおうかな」と言って南井をナリタブライアンに対面させたとしている<ref name="number340-32">[[#片山1994|片山1994]]（『Sports Graphic Number』340号、32頁。）</ref>。|group="†"}}。ただし、大久保はこうしたやり取りがあったことを否定している<ref name="hashimoto41"/>。ナリタブライアンに初めて騎乗した南井は、次のような思いを抱いたという。
{{Quotation|そうなんだ……何というか、跨いだ瞬間から、あっ、これ、これは、これまでの馬とは違うなって感じだった。追い切りで15-15からあとの速い[[歩法 (馬術)#駈歩|キャンター]]にギア・チェンジするとき、グググッと重心を下げて加速してくる。体の前半分がグンと落ちて、そのあとでギューンと前へ動く。あっ、この感触、今までに一度だけ体験したことがある。そうだ。[[オグリキャップ]]に追い切りで乗った時と同じだ。ウワァ、すごいって感じだった。|[[#木村2000|木村2000]]、102頁。}}
[[8月15日]]、ナリタブライアンは[[函館競馬場]]の[[新馬|新馬戦]]でデビューした。「[[ビワハヤヒデ]]の弟」として注目を集め2番[[人気]]に支持されたが2着に敗れ、[[ローテーション (競馬)|中1週]]で再び同競馬場の新馬戦に出走して初勝利を挙げた。その後、3戦目の[[重賞]][[函館2歳ステークス|函館3歳ステークス]]と5戦目の重賞[[デイリー杯2歳ステークス|デイリー杯3歳ステークス]]ではそれぞれ6着と3着に敗れたものの、4戦目のきんもくせい特別と6戦目の[[京都2歳ステークス|京都3歳ステークス]]を優秀な走破タイム{{#tag:ref|前者は当時の[[福島競馬場]][[芝]]1,700メートルにおける3歳馬レコードに0.1秒差、後者は[[京都競馬場]]芝1,800メートルにおける従来の3歳馬のレコードを1.1秒更新した。|group="†"}}で優勝した。1番[[人気]]に支持された[[競馬の競走格付け|GI]][[朝日杯フューチュリティステークス|朝日杯3歳ステークス]]では、序盤に[[馬群]]の中ほどにつけ第3コーナーで前方へ進出を開始する走りを見せ優勝。GI初優勝を達成し、同年のJRA賞最優秀3歳牡馬に選ばれた。
===== 気性面の問題と対策 =====
デビュー後まもなく、ナリタブライアンには気性面で2つの問題が現れた。1つは常にテンションが高く、特にレースが近づくとそれを察知し一層興奮する傾向があったことである<ref>[[#名馬列伝ナリタブライアン|名馬列伝ナリタブライアン]]、119頁。</ref>。この問題に対処するために、大久保は[[ローテーション (競馬)|ローテーション]]の間隔を詰めて多くのレースに出走させることによって同馬のエネルギーを発散させ興奮を和らげようとした{{#tag:ref|3歳時にデビューからの4か月間に7回レースに出走したことのほか、4歳時にスプリングステークスに出走したことおよび6歳時に高松宮杯に出走したことにもそうした意図が関係していた。|group="†"}}。ただしこの傾向は栗東トレーニングセンター内においてのみ表れた症状であり、のちにナリタブライアンが股関節炎を発症し早田牧場で休養していたときは大人しく、様子を見るために訪れた大久保が「牧場ではこんなに穏やかで優しい目をしているのか」と言ったほどであった<ref>[[#名馬列伝ナリタブライアン|名馬列伝ナリタブライアン]]、120-121頁。</ref>。
2つ目の問題は生来臆病な性格であったために疾走中に自分の影を怖がり、レースにおいて走りに集中することができなかったことである。この問題はシャドーロールを装着させて下方の視界を遮ることによって解決され<ref>[[#大川1997|大川1997]]、168頁。</ref>、初めてシャドーロールが装着された京都3歳ステークス以降のレースでは[[競馬評論家]]の[[大川慶次郎]]が「'''精神力のサラブレッド'''」と評するほどの優れた集中力を発揮するようになった<ref>[[#名馬列伝ナリタブライアン|名馬列伝ナリタブライアン]]、88頁。</ref>。江面弘也はシャドーロールを装着するに至った理由について、大久保の父である亀治がかつて管理していた[[パッシングゴール]]が鼻に[[シャドーロール]]を装着してから成績が安定したことを思い出したからだとしている<ref>[[#江面2017|江面2017]]、227頁。</ref>、
もっともシャドーロール装着以前からナリタブライアンの関係者は同馬の素質を高く評価しており、大久保や南井は同馬が敗れたレースにおいてもその素質を賞賛するコメントを残した（[[#ナリタブライアンの関係者による評価|ナリタブライアンの関係者による評価]]を参照）。
==== 4歳（1994年） ====
===== 競走内容 =====
4歳となったナリタブライアンの緒戦には、[[東京優駿|東京優駿（日本ダービー）]]を見据え[[東京競馬場]]のコースを経験させておこうという大久保の意向により、[[1994年]][[2月14日]]の[[共同通信杯|共同通信杯4歳ステークス]]が選ばれた<ref>[[#橋本1997|橋本1997]]、75-76頁。</ref>。レースでは馬群の中ほどに控え、最後の直線入り口で早くも先頭に並びかけるとそのまま抜け出して優勝した。なお前日には兄のビワハヤヒデが[[京都記念]]を優勝しており、兄弟による連日の重賞制覇となった{{#tag:ref|共同通信杯4歳ステークスは本来京都記念と同じ日に行われる予定であったが、積雪によって施行日が1日順延したため、兄弟による同日重賞制覇とはならなかった。|group="†"}}<ref>[[#さようならナリタブライアン全書|さようならナリタブライアン全書]]、20頁。</ref><ref>[[#橋本1997|橋本1997]]、77-80頁。</ref>。
共同通信杯のあと、大久保はクラシック第一戦の[[皐月賞]]に向け[[スプリングステークス]]を経由して出走することを決定。この出走は[[#気性面の問題と対策|前述のように]]気性面の問題に対処するためのものであった。レースでは第3コーナーで最後方から[[脚質#まくり|まくり]]をかけ優勝した。この時点で[[中央競馬クラシック三冠]]の可能性が取りざたされるようになり<ref name="jinchi5">[[#瀬戸1997|瀬戸1997]]、第5話。</ref>、皐月賞では単勝支持率49.8%、単勝オッズ1.6倍という圧倒的な1番人気に支持された<ref>[[#サラブレッド99頭の死に方|サラブレッド99頭の死に方]]、108頁。</ref>。同レースではゴール前200メートルの地点から抜け出すと、[[中山競馬場]]芝2,000メートルのコースレコードを0.5秒破る走破タイムで優勝し<ref name="number456-65">[[#江面1998|江面1998]]（『Sports Graphic Number』456号、65頁。）</ref>、5連勝を達成するとともにクラシック一冠を獲得した{{#tag:ref|なお、この時調教師の大久保は[[虫垂炎|盲腸]]を患い投薬治療を受けていた影響（表向きは風邪をひいたためとされた）から自宅で静養中で、ナリタブライアンの表彰式には出席できなかった<ref>[[#橋本1997|橋本1997]]、85-87頁。</ref>。ちなみに大久保は前年の朝日杯3歳ステークスの時も[[香港]]・[[沙田競馬場]]へ遠征した管理馬のナリタチカラに同行していたため表彰式に出席していない<ref>[[#橋本1997|橋本1997]]、69-70頁。</ref>。|group="†"}}（スプリングステークスおよび皐月賞に関する詳細については[[第54回皐月賞]]を参照）。
続く東京優駿では皐月賞の内容がファンによって高く評価され、単勝支持率・単勝オッズ共に皐月賞を上回る61.8%、1.2倍をそれぞれ記録して1番人気に支持された<ref>[[#サラブレッド99頭の死に方|サラブレッド99頭の死に方]]、109頁。</ref>。同レースでは直線の長い[[東京競馬場]]でありながら、[[脚質#まくり|まくり]]をかけながらも直線に入って大外に持ち出し<ref name="number456-65"/>、出走馬の中でもっとも速い[[上がり (競馬)|上がり]]を繰り出して優勝。[[二冠馬|クラシック二冠]]を達成した。レース後、[[野平祐二]]はナリタブライアンを自身が管理した[[シンボリルドルフ]]と比較し、「これからいろいろあるだろうが、現時点ではブライアンが上かな」と評した<ref name="retsuden30">[[#名馬列伝ナリタブライアン|名馬列伝ナリタブライアン]]、30頁。</ref><ref name="'94-57">[[#臨時増刊号Gallop'94|臨時増刊号Gallop'94]]、57頁。</ref><ref name="jinchi5"/>。ただし野平は股関節炎を発症したあとのナリタブライアンのレースを見て、「ルドルフを超えたかな、と思ったときもありました」「あらためて、シンボリルドルフという馬の真価が、わかるような気がします」と評価を改めている<ref name="sinbori96">[[#名馬列伝シンボリルドルフ|名馬列伝シンボリルドルフ]]、96頁。</ref>（レースに関する詳細については[[第61回東京優駿]]を参照）。
東京優駿の後、夏場は[[札幌競馬場|札幌]]・[[函館競馬場|函館]]の両競馬場において調整された。これは避暑を行うとともに厩舎スタッフが直接調整を行うための措置であった。通常、出走予定のない競走馬に両競馬場内の馬房が与えられることはないが、ナリタブライアンの実績が考慮され、特例で許可された<ref>[[#橋本1997|橋本1997]]、123-126頁。</ref>。[[9月4日]]の昼休みには函館競馬場内の[[パドック]]においてファンへの披露が行われた<ref>[[#さようならナリタブライアン全書|さようならナリタブライアン全書]]、40頁。</ref><ref>[[#橋本1997|橋本1997]]、126頁。</ref>。北海道に滞在中、ナリタブライアンは大久保が「一時は菊花賞を回避することも考えた」と振り返るほど体調を崩し、調整に大幅な遅れが生じた<ref name="tsuitou12">[[#石田1998|石田1998]]（『優駿』1998年11月号、12頁。）</ref>。
ナリタブライアンの秋緒戦には[[菊花賞]][[トライアル競走]]の[[京都新聞杯]]が選択された。ナリタブライアンは[[投票券 (公営競技)#単勝式|単勝]]支持率77.8%、単勝[[オッズ]]1.0倍の圧倒的1番人気に支持されたが、北海道から[[栗東トレーニングセンター]]へ戻ったあと、それほど強い調教が課されていなかったことから体調面を懸念する声もあり、「ナリタブライアンが負けるとすればこのレース」とも言われた<ref>[[#名馬列伝ナリタブライアン|名馬列伝ナリタブライアン]]、32頁。</ref>。レースでは最後の直線で一時先頭に立つも内から伸びてきた[[スターマン (競走馬)|スターマン]]に競り負けて2着に敗れ、懸念が的中する形となった。そして迎えた[[菊花賞]]では、京都新聞杯出走後ナリタブライアンの体調は上向いたと判断され、クラシック三冠達成への期待も相まって単勝オッズ1.7倍の1番人気に支持された<ref>[[#サラブレッド99頭の死に方|サラブレッド99頭の死に方]]、110頁。</ref>。レースでは、早めに抜け出すと後続を突き放し、芝状態は稍重だったにもかかわらず兄ビワハヤヒデが前年にマークしたレースレコードを更新する走破タイムで優勝し、日本競馬史上5頭目となるクラシック三冠を達成した。菊花賞でのナリタブライアンのレースぶりについて[[武豊]]は、「まず2,000メートルの競馬を走って勝って、そのまま別のメンバーと1,000メートルの競馬をやってぶっちぎったようなもの」と評している<ref>[[#武・島田2004|武・島田2004]]、268頁。</ref>（京都新聞杯および菊花賞に関する詳細については[[第55回菊花賞]]を参照）。
[[古馬]]との初対戦となった[[有馬記念]]ではファン投票において17万8471票の票数を集め、当日は単勝オッズ1.2倍（2番人気の[[ネーハイシーザー]]は12.3倍）の圧倒的な1番人気に支持された<ref name="sinikata111">[[#サラブレッド99頭の死に方|サラブレッド99頭の死に方]]、111頁。</ref>。レースでは4コーナーで早くも先頭に立つと、そのまま突き抜けて優勝（レースに関する詳細については[[第39回有馬記念]]を参照）。1994年の通算成績を7戦6勝・GI4勝とし、同年のJRA賞年度代表馬および最優秀4歳牡馬に選ばれた。年度代表馬選考において、投票総数172票のうち171票を獲得して選出されたが、1票のみ[[ノースフライト]]に投票されたため満票は逃した<ref>[[#橋本1997|橋本1997]]、174-175頁。</ref>。最優秀4歳牡馬については、満票で選出された<ref name="hashimoto174">[[#橋本1997|橋本1997]]、174頁。</ref>。年間総収得賞金は、史上最高額となる7億1,280万2,000円であった<ref name="hashimoto174"/>。
===== 幻に終わったビワハヤヒデとの兄弟対決 =====
[[野平祐二]]が第54回皐月賞を「大人と子供の戦い」<ref>[[#臨時増刊号Gallop'94|臨時増刊号Gallop'94]]、44頁。</ref>、東京優駿を「1頭だけ別次元」<ref name="'94-57"/>と評したように、ナリタブライアンはクラシック三冠の序盤においてすでに同世代の競走馬を能力的に大きく凌ぐ存在として認識された。そのため1994年上半期の古馬中長距離路線において3戦3勝、GI2勝の成績を収めた兄ビワハヤヒデを最大のライバルとみなし、兄弟対決に期待するムードが高まった<ref>[[#橋本1997|橋本1997]]、138頁。</ref>。ビワハヤヒデの管理調教師であった[[浜田光正]]は、ナリタブライアンが皐月賞を優勝した際に本馬について「4歳春の時点での単純比較なら、すでにビワハヤヒデを超えている」と評し、「順調なら暮れの有馬記念で兄弟対決が避けられないからね」と語り<ref name="number340-32"/>、ビワハヤヒデが[[天皇賞]]（春）を優勝した時点で「弟があんな強い勝ち方をするんだから兄の面目にかけても負けられない。年度代表馬の座を賭けることになるだろう」というコメントを出した<ref>[[#臨時増刊号Gallop'94|臨時増刊号Gallop'94]]、48頁。</ref>。ナリタブライアンが東京優駿を勝利した直後には、「兄弟対決は絶対やりたい。それまでビワは放牧に出さずしっかり作るつもりです」と兄弟対決に強い意欲を示していた<ref>[[#木村1998/2|木村1998/2]]、17頁。</ref>。一方、2頭の生産者である早田光一郎は、ナリタブライアンが皐月賞を勝った時点で「ビワハヤヒデよりも上」と評価していた<ref>[[#さようならナリタブライアン全書|さようならナリタブライアン全書]]、27頁。</ref>。また武豊はビワハヤヒデが宝塚記念で圧勝した直後に「ナリタブライアンなら、もっとすごい勝ち方をしていたはず。現時点でもナリタブライアンの方が上。あの馬の強さはケタ違い」と語っている<ref name="武・島田2004-17">[[#武・島田2004|武・島田2004]]、17頁。</ref><ref name="武・島田2007-191193">[[#武・島田2007|武・島田2007]]、191-193頁。</ref>。
ビワハヤヒデ陣営は後半シーズン開始前に[[ジャパンカップ]]不出走を表明したため、有馬記念における兄弟対決実現に期待が集まったが、ビワハヤヒデは天皇賞（秋）において発症した故障により引退を余儀なくされ、対決は実現しなかった<ref>[[#名馬列伝ビワハヤヒデ|名馬列伝ビワハヤヒデ]]、46-47頁。</ref>。天皇賞から一週間後に行われた菊花賞において実況を行った[[杉本清]]は、最後の直線でナリタブライアンが先頭に立つと「弟は大丈夫だ」という言葉を数回挿みながらその模様を伝えた<ref>[[#杉本1995|杉本1995]]、96頁。</ref>。
兄弟の比較について、野平祐二は「中距離では互角、長距離では心身両面の柔軟性に優れるナリタブライアンにやや分がある」<ref>[[#臨時増刊号Gallop'94|臨時増刊号Gallop'94]]、63頁。</ref>と述べている。血統評論家の久米裕は2頭について「血統構成上は甲乙つけがたい」としたうえで、1,600 - 2,000メートルではビワハヤヒデが有利、2,400メートルでは互角、3,000 - 3,200メートルではナリタブライアンが有利と述べている<ref>[[#名馬列伝ナリタブライアン|名馬列伝ナリタブライアン]]、74-75頁。</ref><ref>[[#名馬列伝ビワハヤヒデ|名馬列伝ビワハヤヒデ]]、82-83頁。</ref>。[[競馬評論家]]の[[大川慶次郎]]は有馬記念における対決が実現していた場合の結果について、「ビワハヤヒデが有馬記念に出ていたら勝っていたんじゃないか」と予想している<ref>[[#名馬列伝ビワハヤヒデ|名馬列伝ビワハヤヒデ]]、99頁。</ref>。
==== 5歳（1995年） ====
===== 競走内容 =====
有馬記念後は放牧に出さず栗東トレーニングセンター内の厩舎で調整を行い、天皇賞（春）優勝を目指した。緒戦の候補には[[阪神大賞典]]および[[大阪杯]]が挙がったが、「休み明けはゆったりしたペースの中で走らせたい」という大久保の意向により、長距離戦である阪神大賞典（[[3月12日]]施行）が選ばれた。1月に発生した[[兵庫県南部地震]]（[[阪神・淡路大震災]]）にともなう影響で京都で行われた同レースにおいてナリタブライアンは単勝元返しとなる圧倒的な1番人気に支持され<ref name="sinikata111"/>、生涯最速の上がり（3[[ハロン (単位)|ハロン]]33.9秒）を繰り出し、直線で抜け出すと独走で優勝した。しかしレースから11日後の[[3月23日]]、腰に疲労が蓄積しているとの診断を受けた。厩舎スタッフは軽めの運動をさせつつ天皇賞（春）出走を目指したが、[[4月7日]]に右股[[関節]][[炎症|炎]]（全治2か月）を発症していることが判明。天皇賞（春）への出走は断念された<ref>[[#橋本1997|橋本1997]]、187-189頁。</ref>。
ナリタブライアンは約1か月間厩舎で静養したのち早田牧場新冠支場で療養生活を送り、7月上旬から2か月にわたって函館競馬場内において調整が行われた<ref>[[#橋本1997|橋本1997]]、191-193頁。</ref>。このとき軽い運動しか行われなかったため、[[マスメディア|マスコミ]]によって体調不安が指摘された<ref>[[#橋本1997|橋本1997]]、194-195頁。</ref>。この時期に函館競馬場でナリタブライアンを見た[[岡部幸雄]]は、「もうカムバックは難しいだろうなぁと思った」と述べている<ref>[[#プーサンvol.2|プーサンvol.2]]、39頁。</ref>。9月に栗東トレーニングセンターに戻ったあとも約1か月間は負荷の強い調教が積極的に課されることはなく、体調不安や調教不足を指摘する声は根強かったが、大久保は天皇賞（秋）への出走を決定<ref>[[#橋本1997|橋本1997]]、197-200・204頁。</ref>。1番人気に支持されたがレース終盤に失速し12着に敗れた（なお同レース出走に関する大久保への批判については[[#天皇賞（秋）出走に関して|調教師とマスコミとの対立]]を参照）。その後、[[ジャパンカップ]]・有馬記念に出走したがそれぞれ6、4着に敗れた。
なお、主戦騎手の南井は10月14日（天皇賞（秋）の2週間前）の京都第4競走・4歳以上500万下でタイロレンスに騎乗した際、発走前にゲート内での[[落馬]]により右足関節脱臼骨折（全治4か月）を負い騎乗が不可能となったため、天皇賞（秋）では[[的場均]]{{#tag:ref|当初は[[松永幹夫]]に決定していたが、その時点で賞金順で除外対象だった[[マイシンザン]]が出走できなければ、という条件が付けられていた。マイシンザンは[[ナイスネイチャ]]等の回避で出走が可能となったため松永の騎乗は不可能となった。なお、その後マイシンザンは屈腱炎を発症し出走取消となった<ref>[[#橋本1997|橋本1997]]、204-205・207-298頁。</ref>。|group="†"}}が、ジャパンカップ、有馬記念および翌年の阪神大賞典では武豊{{#tag:ref|陣営は武に対して天皇賞（秋）の一週間前に同レース以降の騎乗を依頼していたが<ref name="武・島田2004-17"/>、この時点で武は[[アイリッシュダンス (競走馬)|アイリッシュダンス]]の騎乗の先約を受けていたため、天皇賞当日は同馬に騎乗した<ref>[[#武・島田2003|武・島田2003]]、198-199頁。</ref>。武自身は騎乗依頼を受けた当時の心境について、「初めてオグリキャップの騎乗依頼を受けたときに似たような感じ」だったといい、「それまで『どうやったら勝てるのか』と悩まされていた馬に乗る時の気分って、う～ん、ちょっと言葉にはできないなあ。なんたって、ナリタブライアンですよ」と語っている<ref name="武・島田2004-1819">[[#武・島田2004|武・島田2004]]、18-19頁。</ref><ref name="武・島田2007-193195">[[#武・島田2007|武・島田2007]]、193-195頁。</ref>。|group="†"}}が騎乗した。
===== 股関節炎発症 =====
前述のように阪神大賞典出走後の4月7日、ナリタブライアンは右股関節炎を発症していることが判明した。故障を発症する2か月前の1995年2月、[[関西テレビ放送|関西テレビ]]・[[フジネットワーク|フジテレビ系列]]で放送されていた視聴者参加型オークション番組『[[とんねるずのハンマープライス]]』に、関係者から提供されたナリタブライアンのたてがみ数十本が出品され、44万円で落札された。競馬社会では現役競走馬の馬のたてがみを切ることは縁起が悪いというジンクスが存在するが、実際に出品から2か月後の同年4月にナリタブライアンは故障を発症した。大久保は後にそのジンクスを念頭において、「ナリタブライアンが走らなくなったのはたてがみをとられてからだ」とコメントした<ref>[[#橋本1997|橋本1997]]、305-306頁。</ref>。<!--出典がないためコメントアウト/ただし同番組ではたてがみの入手経緯について「ナリタブライアンの手入れをした時にクシについた毛（たてがみ）だけを出品して頂いた」と説明している。-->
復帰後のナリタブライアンの体調については、万全ではないという判断が多くなされた。大川慶次郎は天皇賞（秋）のあと、厩舎において同馬を見た際の印象として「整体が狂っている、それもかなり重症ではないか」<ref>[[#大川1998|大川1998]]、316頁。</ref>「肉がまったくなく、全盛期を100とすれば60か70」<ref>[[#大川1997|大川1997]]、170頁。</ref>と評価した。大川は、ナリタブライアンの体調が引退するまでに故障前の状態に戻ることはなかったと述べている。岡部幸雄は天皇賞（秋）出走時の状態について「全然、覇気がなかった」と評している<ref name="pur2">[[#プーサンvol.2|プーサンvol.2]]、39頁。</ref>。また、ジャパンカップにおいて[[ランド (ドイツ)|ランド]]に騎乗した[[マイケル・ロバーツ (競馬)|マイケル・ロバーツ]]は「本来のブライアンを知っているだけに、あの馬が以前の状態で出てきたら勝つのは難しいと思っていた。が、今日のブライアンは、私が記憶していたブライアンではなかったので、陣営には申し訳ないが、最初から敵ではないと見ていた」とコメントした<ref>[[#橋本1997|橋本1997]]、228頁。</ref><ref name="武・島田2004-22">[[#武・島田2004|武・島田2004]]、22頁。</ref><ref name="武・島田2007-198">[[#武・島田2007|武・島田2007]]、198頁。</ref>。天皇賞（秋）から有馬記念にかけてのレースぶりについて、的場均と武豊はともに「途中まではいい感じだったが、直線で止まってしまった」とコメントした<ref>[[#橋本1997|橋本1997]]、215・231頁。</ref>。
==== 6歳（1996年） ====
===== 競走内容 =====
[[ファイル:Brian and topgun.jpg|200px|thumb|第44回阪神大賞典で並走するナリタブライアン（右）とマヤノトップガン（左）]]
[[1996年]]の緒戦には前年と同じく阪神大賞典が選択された。レースでは前年の年度代表馬[[マヤノトップガン]]を[[マッチレース]]の末に下し、同レース連覇を果たすとともに1年ぶりの勝利を挙げた。なお、この第44回阪神大賞典はしばしば日本競馬史上の名勝負のひとつに挙げられるが<ref name="tabara1998-189">[[#田原1998|田原1998]]、189頁。</ref>、その一方で名勝負とされていることを真っ向から否定する意見もある{{#tag:ref|大川慶次郎は、ナリタブライアンの体調が万全ではなかったため、本来後続の馬を何馬身も引き離すところを他の馬と並んでゴールしただけであり、「少しも名勝負ではない」と述べている<ref>[[#大川1998|大川1998]]、318頁。</ref>。瀬戸慎一郎も同様の見解を述べている<ref>[[#瀬戸1997|瀬戸1997]]、第8話。</ref>。|group="†"}}{{#tag:ref|田原成貴は、両馬共に有馬記念以来の実戦で、マヤノトップガンが8分の出来、ナリタブライアンが7分の出来であり<ref name="tabara1998-189"/>、本番の天皇賞（春）に向けて結果にこだわる必要がなかったマヤノトップガン陣営と復活勝利を期するナリタブライアン陣営との間にあった、レースに賭ける思いの違いを理由として挙げている<ref>[[#田原1997|田原1997]]、28-32頁。</ref>。そのため、このレースについて田原は「なかなか見ごたえのあるGII戦」であるとみていると述べている<ref>[[#田原1998|田原1998]]、190頁。</ref>。|group ="†"}}{{#tag:ref|騎乗した武豊は、「名勝負というのは大げさかもしれないけど、滅多にできないいいレースだったと思う」と述べている<ref name="武・島田2003-187">[[#武・島田2003|武・島田2003]]、187頁。</ref>。武曰く、当日のナリタブライアンの体調について、「確かに具合はいいけど半信半疑、という感じだった」とし、4コーナーを回った時にはもっと楽に勝てると思ったといい、ゴール前の叩き合いで一瞬マヤノトップガンが前に出たが、その時には「去年と違ってタレる（失速する）ことはないな、最後まで持つだろうな」と思ったという<ref name="武・島田2003-187"/>。|group="†"}}（レースに関する詳細については[[第44回阪神大賞典]]を参照）。
阪神大賞典を勝利したことによってナリタブライアンの復活が印象づけられ、復帰した南井が騎乗した天皇賞（春）では1番人気に支持されたが、レースでは[[サクラローレル]]に差されて2着に敗れた。大久保はこのレースにおいて、折り合いを欠いたナリタブライアンを第3コーナーでスパートさせた南井の騎乗を「武豊が乗ったらあんなふうにかかっただろうか」と非難した<ref>[[#橋本1997|橋本1997]]、266頁。</ref>（レースに関する詳細については[[第113回天皇賞]]を参照）。
天皇賞（春）のあと、陣営は[[宝塚記念]]優勝を目標に据えた。ここで大久保は宝塚記念の前に一度レースに出走させる方針を立て、芝[[競走馬#スプリンター|スプリント戦]]のGI・[[高松宮記念 (競馬)|高松宮杯]]に出走させることを決定した。中長距離の実績馬がスプリント戦に出走するのはきわめて異例のことであったため、この出走は話題を呼んだ。また、騎手は南井から武豊に変更された。レースでは終盤に追い上げるも4着に敗れた。このレースで賞金を加算したことでナリタブライアンの通算獲得賞金は10億2,691万6,000円となり、史上初めてドル換算で1,000万ドル以上の賞金を獲得し、[[メジロマックイーン]]を抜いて歴代1位（当時）となった（レースに関する詳細については[[第26回高松宮杯]]を、同レース出走に関する大久保への批判については[[#高松宮杯出走に関して|調教師とマスコミとの対立]]を参照）<ref>[[#さようならナリタブライアン全書|さようならナリタブライアン全書]]、77頁。</ref>。
===== 屈腱炎発症・引退 =====
高松宮杯から約1か月後の[[6月19日]]、ナリタブライアンは右前脚に[[屈腱炎]]を発症したと診断された<ref>[[#橋本1997|橋本1997]]、283頁。</ref>。ナリタブライアンは同月28日に函館競馬場、8月には早田牧場新冠支場へ移送され、治療が行われた。大久保はナリタブライアンの復帰に強い意欲を見せていたが、9月に[[日刊スポーツ]]がナリタブライアンの引退が決定したと報道。さらに[[読売新聞]]の取材に対して山路が引退を認めた。橋本全弘によると、この時期に大久保を除く関係者の間で引退に向けた話し合いが行われており、種牡馬となった際のシンジケート株の予約が開始されるなど引退へ向けた動きが起こっていたという<ref>[[#橋本1997|橋本1997]]、290-292頁。</ref>。[[10月7日]]に大久保と山路、工藤の3者による話し合いが行われ、正式に引退が決定した<ref>[[#橋本1997|橋本1997]]、292-293頁。</ref>。なお、大久保は引退が決まったあともナリタブライアンを走らせることへの未練を口にしている<ref>[[#橋本1997|橋本1997]]、293頁。</ref>。
[[11月9日]]には京都競馬場で、[[11月16日]]には東京競馬場で引退式が行われ、京都競馬場では菊花賞優勝時のゼッケン「4」を着け、東京競馬場では日本ダービー優勝時のゼッケン「17」を着けて引退式が行われた<ref>[[#サラブレッド99頭の死に方|サラブレッド99頭の死に方]]、116頁。</ref>。関東と関西2か所で引退式が行われた競走馬は[[シンザン]]、[[スーパークリーク]]、[[オグリキャップ]]に続きJRA史上4頭目であった<ref>[[#橋本1997|橋本1997]]、297頁。</ref>。[[1997年]]には史上24頭目の顕彰馬に選出された<ref name="yusyun19970467" />。
=== 引退後 ===
==== 種牡馬となる ====
[[1997年]]に生まれ故郷である新冠町のCBスタッド（早田牧場の傘下）で種牡馬となり、[[内国産馬]]として史上最高額となる20億7,000万円の[[種牡馬#シンジケート|シンジケート]]（1株3,450万円×60株）が組まれた<ref>[[#橋本1997|橋本1997]]、301頁。</ref>。1997年には81頭、[[1998年]]には106頭の[[繁殖牝馬]]と交配された。交配相手には[[アラホウトク]]や[[ファイトガリバー]]といった牝馬クラシックホース、アグサン（[[ビワハイジ]]の母）やモミジダンサー（[[マーベラスサンデー]]の母）など繁殖実績の高い輸入馬、[[スカーレットブーケ]]といった国内外の良血繁殖牝馬が集められた。
==== 胃破裂により死亡 ====
1998年[[6月17日]]に[[疝痛]]を起こし、三石家畜診療センターで診察を受けた結果[[腸閉塞]]を発症していることが判明した。緊急の開腹[[手術]]が行われ、いったんは快方に向かったが、[[9月26日]]午後に再び疝痛を起こした{{#tag:ref|ナリタブライアンは競走馬時代にも[[疝痛]]を発症したことがあった<ref>[[#春競馬満開宣言!|春競馬満開宣言!]]、168頁。</ref>。|group="†"}}。CBスタッドから50分ほど離れていた三石家畜診療センターに運び込まれた際にはすでに[[胃]]破裂を発症しており、開腹手術を行ったものの手遅れであった<ref name="number456-62">[[#江面1998|江面1998]]（『Sports Graphic Number』456号、62頁。）</ref>。[[9月27日]]に[[予後不良 (競馬)|安楽死]]の措置がとられた<ref name="number456-62"/><ref>[[#臨時増刊号Gallop'94|臨時増刊号Gallop'94]]、4頁。</ref><ref>[[#春競馬満開宣言!|春競馬満開宣言!]]、168・170頁。</ref>。
早田光一郎によれば、ナリタブライアンは疝痛を起こした日の昼までは、ちょうどスタッドを訪れていた山路秀則と早田を前に、機嫌がよさそうな様子を見せていた<ref name="otsuka">[[#大塚2003|大塚2003]]、120-121頁。</ref>。夜になって突然疝痛の症状が現れたあとも、診療センターに付き添ったスタッド場長の佐々木功は「すぐに帰れる」と踏んでいたが、夜が明けても疝痛は治まらず、開腹した際に腸捻転と胃破裂が発見された<ref name="otsuka" />。佐々木は獣医師から「どうにもならない」と告げられたという<ref>[[#大塚2003|大塚2003]]、127頁。</ref>。ナリタブライアンは診療センターに運び込まれる直前、前脚で地面を掻き込む動作をした後に横になって自分の腹をのぞき込むような素振りを見せ<ref name="number456-62"/>、佐々木は「我慢強い馬で頑張り屋だから、痛くても無理をしていたのかもしれない」と語っている<ref name="otsuka" />。なお、ナリタブライアンの馬房には監視カメラも設置されており、夜には佐々木自ら見回りも行っていた<ref name="otsuka" />。
<!-- ソースが不明確なのでひとまずコメントアウトとします// この[[死亡]]の[[ニュース]]は[[京都放送|KBS京都]]の[[競馬中継 (KBS京都テレビ)|競馬中継]]の放送中に入電してきた。当時、番組の総合司会者[[青芝フック]]はショックと驚きの表情を表していた。-->
=== 死後 ===
ナリタブライアンは9月27日にCBスタッドの敷地内に埋葬された<ref>[[#"最強の三冠馬"よ、永遠に…。|"最強の三冠馬"よ、永遠に…。]]（『優駿』1998年11月号、5頁。）</ref><!--ソースがないためコメントアウト/通常競走馬は死後[[火葬]]されるところを特別に[[土葬]]による埋葬が許可された。-->。同年[[10月2日]]にはCBスタッドにて追悼式が行われ、関係者・ファンおよそ500人が参列した<ref>[[#"最強の三冠馬"よ、永遠に…。|"最強の三冠馬"よ、永遠に…。]]（『優駿』1998年11月号、6頁。）</ref><ref>[[#サラブレッド99頭の死に方|サラブレッド99頭の死に方]]、96頁。</ref>。
死後、[[1999年]]9月に栗東トレーニングセンター内にナリタブライアンの馬像が建立された<ref>{{Cite web|url=http://keibado.cplaza.ne.jp/keibabook/990913/itwnp.html#07|title=ナリタブライアン馬像建立（ニュースぷらざ）|publisher=[[競馬ブック]]|language=日本語|accessdate=2009年12月1日}}</ref>。また、CBスタッド場長の佐々木功は、ナリタブライアンが使用していた馬房は「永久欠番」にすることを明かした<ref name="number456-67">[[#江面1998|江面1998]]（『Sports Graphic Number』456号、67頁。）</ref>。[[命日]]にあたる[[2000年]][[9月27日]]に[[ナリタブライアン記念館]]が開館した（[[2008年]][[9月30日]]閉館）<ref>{{Cite web|url=http://www.netkeiba.com/news/?pid=news_view&no=31184&category=D|title=ナリタブライアン記念館が閉館|publisher=[[netkeiba.com]]|language=日本語|accessdate=2009年11月30日}}</ref>。中央競馬クラシック三冠達成から10年後の2004年10月、JRAゴールデンジュビリーキャンペーンの「名馬メモリアル競走」の一環として「ナリタブライアンメモリアル」が同年の菊花賞施行日に京都競馬場にて施行された（優勝馬[[ハットトリック (競走馬)|ハットトリック]]）。
== 成績 ==
=== 競走成績 ===
{| style="font-size: 90%; text-align: center; border-collapse: collapse;white-space:nowrap"
|-
!colspan="3"|年月日!![[競馬場]]!!競走名!![[競馬の競走格付け|格]]!!頭<br />数!!枠<br />番!!馬<br />番!!オッズ<br />（人気）!!着順!![[騎手]]!!斤量!![[競走馬の適性|距離]]（馬場）!!タイム<br />（上がり3[[ハロン (単位)|F]]）!!着差!!勝ち馬/（2着馬）
|-
| [[1993年|1993]]
| {{0}}8.
| [[8月15日|15]]
| [[函館競馬場|函館]]
| [[新馬|3歳新馬]]
|
| 8
| 8
| 8
| {{0}}2.9（2人）
| {{0}}{{color|darkblue|2着}}
| [[南井克巳]]
| 53
| 芝1200m（重）
| {{0}}1:13.7 (37.3)
| {{0}}0.2
| ロングユニコーン
|-
|
| {{0}}8.
| [[8月29日|29]]
| 函館
| 3歳新馬
|
| 9
| 6
| 6
| {{0}}2.0（1人）
| {{0}}{{color|darkred|1着}}
| 南井克巳
| 53
| 芝1200m（重）
| {{0}}1:12.8 (37.4)
| -1.4
| （ジンライ）
|-
|
| {{0}}9.
| [[9月26日|26]]
| 函館
| [[函館2歳ステークス|函館3歳S]]
| GIII
| 9
| 5
| 5
| {{0}}3.8（2人）
| {{0}}6着
| 南井克巳
| 53
| 芝1200m（重）
| {{0}}1:14.9 (39.6)
| {{0}}0.8
| [[マリーゴッド]]
|-
|
| 10.
| [[10月24日|24]]
| [[福島競馬場|福島]]
| きんもくせい特別
|{{Small|500万下}}
| 9
| 6
| 6
| {{0}}1.7（1人）
| {{0}}{{color|darkred|1着}}
||[[清水英次]]
| 53
| 芝1700m（良）
| {{0}}1:43.1 (36.0)
| -0.5
| （ランセット）
|-
|
| 11.
| {{0}}[[11月6日|6]]
| [[京都競馬場|京都]]
| [[デイリー杯2歳ステークス|デイリー杯3歳S]]
| GII
| 15
| 4
| 6
| {{0}}4.2（2人）
| {{0}}{{color|darkgreen|3着}}
| 南井克巳
| 54
| 芝1400m（良）
| {{0}}1:22.7 (35.1)
| {{0}}0.7
| [[ボディーガード (競走馬)|ボディーガード]]
|-
|
| 11.
| [[11月21日|21]]
| 京都
| [[京都2歳ステークス|京都3歳S]]
|OP
| 8
| 6
| 6
| {{0}}2.0（1人）
| {{0}}{{color|darkred|1着}}
| 南井克巳
| 55
| 芝1800m（良）
| {{color|darkred|R1:47.8}} (34.6)
| -0.5
| （テイエムイナズマ）
|-
|
| 12.
| [[12月12日|12]]
| [[中山競馬場|中山]]
| [[朝日杯フューチュリティステークス|朝日杯3歳S]]
| GI
| 14
| 5
| 8
| {{0}}3.9（1人）
| {{0}}{{color|darkred|1着}}
| 南井克巳
| 54
| 芝1600m（良）
| {{0}}1:34.4 (35.7)
| -0.6
| （フィールドボンバー）
|-
| [[1994年|1994]]
| {{0}}2.
| [[2月14日|14]]
| [[東京競馬場|東京]]
| [[共同通信杯|共同通信杯4歳S]]
| GIII
| 10
| 2
| 2
| {{0}}1.2（1人）
| {{0}}{{color|darkred|1着}}
| 南井克巳
| 57
| 芝1800m（良）
| {{color|darkred|R1:47.5}} (35.1)
| -0.7
| （アイネスサウザー）
|-
|
| {{0}}3.
| [[3月27日|27]]
| 中山
| [[スプリングステークス|スプリングS]]
| GII
| 10
| 2
| 2
| {{0}}1.2（1人）
| {{0}}{{color|darkred|1着}}
| 南井克巳
| 56
| 芝1800m（良）
| {{0}}1:49.1 (35.6)
| -0.6
| （[[フジノマッケンオー]]）
|-
|
| {{0}}4.
| [[4月17日|17]]
| 中山
| [[皐月賞]]
| GI
| 18
| 1
| 1
| {{0}}1.6（1人）
| {{0}}{{color|darkred|1着}}
| 南井克巳
| 57
| 芝2000m（良）
| {{color|darkred|R1:59.0}} (35.8)
| -0.6
| （サクラスーパーオー）
|-
|
| {{0}}5.
| [[5月29日|29]]
| 東京
| [[東京優駿]]
| GI
| 18
| 8
| 17
| {{0}}1.2（1人）
| {{0}}{{color|darkred|1着}}
| 南井克巳
| 57
| 芝2400m（良）
| {{0}}2:25.7 (36.2)
| -0.9
| （[[エアダブリン]]）
|-
|
| 10.
| [[10月16日|16]]
| [[阪神競馬場|阪神]]
| [[京都新聞杯]]
| GII
| 10
| 6
| 6
| {{0}}1.0（1人）
| {{0}}{{color|darkblue|2着}}
| 南井克巳
| 57
| 芝2200m（良）
| {{0}}2:12.2 (34.5)
| {{0}}0.1
| [[スターマン (競走馬)|スターマン]]
|-
|
| 11.
| {{0}}[[11月6日|6]]
| 京都
| [[菊花賞]]
| GI
| 15
| 3
| 4
| {{0}}1.7（1人）
| {{0}}{{color|darkred|1着}}
| 南井克巳
| 57
| 芝3000m（稍）
| {{color|darkred|R3:04.6}} (34.3)
| -1.1
| （[[ヤシマソブリン]]）
|-
|
| 12.
| [[12月25日|25]]
| 中山
| [[有馬記念]]
| GI
| 13
| 7
| 11
| {{0}}1.2（1人）
| {{0}}{{color|darkred|1着}}
| 南井克巳
| 55
| 芝2500m（良）
| {{0}}2:32.2 (34.8)
| -0.5
| （[[ヒシアマゾン]]）
|-
| [[1995年|1995]]
| {{0}}3.
| [[3月12日|12]]
| 京都
||[[阪神大賞典]]
| GII
| 11
| 1
| 1
| {{0}}1.0（1人）
| {{0}}{{color|darkred|1着}}
| 南井克巳
| 58
| 芝3000m（良）
| {{0}}3:08.2 (33.9)
| -1.1
| （[[ハギノリアルキング]]）
|-
|
| 10.
| [[10月29日|29]]
| 東京
| [[天皇賞#天皇賞（秋）|天皇賞（秋）]]
| GI
| 17
| 4
| 7
| {{0}}2.4（1人）
| 12着
| [[的場均]]
| 58
| 芝2000m（良）
| {{0}}1:59.4 (35.7)
| {{0}}0.6
| [[サクラチトセオー]]
|-
|
| 11.
| [[11月26日|26]]
| 東京
| [[ジャパンカップ|ジャパンC]]
| GI
| 14
| 2
| 3
| {{0}}3.7（1人）
| {{0}}6着
| [[武豊]]
| 57
| 芝2400m（良）
| {{0}}2:25.3 (35.4)
| {{0}}0.7
| [[ランド (ドイツ)|ランド]]
|-
|
| 12.
| [[12月24日|24]]
| 中山
| [[有馬記念]]
| GI
| 12
| 6
| 8
| {{0}}3.8（2人）
| {{0}}4着
| 武豊
| 57
| 芝2500m（良）
| {{0}}2:34.1 (35.6)
| {{0}}0.5
| [[マヤノトップガン]]
|-
| [[1996年|1996]]
| {{0}}3.
| {{0}}[[3月9日|9]]
| 阪神
| [[阪神大賞典]]
| GII
| 10
| 2
| 2
| {{0}}2.1（2人）
| {{0}}{{color|darkred|1着}}
| 武豊
| 59
| 芝3000m（良）
| {{0}}3:04.9 (34.5)
| {{0}}0.0
| （マヤノトップガン）
|-
|
| {{0}}4.
| [[4月21日|21]]
| 京都
| [[天皇賞#天皇賞（春）|天皇賞（春）]]
| GI
| 16
| 2
| 4
| {{0}}1.7（1人）
| {{0}}{{color|darkblue|2着}}
| 南井克巳
| 58
| 芝3200m（良）
| {{0}}3:18.2 (35.5)
| {{0}}0.4
| [[サクラローレル]]
|-
|
| {{0}}5.
| [[5月19日|19]]
| [[中京競馬場|中京]]
| [[高松宮記念 (競馬)|高松宮杯]]
| GI
| 13
| 4
| 5
| {{0}}4.3（2人）
| {{0}}4着
| 武豊
| 57
| 芝1200m（良）
| {{0}}1:08.2 (34.2)
| {{0}}0.8
| [[フラワーパーク]]
|}
* タイム欄の{{color|darkred|R}}はレコード勝ちを示す。
* 上記「競走成績」の内容は、[[netkeiba.com]]「ナリタブライアンの競走成績」に基づく<ref>{{Cite web |url= http://db.netkeiba.com/horse/result/1991108889/|title= ナリタブライアンの競走成績|publisher= [[netkeiba.com]]|accessdate= 2016-07-15}}</ref>。
==== 種牡馬成績 ====
{| class="wikitable" border="0" cellpadding="2" cellspacing="2"
|+ '''成績詳細'''
|-
!年度
||2000年||2001年||2002年||2003年||2004年||2005年||2006年||2007年
|-
![[リーディングサイアー|順位]]（[[中央競馬|JRA]]）
||223位||58位||38位||57位||134位||139位||234位||-
|-
!順位（全国）
||290位||83位||54位||68位||151位||156位||274位||-
|-
![[アーニングインデックス|AEI]]（全国）
||1.26||0.85||1.15||1.42||0.90||1.19||0.99||-
|-
!総出走頭数
||17||89||119||59||34||19||7||2
|-
!総勝ち頭数
||6||27||49||28||16||7||3||1
|-
!総獲得賞金（円）
||4923万||3億1864万||4億6186万||3億2570万||1億1727万||8529万||2748万||89万
|}
* 産駒数/[[種付け]]数： 151/186頭
ナリタブライアンは2世代にわたり[[産駒]]を残しており、死亡から2年後の[[2000年]]に1世代目が、翌[[2001年]]に2世代目がデビューした。しかし、重賞を勝つ馬は出なかった（重賞ではマイネヴィータ・ダイタクフラッグが記録した2着、GIでは[[2002年]]皐月賞でダイタクフラッグが記録した4着が最高着順）。また、1頭も後継種牡馬を残すことができなかった。
牝馬は多数繁殖入りしており、2005年5月24日に道営でインスパイアローズが孫として初勝利した。2010年にはオールアズワンが[[札幌2歳ステークス]]で母父として初めて重賞制覇した。孫は海外でも限定的ながら活躍しており、2010年2月24日にはGolden Diveがゴスフォードで勝利したのをはじめ、重賞でもPerignonが2016年のライトフィンガーズステークスを勝利している。このほかHollyweirdがオーストラリアの重賞で3着に入っている。
==== おもな産駒 ====
* マイネヴィータ - [[札幌2歳ステークス]]2着、[[フラワーカップ]]2着、[[阪神ジュベナイルフィリーズ]]5着
* ダイタクフラッグ - [[毎日杯]]2着、皐月賞4着（クラシック三冠競走すべてに出走した唯一の産駒）
* ブライアンズレター - 中央競馬36戦7勝（松籟ステークス、御堂筋ステークスなど）、[[地方競馬]]7戦5勝。中央競馬の古馬オープンクラスに進んだ唯一の産駒。また、産駒の中央競馬での最後の勝利を挙げている（2006年2月25日、阪神10R）。ちなみに、最初に種付けされた産駒（出産は最初ではない）である。
==== 母の父としての主な産駒 ====
* Perignon（G2ライトフィンガーズS、3着-Glフライトステークス）
* オールアズワン（[[札幌2歳ステークス]]）
* マイネルハニー（[[チャレンジカップ (中央競馬)|チャレンジカップ]]）
* Hollyweird（3着-G3サラブレッドクラブS）
* フィオーレハーバー（[[菊水賞]]、[[園田ジュニアカップ]]、[[園田ユースカップ]]）
* マルヨスーパーラブ（[[オッズパーク・ファンセレクションin笠松]]）
* メジャーサイレンス（[[桜花賞 (浦和競馬)#トライアル競走|桃花賞]]）
* Confident（5勝）
== 特徴・評価 ==
=== 身体面に関する特徴・評価 ===
前述のように、ナリタブライアンの初期調教を担当した其浦三義は、バネや背中の柔らかさ、敏捷性において半兄のビワハヤヒデをはるかに超える素質を感じたと述べている<ref name="hashimoto34"/>。競走馬時代に主治医を務めていた[[獣医師]]の富岡義雄は、筋肉の柔らかさを特徴として挙げている<ref name="tsuitou12"/>。
[[岡田繁幸]]はナリタブライアンを「20年に一頭の馬体と筋肉の持ち主」と評している<ref>[[#瀬戸1997|瀬戸1997]]、第4話。</ref>。[[吉川良]]によると第55回菊花賞の前日、岡田は吉川に対し「ナリタブライアンは理想の馬だな。ああいう馬を作りたくて苦労してるわけさ。馬体のバランスも、筋肉の質も、走り方も、すべて理想にかなってる」と語ったという<ref>[[#吉川2003|吉川2003]]、172頁。</ref>。
ナリタブライアンの[[装蹄師|装蹄]]を担当していた山口勝之によると、ナリタブライアンの4つの蹄は大きさがほぼ同じ{{#tag:ref|一般に[[サラブレッド]]の[[蹄]]は前脚のものよりも後脚のもののほうが小さい<ref>[[#競馬名馬&名人読本|競馬名馬&名人読本]]、22頁。</ref>。|group="†"}}で、装着した蹄鉄が4つとも同じように擦り減っていったという（通常は減り方が蹄によって異なる）<ref>[[#石田1998|石田1998]]（『優駿』1998年11月号、11頁。）</ref>。山口は、4つの蹄の大きさが同じなのは身体のバランスがとれている証だと述べている<ref>[[#木村1997|木村1997]]、174頁。</ref>。なお5歳時に右股関節炎を発症したあと、函館競馬場で山口が蹄を見ると、右後脚の蹄だけがほかの3つよりも小さくなっていたという。山口は、股関節炎の痛みを庇ってそうなったのだろうと推測している。蹄は2か月ほどで元に戻ったという<ref>[[#木村1997|木村1997]]、185-186頁。</ref>。大久保厩舎の関係者によると、通常サラブレッドの蹄は縦に長い楕円形の形が多いが、ナリタブライアンの蹄は幅が広い球型に近く、土踏まずの部分が広くて内側がくぼんでいたという。そのため土にあたることが少ないため、不良馬場での勝負になっても不利がなかったという<ref>[[#木村1998/2|木村1998/2]]、110頁。</ref>。
=== 知能・精神面に関する特徴・評価 ===
前述のように、ナリタブライアンは興奮しやすく、かつ臆病な気性の持ち主であった。陣営は前者については[[ローテーション (競馬)|ローテーション]]の間隔を詰めて多くのレースに出走させ、同馬のエネルギーを発散させることによって、後者については[[シャドーロール]]を装着して下方の視界を遮ることによって（疾走中に自分の影を怖がることがないよう）解決を図った。なお大川慶次郎によると、ナリタブライアンは競走馬生活の途中で精神的に成長し、シャドーロールを装着しなくとも走りに集中できるようになったが、そのときにはシャドーロールがナリタブライアンのトレードマークになっていたという<ref>[[#大川1997|大川1997]]、168頁。</ref>。主戦騎手の南井も、1995年初めに受けたインタビューで「シャドーロールをとっても問題ないと思う」「（シャドーロールは）今ではマスコットがわりのようなもの」と述べている<ref name="zensho56">[[#さようならナリタブライアン全書|さようならナリタブライアン全書]]、56頁。</ref>。ナリタブライアンは4歳の春から、調教の際にはシャドーロールを外していた。大久保は皐月賞後に、レースでシャドーロールをつけ続けたのは「縁かつぎ」と「識別しやすい」ためと答えている<ref>[[#『優駿』1995年3月号|『優駿』1995年3月号]]、6頁。</ref>{{#tag:ref|なお、東京優駿直前の調教においてシャドーロールを外して走行させた際の内容は芳しくなかった<ref>[[#大川1997|大川1997]]、169頁。</ref>。|group="†"}}。シャドーロールはナリタブライアンの代名詞的存在となり、「シャドーロールの怪物」と称された<ref name="shadow">{{Cite web|author = |url = http://www.jra.go.jp/50th/html/50horse/43.html|title = ナリタブライアン 孤高の血よ、永遠に|work = 時代を駆け抜けた名馬たち（JRA50周年記念サイト）|publisher = [[日本中央競馬会]]|language = 日本語|accessdate = 2009年12月4日}}</ref>。
南井によるとデビューした頃のナリタブライアンは、若さからかレースの途中で体のバランスが取れなくなって崩れる傾向があったというが<ref>[[#木村1998/2|木村1998/2]]、25頁。</ref>、レース経験を経ていくごとにその若さがなくなっていき、馬込みの中でも他馬を気にしなくなっていったという<ref>[[#木村1998/2|木村1998/2]]、26頁。</ref>。また、南井はオグリキャップとナリタブライアンを比較した際、オグリキャップはレース間隔をあけて使うと優れた瞬発力を発揮し、数多くレースに使うと4コーナーで力を失うことがあったが、ナリタブライアンはそのようなことがなく、「行けといった時には来るんです」と述べている<ref>[[#木村1998/2|木村1998/2]]、194頁。</ref>。
ナリタブライアンは学習能力が高く、一度理解した物事に関しては怖がる素振りを見せなかった<ref>[[#サラブレッド99頭の死に方|サラブレッド99頭の死に方]]、107頁。</ref>。種牡馬時代に繋養されていたCBスタッド場長の佐々木功は、自分たちが教えることがほとんど無かったといい、一度教えたことはちゃんと理解しており、頭が良すぎてこちらが下手なことを考えていると近づけない怖さがナリタブライアンにはあったという<ref name="sinikata120">[[#サラブレッド99頭の死に方|サラブレッド99頭の死に方]]、120頁。</ref>。また「仕事（種付け）が終わった後にはさっと帰るスマートさ」を持ち合わせていたといい、「扱う方としてはものすごく楽な馬だったよ」と振り返っている<ref name="sinikata120"/>。
=== レーススタイルに関する特徴・評価 ===
主戦騎手の南井は、ナリタブライアンの競走馬としての長所を「いい脚を長く使えること」と評している<ref name="zensho56"/>。レースでは優れた集中力を発揮し、「ほかをぶっちぎって勝つ」<ref>[[#さようならナリタブライアン全書|さようならナリタブライアン全書]]、98頁。</ref>、「暴力的」<ref>[[#石田2018|石田2018]]（『Sports Graphic Number』952号、42頁。）</ref>と称された。ただし、2着馬との差を大きく引き離す勝ち方に大久保は恐れを感じていたといい、「お客さんは喜んだかもしれないけれど、私は怖かった。あれだけの勝ち方をするとやっぱり馬にはこたえる。疲労も蓄積されていきます。そんなに大差で勝たなくていい、[[シンザン]]みたいにちょっと（の着差）でいいんだと、南井君にはいつも話していました」と述べている<ref>[[#石田2018|石田2018]]（『Sports Graphic Number』952号、41頁。）</ref>。
=== 競走能力に関する評価 ===
ナリタブライアンの関係者はデビュー前からナリタブライアンに高い素質を感じていた。デビュー戦の直前期に調教で騎乗した南井は、加速の仕方が[[オグリキャップ]]と似ていたことから「これは走る」という感触を得ていた<ref>[[#橋本1997|橋本1997]]、43-44頁。</ref><ref>[[#木村1997|木村1997]]、171-172頁。</ref><ref>[[#木村2000|木村2000]]、101-102頁。</ref>。また、調教助手の村田光雄は、初めて調教のために騎乗したときに「これはモノが違うかもしれない」と感じた<ref name="zensho89">[[#さようならナリタブライアン全書|さようならナリタブライアン全書]]、89頁。</ref>。ただしマスコミに対しては高評価を与えた馬ほど走らないというジンクスを意識して「ビワハヤヒデと比べるのはかわいそう」などと控え目なコメントを出し続けた<ref name="zensho89"/>。
デビュー後も関係者は高い評価を与え続けた。南井はデビュー戦で2着に敗れたにもかかわらず、「この馬はすごい」と評した<ref name="retsuden118">[[#名馬列伝ナリタブライアン|名馬列伝ナリタブライアン]]、118頁。</ref>。その後も南井はナリタブライアンに高い評価を与え続け、東京優駿優勝後には「今まで乗った馬の中で一番強いんじゃないか」とコメントした<ref>[[#橋本1997|橋本1997]]、97頁。</ref>。大久保はデビュー戦のあと、「この馬は強い。モノが違う」と絶賛し<ref name="retsuden118"/>、早田に対し初勝利を挙げた2戦目のレース後に「この馬は、兄を超えますよ」<ref name="zensho89"/>、函館3歳ステークスでは6着に敗れたにもかかわらず「これはビワハヤヒデより上に行くよ」<ref name="retsuden118"/>、「凄い馬ですね。間違いなく大物になります」と語った<ref>[[#瀬戸1997|瀬戸1997]]、第3話。</ref>。さらにスプリングステークスを優勝した際「ダービーを勝てそうか」と問われ、「まあいけるんじゃないの」と答えた<ref>[[#橋本1997|橋本1997]]、85頁。</ref>。きんもくせい特別で騎乗した[[清水英次]]は「（騎乗経験がある）[[ナリタタイシン]]の今頃よりも乗りやすい。とにかく器が違う」と評した<ref>[[#名馬列伝ナリタブライアン|名馬列伝ナリタブライアン]]、21頁。</ref><ref>[[#橋本1997|橋本1997]]、54頁。</ref>。また騎手引退後には、自身が騎乗した中で[[トウメイ]]と並んで最も賢い競走馬だったと評した<ref>[[#プーサンvol.7|プーサンvol.7]]、65頁。</ref>。武豊は、他の競走馬に騎乗してブライアンと対戦した際の感想として、「全然勝てる気がしない。ナリタブライアンに負けても仕方がないと納得してしまう」<ref name="武・島田2004-17"/><ref name="武・島田2007-191193"/><ref>[[#橋本1997|橋本1997]]、226頁。</ref>、「あの馬を敵に回していたころは、5馬身差の負けが10馬身にも20馬身にも感じられた」<ref>[[#武・島田2004|武・島田2004]]、114頁。</ref><ref>[[#武・島田2007|武・島田2007]]、264頁。</ref>とコメントしている。1995年のジャパンカップでの騎乗を前に初めて調教で跨った際には「乗っていて気持ちいい、凄いバネがあるし、力強い」<ref name="武・島田2004-1819"/><ref name="武・島田2007-193195"/>、「あんなにバランスのいい走りをする馬は、そうはいませんよ」<ref name="武・島田2004-1819"/><ref name="武・島田2007-193195"/>と語り、レース直前に受けたインタビューにおいては、当年の[[ダービーステークス|英ダービー]]、[[キングジョージ6世&クイーンエリザベスステークス|キングジョージ]]、[[凱旋門賞]]の「ヨーロッパ三冠」を制した[[ラムタラ]]が出走したら、という問いに対して「ナリタブライアンがまともな状態で出たとしたら、いくらラムタラとはいえ、簡単には勝てないと思う」と見解を示している<ref>[[#武・島田2003|武・島田2003]]、175-176頁。</ref>。
その他の[[ホースマン|競馬関係者]]による評価を見ると、[[オリビエ・ペリエ]]は「印象に残る馬」の1頭としてナリタブライアンを挙げ、「この馬の競馬ぶりは本当に衝撃的だった」「全盛時の走りは世界クラスだった」と述べている<ref>[[#武・ペリエ2002|武・ペリエ2002]]、55頁。</ref>。前述のように野平祐二は東京優駿のレース後、自身が管理した[[シンボリルドルフ]]と比較して「これからいろいろあるだろうが、現時点ではブライアンが上かな」と評した<ref name="retsuden30"/><ref name="'94-57"/><ref name="jinchi5"/>が、股関節炎を発症したあとのナリタブライアンのレースを見て、「ルドルフを超えたかな、と思ったときもありました」「あらためて、シンボリルドルフという馬の真価が、わかるような気がします」と評価を改めている<ref name="sinbori96">[[#名馬列伝シンボリルドルフ|名馬列伝シンボリルドルフ]]、96頁。</ref>。[[杉本清]]はクラシック3戦において皐月賞を3馬身半、東京優駿を5馬身、菊花賞を7馬身と2着馬との着差を広げていって非常に強くなっていった馬という印象があったといい、「こんなに強くなるのか」という気持ちがあったと述べている<ref>[[#杉本2001|杉本2001]]、116頁。</ref>。岡部幸雄は「あの馬は気持ちをガッと表に出すタイプじゃないから、傍から見てもわからない部分が多いんだよね。シラッとして、なんとなく走って、それでいてすごい結果を出す馬」と評している<ref name="武・島田2004-22"/><ref name="武・島田2007-198"/>。 「[[Sports Graphic Number]]」が1999年に行った「ホースメンが選ぶ20世紀最強馬」でナリタブライアンはシンザン、シンボリルドルフに次ぐ3位に選出されたが、本馬に投票した[[松元省一]]は、「（自身が調教師として管理した）[[トウカイテイオー]]が一番競馬をしたくなかった馬だった」と評している<ref>[[#競馬黄金の蹄跡|競馬黄金の蹄跡]]、15頁。</ref>。
=== 競走馬名および愛称・呼称 ===
[[競走馬#競走馬名|競走馬名]]「ナリタブライアン」の由来は、[[馬主]]の[[山路秀則]]が[[大久保正陽]][[厩舎]]への預託馬に使用していた冠名「ナリタ」に父[[ブライアンズタイム]]の馬名の一部「ブライアン」を加えたものである<ref>[[#橋本1997|橋本1997]]、35-36頁。</ref>。
愛称・呼称については、「'''ブライアン'''」が一般的で、'''ナリブー'''とも呼ばれた{{Refnest|group="†"|一例として、スポニチアネックスの報道<ref>{{Cite web|author = |date = |url = http://www.sponichi.co.jp/gamble/special/myhero/deepimpact/KFullNormal20050530118.html|title = 府中に衝撃波「3冠決まり!ナリブー以上」|work = |publisher = [[スポーツニッポン|スポーツニッポン新聞社]]|language = 日本語|accessdate = 2010年5月9日}}</ref><ref>{{Cite web|author = |date = |url = http://www.sponichi.co.jp/gamble/special/myhero/deepimpact/KFullNormal20050526085.html|title = インパクト ナリブー以来の社会現象|work = |publisher = [[スポーツニッポン|スポーツニッポン新聞社]]|language = 日本語|accessdate = 2010年5月9日}}</ref>。}}。厩務員の村田光雄は「ブー」と呼んでいた<ref>[[#吉川2003|吉川2003]]、176頁。</ref>。また、前述のように気性改善のために装着したシャドーロールが代名詞的存在となったことから「'''シャドーロールの怪物'''」とも呼ばれた<ref name="shadow"/>。クラシック三冠を含むかつての[[八大競走]]を4勝していることから「'''[[四冠馬]]'''」とも称される。
=== 投票・フリーハンデにおける評価 ===
競馬ファンによる投票での評価をみると、[[2000年]]にJRAが行った「[[Dream Horses 2000|20世紀の名馬大投票]]」において3万7,798票を獲得し、1位となった。現役時代には東京優駿で、当時としては[[ハイセイコー]]の66.6[[パーセント|%]]に次いで同レース史上2番目に高い61.8%の[[投票券 (公営競技)#単勝式|単勝]]支持率を集めた。また、同レース単勝馬券の配当額120円は[[シンボリルドルフ]]の130円を下回り、当時としては同レース史上最低のものであった{{#tag:ref|現在の単勝最低配当は[[ディープインパクト (競走馬)|ディープインパクト]]の110円<ref>[[#21世紀の名馬Vol.5 ディープインパクト|21世紀の名馬Vol.5 ディープインパクト]]、21頁。</ref><ref>[[#追悼ディープインパクト|追悼ディープインパクト]]、37頁。</ref>。|group="†"}}<ref>[[#さようならナリタブライアン全書|さようならナリタブライアン全書]]、37頁。</ref>。
競馬関係者による投票での評価をみると、雑誌『[[Sports Graphic Number]]』（『Number PLUS』1999年10月号）が競馬関係者を対象に行った「ホースメンが選ぶ20世紀最強馬」で3位となった（1位は[[シンザン]]）。
全日本フリーハンデでは、三冠を達成した1994年に129ポイントを獲得している。これはシンボリルドルフの128ポイントを上回り、日本の4歳馬としては当時史上最高の評価である<ref group="†">古馬も含めると、ナリタブライアン以上のポイントが与えられているのはエルコンドルパサー、[[タップダンスシチー]] (133)、シンボリクリスエス、シンボリルドルフ (132)、[[カツラギエース]]、[[クロフネ]] (130)、スペシャルウィーク、タイキシャトル、[[ディープインパクト (競走馬)|ディープインパクト]] (129)である。いずれも[[国際競走]]で実績を残した競走馬であり、全日本フリーハンデでは、仮にナリタブライアンが4歳時にジャパンカップに出走して海外の馬と同じレースに出ていれば、さらに高いハンデが与えられたであろうことが示唆されている。</ref>。
<!--ホワイトストーン・フジヤマケンザン・ウイニングチケットらが出走しミホノブルボンも出走できなかったが予定していたのでコメントアウトします。/（ちなみに当時は菊花賞とジャパンカップの日程的間隔が現在と比べて狭く、菊花賞に出走した4歳馬がジャパンカップに出走することは一般的ではなかった）--->
<!-- データの裏づけがないのでひとまずコメントアウトとします。/[[オグリキャップ]]らによる近年の競馬ブーム以降最初の三冠馬であり、競馬ファン以外の一般への知名度も高い。競馬界では、ナリタブライアン以降には、[[スペシャルウィーク]]、[[エルコンドルパサー]]、[[グラスワンダー]]、[[テイエムオペラオー]]、[[タイキシャトル]]、[[アグネスデジタル]]、[[シンボリクリスエス]]、[[ネオユニヴァース]]、[[デュランダル]]などが特筆すべき活躍をおさめており、総獲得賞金やGI優勝回数などではナリタブライアンを上回る戦績をおさめたものもいるが、一般への知名度は低く、2005年にディープインパクトが登場するまでの10年間では、[[ハルウララ]]と並び最も一般に知名度の高い競走馬であった。-->
<!--/独自研究の恐れがあるので、出典が見つかるまでコメントアウトします/シャドーロール装着以前は勝利数よりも敗戦数が多く（2勝3敗）、三冠達成までの敗戦数（4敗）は日本のクラシック三冠馬の中で最多である<ref group="†">ナリタブライアンの次に多いのは[[セントライト]]、[[シンザン]]の3敗。</ref>。また、クラシック三冠馬の中で唯一デビュー戦で敗れている。後者については、その緩和のために数多くのレースに出走した。三冠達成までの出走数 (13) は日本のクラシック三冠馬の中で最多である<ref group="†">ナリタブライアンの次に多いのは[[セントライト]]の12。</ref>。また生涯を通じての出走数 (21) もクラシック三冠馬の中で最多である<ref group="†">ナリタブライアンの次に多いのはシンザンの19。</ref>。-->
<!--/独自研究の恐れがあるので、出典が見つかるまでコメントアウトします/=== 三冠馬としての特徴 ===
中央競馬にはナリタブライアンを含めクラシック三冠を達成した馬が6頭いる。三冠馬同士の比較において、ナリタブライアンは三冠を達成するまでの敗戦数（4敗）において最も負け数が多い。一方、クラシック三冠の合計着差は、タイム差は計2.6秒、馬身差は計15馬身半にも及び、タイム差・馬身差ともに最大である。さらに3歳時のGI朝日杯3歳ステークス（現[[朝日杯フューチュリティステークス]]）も合わせて制したクラシック三冠馬はナリタブライアン一頭だけである。-->
== ローテーションを巡る批判 ==
<!-- ソースがないためひとまずコメントアウトします/ *[[岡田繁幸]]は、ナリタブライアンを新馬戦のパドックで見て、来年のダービーを取るのはこの馬だと言ったとされる。-->
<!-- ソースがないのでひとまずコメントアウトします //*南井は1993年の東京優駿でスタート直後に[[落馬]]していた。そのため同レース優勝後には「今年は落ちませんようにと祈ってました」、「スタートが上手くいったので勝てると思った」と自らをネタにするほど喜んだ。-->
ナリタブライアンの[[ローテーション (競馬)|ローテーション]]の組み方をめぐっては、しばしばマスコミによる批判の対象となった。調教師の大久保はそうした報道やマスコミの報道姿勢に反発し、取材拒否をする{{#tag:ref|皐月賞直前期、大久保はJRAを通じ、マスコミに対して厩舎内での取材を控えるよう通達を出した。これは厩舎内に無断で立ち入って写真を撮る者がいたためにとられた措置であったが、当時は何ら事情説明がなされなかったため、マスコミは高圧的だと強く反発した。同様の通達は同年の菊花賞、有馬記念の前にも出された<ref>[[#橋本1997|橋本1997]]、89-92頁。</ref>。|group="†"}}{{#tag:ref|[[日本調教師会]]は史誌『日本調教師会50年史』の中でこの問題を取り上げ、「ナリタブライアンは厩舎の取材に来たカメラマンにストレスを募らせていた」とし、さらに当時競馬ブーム下で競馬雑誌が濫造されたことで、少なからず発生したにわか記者・にわかカメラマンが厩舎のしきたりを弁えずトラブルを招くことがあったとして、「調教師や厩舎スタッフの煩わしさを顧みない者には取材拒否、取材制限で応じるしかなかった」と記している<ref>[[#日本調教師会50年史|日本調教師会50年史]]、155頁。</ref>。|group="†"}}など、両者の関係は必ずしも良好とはいえなかった。
=== 3歳時のローテーションに関して ===
レースに出走させすぎであるという批判は、ナリタブライアンが競走馬として頭角を現すようになった当初から根強く、共同通信杯後にスプリングステークスに出走したことで批判が起こるようになった<ref>[[#片山1994|片山1994]]（『Sports Graphic Number』340号、30頁。）</ref>。一例として、岡部幸雄は5歳時に故障を発症したのは3歳時のキツいローテーションのツケであると述べている<ref name="pur2"/>。一方、大久保は「レースに出走させることによって競走馬を強くする」という持論によってローテーションを正当化している<ref>[[#橋本1997|橋本1997]]、236頁。</ref>。また早田は前述の気性面の問題を解消するための措置であったと大久保を擁護した<ref>[[#名馬列伝ナリタブライアン|名馬列伝ナリタブライアン]]、118-119頁。</ref>。なお、ナリタブライアンは出走レース数（21戦）と敗戦数（9敗）が、歴代のクラシック三冠達成馬の中では最も多かった<ref name="number456-67"/>。2011年にクラシック三冠を達成した[[オルフェーヴル]]も通算成績がナリタブライアンと全く同じ21戦12勝で9敗を喫し<ref>{{Cite journal|和書|publisher=日本中央競馬会|journal=優駿|year=2014|month=2|page=13|title=[引退特別企画]オルフェーヴル 黄金伝説完結。}}</ref>、2頭は共に三冠を達成するまでの間に4敗を喫している。
=== 天皇賞（秋）出走に関して ===
前述のように体調不安や調教の不足が指摘されていたにもかかわらず大久保が出走を決断して大敗したため、出走を批判するマスコミが多かった。特に大川慶次郎は、「『あれほどの馬を状態が悪いのに使ってくるわけがない』と信じていたが間違いは調教師自身の見識にあった」「あれだけの馬を調教代わりにレースに使うのは間違いである」と大久保を強く批判し<ref>[[#大川1998|大川1998]]、315-317頁。</ref>、その後のジャパンカップと有馬記念を含め5歳秋における一連の出走について「関係者はよってたかってナリタブライアンをただの平凡な馬に蹴落とそうとしているのではないか」<ref>[[#大川1998|大川1998]]、313-314頁。</ref>という思いを抱いたと述べている。また岡部幸雄は出走に関して、「ああいう使い方だとミソをつけてしまう」「あれだけ強かった馬の価値をただの馬に下げてしまう」「結局、日本人の感覚って、そんなもの」と批判した<ref name="pur2"/>。
これに対し大久保は「レースに出走させることによって競走馬を鍛えるという信念に基づく出走であった」「調教の動きがよかったので出走させた」<ref>[[#橋本1997|橋本1997]]、236-237頁。</ref>「天皇賞（秋）に出走したことによりジャパンカップと有馬記念では成績は上昇しているので間違いだったとは思わない」<ref>[[#橋本1997|橋本1997]]、216頁。</ref>としている。なお大久保は天皇賞（秋）の直後からジャパンカップ直前期までの間、ナリタブライアンの体調に関するコメントを出さないことにより限定的な取材拒否を行った<ref>[[#橋本1997|橋本1997]]、219頁。</ref>。
=== 高松宮杯出走に関して ===
高松宮杯出走に関してはレースの前後を通じ、ナリタブライアンの距離適性の面から出走を疑問視ないし批判するマスコミが多かった<ref>[[#橋本1997|橋本1997]]、268-270頁。</ref>。
大久保は出走を決断した理由について、当初「ブライアンは股関節炎の心理的な後遺症で長い距離を走らせると嫌がるようなそぶりを見せていた。そのために短距離戦を選んだ」と語っていた<ref group="†">『[[サラブレ]]』 2000年5月号（[[エンターブレイン]]）収録のインタビューにおける発言。</ref>。しかし、のちにそれを否定し、天皇賞（春）ではナリタブライアンは思い切り走っていたとして、むしろ「本当に強い馬は距離やコース形態を問わず勝てるはずだ」という信念が強く反映された出走であったとしている<ref>[[#競馬名勝負列伝|競馬名勝負列伝]]、192-196頁。</ref>。さらに、世間をあっといわせたかった<ref name="meishoubu">[[#競馬名勝負列伝|競馬名勝負列伝]]、198頁。</ref>{{#tag:ref|レース後に大久保は「盛り上がったでしょう」とコメントしている<ref>[[#橋本1997|橋本1997]]、279頁。</ref>。|group="†"}}、中京競馬場には一度も出走させていなかったためファンサービスの意味合いもあったとしている<ref name="meishoubu"/>。これに対し大川は「本当に強い馬は距離に関係なく勝てるはずだ」という思想は[[競馬番組]]の距離体系が整備されていなかった昔の考えであり、ひどい時代錯誤だと批判した<ref>[[#大川1998|大川1998]]、318-320頁。</ref>。藤野広一郎は、「ひとのエゴによって悲しきピエロにまで貶められた偉大な馬のプライドは、いったい、誰によって償われるのか」と非難した<ref>[[#名馬列伝ナリタブライアン|名馬列伝ナリタブライアン]]、128頁。</ref>。
なお、高松宮杯では前述のように、南井から武豊への騎手の乗り替わりが行われた。その理由について大久保は当初、「天皇賞で2着に負けたから交代したわけじゃない」「ブライアンが元気なうちにお礼として武豊に騎乗してもらおうと思って」と説明していた<ref>[[#橋本1997|橋本1997]]、270頁。</ref>が、橋本全弘は南井が降板させられたのだとしている<ref>[[#橋本1997|橋本1997]]、270-271頁。</ref>。この騎手交代について大川慶次郎は、「南井ほどの、しかもナリタブライアンと一対のパートナーであった騎手を一度の騎乗ミスを理由にないがしろにすることは許されるものではない」という主旨の批判をした<ref>[[#大川1998|大川1998]]、321-322頁。</ref>。
== 血統 ==
=== 血統構成・背景 ===
ナリタブライアンの両親（父[[ブライアンズタイム]]、母[[パシフィカス]]）は、ともに本馬の生産者である[[早田光一郎]]が[[輸入]]した[[サラブレッド]]である（輸入の詳細な経緯についてはそれぞれの項目を参照）。
早田は生産した馬が[[種牡馬]]や[[繁殖牝馬]]となった際に近親交配を避けやすいという理由から[[アウトブリード]]の交配を好み、ナリタブライアンについて両親がともに[[競走馬の血統#血統表|血統表]]を5代遡っても[[インブリード]]を持たず、かつ互いを交配させて誕生する馬の血統表を5代遡ってもインブリードを持たないという認識のもとに交配がなされた。早田は、ナリタブライアンがデビュー当初数多くのレースに出走できた丈夫さをアウトブリードによるものだとしている<ref>[[#さようならナリタブライアン全書|さようならナリタブライアン全書]]、83頁。</ref>。3歳時に朝日杯を優勝した際は三冠競走の全てを勝利する馬とは思われていたが、半兄のビワハヤヒデが菊花賞を勝利していたこともあって血統面での評価も上がっていった<ref name="number456-62"/>。木村幸治は、早田が同じ年（1989年）にノーザンダンサーを祖先に持たないという理由でブライアンズタイムを、ノーザンダンサーの産駒であるという理由でパシフィカスを購入した事実について、「この男の意図が、ナリタブライアンという馬の誕生をもたらしたことだけは明らかである。決して偶然ではなく―」と述べている<ref>[[#木村2000|木村2000]]、95-96頁。</ref>。
=== 血統表 ===
''血統表及びその見方については[[競走馬の血統#血統表]]を参照。''
{{競走馬血統表
|name = ナリタブライアン
|f = *[[ブライアンズタイム]]<br />Brian's Time<br />1985 黒鹿毛
|ff = [[ロベルト (競走馬)|Roberto]]<br />1969 [[鹿毛]]
|fff = [[ヘイルトゥリーズン|Hail to Reason]]
|ffff = [[ターントゥ|Turn-to]]
|fffm = Nothirdchance
|ffm = Bramalea
|ffmf = [[ナシュア (競走馬)|Nashua]]
|ffmm = Rarelea
|fm = Kelley's Day<br />1977 鹿毛
|fmf = [[グロースターク|Graustark]]
|fmff = [[リボー|Ribot]]
|fmfm = Flower Bowl
|fmm = Golden Trail
|fmmf = Hasty Road
|fmmm = Sunny Vale
|m = *[[パシフィカス]]<br />Pacificus<br />1981 鹿毛
|mf = [[ノーザンダンサー|Northern Dancer]]<br />1961 鹿毛
|mff = [[ニアークティック|Nearctic]]
|mfff = [[ネアルコ|Nearco]]
|mffm = Lady Angela
|mfm = [[ナタルマ|Natalma]]
|mfmf = [[ネイティヴダンサー|Native Dancer]]
|mfmm =[[アルマームード|Almahmoud]]
|mm = Pacific Princess<br />1973 鹿毛
|mmf = [[ダマスカス (競走馬)|Damascus]]
|mmff = [[ソードダンサー (競走馬)|Sword Dancer]]
|mmfm = Kerala
|mmm = Fiji
|mmmf = Acropolis
|mmmm = Riffi
|ref1 = {{Cite web|url= http://www.jbis.or.jp/horse/0000249114/pedigree/ |title=血統情報：5代血統表｜ナリタブライアン｜JBISサーチ|work=JBISサーチ|publisher=公益社団法人日本軽種馬協会|accessdate=2019-12-31}}
|mlin = [[ロベルト系]]
|ref2 = {{Cite web|url= https://db.netkeiba.com/horse/ped/1991108889/ |title=ナリタブライアンの血統表｜競走馬データ - netkeiba.com|work=netkeiba.com|publisher=株式会社ネットドリーマーズ|accessdate=2020-10-06}}
|flin = [[13号族]]
|FN = 13-a
|ref3 = {{Cite web|url= http://www.jbis.or.jp/horse/0000249114/pedigree/ |title=血統情報：5代血統表｜ナリタブライアン｜JBISサーチ|work=JBISサーチ|publisher=公益社団法人日本軽種馬協会|accessdate=2019-12-31}}
|inbr = [[アウトブリード|なし]]
|ref4 = {{Cite web|url= http://www.jbis.or.jp/horse/0000249114/pedigree/ |title=血統情報：5代血統表｜ナリタブライアン｜JBISサーチ|work=JBISサーチ|publisher=公益社団法人日本軽種馬協会|accessdate=2019-12-31}}
}}
=== 近親 ===
* [[半兄]] [[ビワハヤヒデ]] - 菊花賞、天皇賞（春）、宝塚記念
* [[全弟]] [[ビワタケヒデ]] - [[ラジオNIKKEI賞|ラジオたんぱ賞]]
* [[従妹]] [[ファレノプシス (競走馬)|ファレノプシス]] - [[桜花賞]]、[[秋華賞]]、[[エリザベス女王杯]]
* [[従弟]] [[キズナ (競走馬)|キズナ]] - 東京優駿
* [[祖母]] パシフィックプリンセス - デラウェアオークス等
* [[曾祖母]] フィジー - [[コロネーションステークス]]
== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
=== 注釈 ===
{{Reflist|group=†}}
=== 出典 ===
{{Reflist|colwidth=30em}}
== 参考文献 ==
'''書籍・ムック本'''
* {{Cite book|和書
|author = 江面弘也
|year = 2017
|title = 名馬を読む
|publisher = 三賢社
|isbn = 4908655073
|ref = 江面2017
}}
* {{Cite book|和書
|author = [[大川慶次郎]]
|year = 1997
|title = 大川慶次郎殿堂馬を語る
|publisher = ゼスト
|isbn = 4916090527
|ref = 大川1997
}}
* {{Cite book|和書
|author = 大川慶次郎
|year = 1998
|title = 大川慶次郎回想録 まっすぐ競馬道 杉綾の人生
|publisher = [[日経ラジオ社|日本短波放送]]
|isbn = 4931367291
|ref = 大川1998
}}
**この記事では「16章 平成のスターたち・光と影」（301-330頁）を参照。
**文庫版あり（角川書店、2000年、ISBN 4043542011）
* {{Cite book|和書
|author = 大塚美奈
|year = 2003
|title = 馬と人、真実の物語2
|publisher = アールズ出版
|isbn = 4901226525
|ref = 大塚2003
}}
* {{Cite book|和書
|author = 木村幸治
|year = 1997
|title = 駿馬、走りやまず―ブライアン、ホクトベガ…“神の脚”たちの栄光と孤独
|series = ノン・ポシェット
|publisher = [[祥伝社]]
|isbn = 4396310897
|ref = 木村1997
}}
* {{Cite book|和書
|author = 木村幸治
|year = 1998
|month= 2
|title = 騎手物語
|publisher = [[洋泉社]]
|isbn = 4896913191
|ref = 木村1998/2
}}
* {{Cite book|和書
|author = 木村幸治
|year = 1998
|month= 6
|title = 名馬牧場物語
|publisher = 洋泉社
|isbn = 4896913191
|ref = 木村1998/6
}}
* {{Cite book|和書
|author = 木村幸治
|year = 2000
|title = 馬は知っていたか スペシャルウィーク、エルコンドル…手綱に込められた「奇跡」の秘密
|series = 祥伝社黄金文庫
|publisher = 祥伝社
|isbn = 4396312199
|ref = 木村2000
}}
* {{Cite book|和書
|author = 競馬名勝負愛好会
|year = 2006
|title = 競馬名勝負列伝
|publisher = 洋泉社
|isbn = 4862480063
|ref = 競馬名勝負列伝
}}
* {{Cite book|和書
|author = 杉本清
|year = 1995
|title = 三冠へ向かって視界よし 杉本清・競馬名実況100選
|publisher = 日本文芸社
|isbn = 4537024836
|ref = 杉本1995
}}
**文庫版あり（にちぶん文庫、2001年）ISBN 4537065427
* {{Cite book|和書
|author = [[杉本清]]
|year = 2001
|title = これが夢に見た栄光のゴールだ―名実況でつづる永遠の名馬たち
|publisher = [[日本文芸社]]
|isbn = 453725050X
|ref = 杉本2001
}}
* {{Cite book|和書
|author = [[武豊]]
|coauthors= [[オリビエ・ペリエ]]
|year = 2002
|title = 武豊×オリビエ・ペリエ勝つには理由がある
|publisher = [[小学館]]
|isbn = 4093873984
|ref = 武・ペリエ2002
}}
**この記事では「06 印象に残る馬」（51-60頁）を参照。
**文庫版あり（小学館、2006年、ISBN 4094080694）
*{{Cite book|和書
|author = 武豊（述）・[[島田明宏]]（著）
|year = 2003
|title = 武豊インタビュー集2 美技
|series = 広済堂・競馬コレクション
|publisher = 広済堂出版
|isbn = 4331510077
|ref = 武・島田2003
}}
*{{Cite book|和書
|author = 武豊（述）・島田明宏（著）
|year = 2004
|title = 武豊インタビュー集3 躍動
|series = 広済堂・競馬コレクション
|publisher = 広済堂出版
|isbn = 4331510646
|ref = 武・島田2004
}}
*{{Cite book|和書
|author = 武豊（述）・島田明宏（著）
|year = 2007
|title = 武豊インタビュー集スペシャル 名馬篇
|series = 広済堂文庫 シ-8-1 ヒューマン文庫
|publisher = 広済堂出版
|isbn = 4331654117
|ref = 武・島田2007
}}
* {{Cite book|和書
|author = [[田原成貴]]
|year = 1997
|title = 馬上の風に吹かれて 競馬場の風来坊2
|publisher = マガジン・マガジン
|isbn = 4914967154
|ref = 田原1997
}}
* {{Cite book|和書
|author = 田原成貴
|year = 1998
|title = いつも土壇場だった 覚悟
|publisher = 講談社
|isbn = 4063300587
|ref = 田原1998
}}
* {{Cite book|和書
|author = 橋本全弘
|year = 1997
|title = ナリタブライアンを忘れないー私が見つめた最強三冠馬の軌跡
|publisher = [[ベストセラーズ]]
|isbn = 4584182884
|ref = 橋本1997
}}
* {{Cite book|和書
|author = 吉川良
|year = 2003
|series = MYCOM競馬文庫
|title = 人生をくれた名馬たち
|publisher = [[毎日コミュニケーションズ]]
|isbn = 4839912270
|ref = 吉川2003
}}
* {{Cite book|和書
|editor = 光栄出版部（編）
|year = 1995
|title = 名馬列伝ビワハヤヒデ
|publisher = [[コーエー|光栄]]
|isbn = 4877192328
|ref = 名馬列伝ビワハヤヒデ
}}
* {{Cite book|和書
|editor = 光栄出版部（編）
|year = 1996
|title = 名馬列伝シンボリルドルフ
|publisher = 光栄
|isbn = 4877191801
|ref = 名馬列伝シンボリルドルフ
}}
* {{Cite book|和書
|editor = 光栄出版部（編）
|year = 1996
|title = 名馬列伝ナリタブライアン
|publisher = 光栄
|isbn = 487719438X
|ref = 名馬列伝ナリタブライアン
}}
* {{Cite book|和書
|year = 1997
|month =3
|title = プーサンvol.2
|publisher = 大村書店
|isbn = 475631015X
|ref = プーサンvol.2
}}
* {{Cite book|和書
|year = 1997
|month = 6
|title = プーサンvol.7
|publisher = 大村書店
|isbn = 4756310532
|ref = プーサンvol.7
}}
* {{Cite book|和書
|author =
|year = 1998
|title = 競馬名馬&名人読本―馬,人,馬券……なんでもあり!
|publisher = [[宝島社]]
|series = 別冊宝島 競馬読本シリーズ 375
|isbn = 4796693750
|ref = 競馬名馬&名人読本
}}
* {{Cite book|和書
|author =
|year = 1999
|title = 春競馬満開宣言!―特集1999春・ワタシの大予言
|publisher = 宝島社
|series = 別冊宝島 競馬読本シリーズ 435
|isbn = 4796694358
|ref = 春競馬満開宣言!
}}
*{{Cite book|和書
|year = 1999
|title = 競馬 黄金の蹄跡
|publisher = [[文藝春秋]]
|series = [[Sports Graphic Number]] PLUS
|isbn = 4160081088
|ref = 競馬黄金の蹄跡
}}
*{{Cite book|和書
|year = 2000
|title = サラブレッド99頭の死に方
|publisher = 流星社
|isbn = 4947770007
|ref = サラブレッド99頭の死に方
}}
* {{Cite book|和書
|year = 2002
|month = 5
|title = 日本調教師会50年史
|publisher = 社団法人日本調教師会
|isbn =
|ref = 日本調教師会50年史
}}
'''雑誌・ウェブサイトによる特集記事'''
* {{Cite journal|和書
|author = [[石田敏徳]]
|year = 1998
|title = 追悼!ナリタブライアン 最強馬にささげる鎮魂歌
|journal = [[優駿]]
|issue = 1998年11月号
|pages = 10-15
|publisher = [[中央競馬ピーアール・センター]]
|ref = 石田1998
}}
* {{Cite journal|和書
|author = 石田敏徳
|year = 2018
|title = その後の王者たち ナリタブライアン（平成6）『高松宮杯出走の真相』
|journal = Sports Graphic Number
|issue = 952号
|pages = 40-42
|publisher = 文藝春秋
|ref = 石田2018
}}
*{{Cite journal|和書
|author = 江面弘也
|year = 1998
|title = [蹄跡を追う]ナリタブライアン『駆け抜けた怪物』。
|journal = Sports Graphic Number
|issue = 456号
|pages = 62-67
|publisher = 文藝春秋
|ref = 江面1998
}}
*{{Cite journal|和書
|author = 片山良三
|year = 1994
|title = [直前レポート]ナリタブライアン、ダービー制覇へ。
|journal = Sports Graphic Number
|issue = 340号
|pages = 28-32
|publisher = 文藝春秋
|ref = 片山1994
}}
* {{Cite journal|和書
|author = 瀬戸慎一郎
|year = 1997
|title = 人智を超えた馬
|journal = [[競馬最強の法則]]
|issue = 1997年10月号
|pages =
|publisher = KKベストセラーズ
|url = http://keiba.yahoo.co.jp/story/saikyou/1991108889/
|ref = 瀬戸1997
}}
*{{Cite journal|和書
|year = 1998
|title = "最強の三冠馬"よ、永遠に…。
|journal = 優駿
|issue = 1998年11月号
|pages = 4-7
|publisher = 中央競馬ピーアール・センター
|ref = "最強の三冠馬"よ、永遠に…。
}}
* {{Cite journal|和書
|author =
|year =
|month =
|title =
|journal = 優駿
|issue = 1995年3月号
|pages =
|publisher = 中央競馬ピーアール・センター
|ref = 『優駿』1995年3月号
}}
* {{Cite book|和書
|year = 1996
|title = さようならナリタブライアン全書
|publisher = [[産業経済新聞社]]
|ref = さようならナリタブライアン全書
}}
* {{Cite book|和書
|year = 1998
|title = 臨時増刊号Gallop'94
|publisher = 産業経済新聞社
|series = Gallop臨時増刊レトロ
|isbn =
|ref = 臨時増刊号Gallop'94
}}
* {{Cite book|和書
|year = 2018
|title = 21世紀の名馬Vol.5 ディープインパクト
|publisher = 産業経済新聞社
|series = Gallop臨時増刊
|isbn =
|ref = 21世紀の名馬Vol.5 ディープインパクト
}}
* {{Cite book|和書
|year = 2019
|title = 追悼ディープインパクト
|publisher = 産業経済新聞社
|series = Gallop 21世紀の名馬臨時増刊
|isbn =
|ref = 追悼ディープインパクト
}}
* {{Cite web
|author =
|url = http://www.jra.go.jp/50th/html/50horse/43.html
|title = ナリタブライアン 孤高の血よ、永遠に
|work = 時代を駆け抜けた名馬たち（JRA50周年記念サイト）
|publisher = [[日本中央競馬会]]
|language = 日本語
|accessdate = 2009年12月4日
}}
== 外部リンク ==
* {{競走馬成績|netkeiba=1991108889|yahoo=1991108889|jbis=0000249114|racingpost=95272}}
* {{競走馬のふるさと案内所|0000249114|ナリタブライアン}}
* [http://www.jra.go.jp/gallery/dendo/horse24.html ナリタブライアン：競馬の殿堂 JRA]
{{Back to TOC}}
{{中央競馬の三冠馬}}
{{日本中央競馬会・顕彰馬}}
{{Navboxes|title=表彰・GI勝ち鞍
|list1=
</span>
{{JRA賞年度代表馬}}
{{JRA賞最優秀2歳牡馬|JRA賞最優秀3歳牡馬}}
{{JRA賞最優秀3歳牡馬|JRA賞最優秀4歳牡馬}}
{{朝日杯フューチュリティステークス勝ち馬|朝日杯3歳ステークス}}
{{皐月賞勝ち馬}}
{{東京優駿勝ち馬}}
{{菊花賞勝ち馬}}
{{有馬記念勝ち馬}}
{{Featured article}}
}}
{{デフォルトソート:なりたふらいあん}}
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