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{{出典の明記|date=2012年12月}}
'''キネティック・アート'''(kinetic art)とは、物理的に動く美術作品または動くように見える美術作品のこと。ただし、映画やアニメーションなどは、通常はキネティック・アートとはされない
ただし、映画やアニメーションなどは、通常はキネティック・アートとはされない。'''カイネティック・アート'''と呼ばれることもある。
 
物理的な意味で実際に'''「動く作品」'''の場合、その動力限としては自然の力(風や水流など)によるもの、電力や磁力によるもの、人力によるものなどさまざまである。ときには鑑賞者が動かすことを求められる作品もある。作家によって計算された動きが再現される作品もあれば、自然の風力を応用した[[アレクサンダー・カルダー]]の[[モビール]]作品に顕著なように、計算不能な偶発的な動きを採りこんだものもある。[[ファイル:George Rickey Ri10.gif|thumb|200px|ジョージ・リッキー『Vier Vierecke im Geviert』(1969年)]]
 
動く作品の場合は立体作品([[彫刻]])となるが、'''「動くように見える作品」'''の場合は、平面作品でもありうる。それらの多くは人間の[[錯視]]作用が綿密に計算された作品であり、本来は静止画であるはずのものが動いて見えたり、律動を感じたり、点滅が見えたりする。こうした錯視を応用した作品は[[オプ・アート]]とも呼ばれるが、キネティック・アートとオプ・アートは重なりあう。
 
また、[[アニッシュ・カプーア]]や[[井上武吉]]の一部の作品のように、鏡や鏡面処理された素材を用いたもので、鑑賞者の動きに応じて光学的な意味でイメージが変化する作品や、さまざまな光源を組みこんだ作品([[ライト・アート]])もときにキネティック・アートと呼ばれることがある。
[[ファイル:George Rickey Ri10.gif|thumb|200px|ジョージ・リッキー『Vier Vierecke im Geviert』(1969年)]]
キネティック・アートは、カルダーをはじめ、、[[ニキ・ド・サンファル]]の二度目の夫[[ジャン・ティンゲリー]]、[[ジョージ・リッキー]]([[:en:George Rickey]])、[[新宮晋]]、[[飯田善国]]らの作品が[[パブリック・アート]]として日本でも各地に設置されており、すでに一定の認知を獲得している。このキネティック・アートという用語が定着したのは1950年代のことである。その確立においてカルダーの作品が決定的な意味をもったため、しばしばカルダーをもってキネティック・アートが創始されたと記述されることがある。これを必ずしも誤りとはいえないが、立体作品に動きを採りこむ試みそのものは、当然のことながらカルダー以前からある。
 
[[ナウム・ガボ]]([[:en:Naum Gabo]])が[[1920年]]に公表した「{{ill2|リアリスト宣言|en|Realistic Manifesto}}」は、美術の領域で[[構成主義]]の語を肯定的に用いた最初の例とされるが、「キネティック」の初出もまたこの宣言である。その大部分は現存しないが、ガボみずから実験的な作品を制作している。[[マルセル・デュシャン|デュシャン]]も1920年代以降に一連の「回転する作品」を発表している(デュシャンは「モビール」の命名者でもある)。そこには錯視作用(残像効果)と動きとが同時に採りこまれたものもある。またこれら以前にも、すでに20世紀初頭において、機械文明に新たな美の可能性を見た[[未来派]]たちは「動く彫刻」を志向していたし、デュシャンの[[レディメイド]]「自転車の車輪」([[1913年]])も、素朴ではあっても「動き」を採りいれた作品に違いはない。さらにいうなら、花火や噴水も古典的な「キネティック・アート」であり、要は何をもって美術とするかの定義次第である(それだけ定義が曖昧でもある)
 
同様に未来においても「キネティック・アート」は、美術の境界が曖昧化するとともに、絶えざる拡張が予想されるジャンルである。特に[[インスタレーション]]の分野では、点灯したロウソクをそのまま使った[[ナムジュン・パイク]]の作品、生きた蟻が巣穴を掘る「造形」を鑑賞させる[[柳幸典]]の作品、腐っていく魚を作品にして物議をかもした[[イ・ブル]]など、一回性の「動き」を作品化することが珍しくなくなっており、美術作品における「動」の観念が今後どう拡張していくかは、もはや予測がつかない
 
{{Commonscat|Kinetic art}}