「ソウギョ」の版間の差分

削除された内容 追加された内容
50行目:
[[File:Grass-Carp1web.jpg|thumb|200px|ソウギョの若魚]]
[[日本]]では、[[1878年]](明治11)以降に他の四大家魚とともに日本人の蛋白源として[[日本列島]]内に導入が図られ、各地の川や湖沼に[[放流]]された。利根川水系への移植は、食糧難の解決のため1943年(昭和18年)と1945年(昭和20年)の2回で併せて2万3千尾、全国へは370万尾が放流された<ref name="weed.22.1"/>。また、戦後の農業形態の変化に伴って、湖沼に繁茂する水草が農業[[肥料]]などとして利用されなくなり、その繁茂を嫌った世論もあって各地で湖沼の水草を制限する意図で利根川水系産のソウギョが各地に放流された。
少なくとも1978年(昭和53年)時点では、ソウギョの評価は「川の掃除屋」であり、エサ代不要、急成長、[[北洋漁業|二百カイリ規制無し]]の結構づくめの存在として新聞に持ち上げられていた<ref>青鉛筆『朝日新聞』1978年(昭和53年)1月28日朝刊、13版、21面</ref>。
 
しかし巨大に成長したソウギョは旺盛な食欲で各地の湖沼の水草を食いつくし、水草帯を生息地とする在来魚や水生昆虫の生息を脅かすなど[[生態系]]に深刻な悪影響を与えることが認識されるようになった。かつて水草の繁茂する湖だった[[長野県]]の[[野尻湖]]は、ソウギョの放流後水草が激減し、現在では網で囲った保護区域を除きほとんど見ることができない<ref>[http://park7.wakwak.com/~fuyosou/sougyo.htm 野尻湖・近鉄前水草復元区にソウギョ侵入] 野尻湖水草復元研究会</ref>。当然水草の減少要因がソウギョだけでないとしても、ソウギョの放流と水草の減少が同期していることから鑑みれば、食害が原因である可能性は高い。また、水草を消化吸収した後に出す膨大な[[糞]]が湖沼底に堆積し、却って水質汚濁の原因ともなることが理解されるに至ったため、自然環境に好ましくない負荷をかける[[外来種]]と認識されるようになった。長野県[[木崎湖]]では、キザキフラスコモ(学名: ''Nitella minispora'' Imahori )が食害の結果、絶滅したことが報告されている<ref>[http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2010762831 木崎湖における車軸藻類の分布(2001~2002)] 長野県環境保全研究所研究報告 (1), 29-37, 2005</ref>。