「スイッチング電源」の版間の差分

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制御系全体が振動しながら目的の電圧及び/または電流に収束する制御方式である。
==== RCC(Ringing Choke Converter) ====
[[ファイル:rcc.png|リンギングチョークコンバータ|リンギングチョークコンバータの原理的回路図]]
<br />"It is also referred to as ringing choke converter (RCC) since the regenerative signal for oscillation comes from ringing of transformer choke."
<ref>{{Cite web |url=https://www.scribd.com/document/267987864/Self-Oscillating-Fly-back-Converter-for-Mobile-Batteries-Charging-Applications |title=Self-Oscillating Fly-back Converter for Mobile Batteries Charging Applications |accessdate=2021-06-01 }}</ref><br />
「発振用の再生信号がトランスチョークのリンギングに由来するため、リンギングチョークコンバータ(RCC)とも呼ばれる。」
 
フライバック方式の一種であるRCCは、<br />
・(磁気飽和を防ぐため)コアにギャップを設けたフライバックトランス<br />
・電源ノードに接続される、トランスの一次巻線(図中"primary")<br />
・一次巻線のスイッチングを行うバイポーラトランジスタのトランジスタスイッチ(図中"Tr")<br />
・トランジスタスイッチにベース電流を供給するベース巻線(図中"base")<br />
・トランジスタスイッチのオフ時に電力を出力する二次巻線(図中"secondary")<br />
・二次巻線に接続される整流ダイオード(図中"D1")<br />
・トランジスタスイッチのベースに起動電流を与える抵抗(図中"R1")<br />
が、必要最小限の構成である。
 
1)電源ノードから抵抗R1を介してトランジスタスイッチTrのベースに僅かな起動電流が供給される。<br />
2)トランジスタスイッチTrがオンになると、電源ノードから一次巻線primaryを通じてトランジスタスイッチTrのコレクタエミッタ間に電流が流れる。<br />
3)一次巻線primaryの磁束が変化すると、ベース巻線baseが励磁される。<br />
4)ベース巻線baseが励磁されると、トランジスタスイッチTrのベース電流が増加し、トランジスタスイッチTrが完全にオン状態になり、一次巻線primaryの電流が増加する。<br />
5)やがて一次巻線primaryの電流が飽和すると、一次巻線primaryの磁束は変化しなくなり、ベース巻線baseの励磁がなくなる。すると、ベース電流がなくなり、トランジスタスイッチTrはオフする。<br />
6)トランジスタスイッチTrがオフすると、一次巻線primaryに蓄積された磁力が二次巻線へ電流となって出力される。この時、一次巻線primary及びベース巻線baseの巻線方向とは逆方向に電圧が現れる。<br />
7)ベース巻線baseにも二次巻線secondaryと同様、逆方向の電圧が励起されるため、二次巻線secondaryから出力される電流がなくなるまで、トランジスタスイッチTrのオフ状態(ベースエミッタ間電圧がオン電圧よりも低い状態)は維持される。<br />
8)やがて二次巻線secondaryの電流が少なくなると、電源ノードから抵抗R1を介してトランジスタスイッチTrのベースに僅かな起動電流が供給される。すなわち、上記1)に戻る。
 
ベース巻線baseからトランジスタスイッチTrへ供給される電流が、一次巻線primaryの励磁に起因して、急激に増加した後、徐々に減っていく有様が、"transformer choke"という言葉で表現されている。<br />
RCCの歴史は古く、少なくとも日本では昭和36年頃にはその技術思想が公知になっていたものと推察される
<ref>{{Cite web |url=https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1800/PU/JP-S34-061806/BD53AAFF66AE7D32D340DAA36690EE96F23F02CD27580E48C9B386AB28791749/20/ja |title=実公昭36-133号公報 |accessdate=2021-05-31 }}</ref>
 
設計が複雑かつ困難、負荷変動によってスイッチング周波数が変動する、大電力には不向き等、欠点は専用ICを用いるフライバックコンバータより多いものの、最小限の構成であれば極めて簡素な部品構成で実装が可能であり、低コストで実装できるので、携帯電話の充電器や、ビデオレコーダやパソコン等の待機用電源回路として多用されていた。<br />
2021年現在では、前述のPSR採用ICが安価に流通しているため、携帯電話の充電器用途としては殆ど見かけない。
 
=== 他励式 ===