「オイルド作戦」の版間の差分

'''オイルド作戦''' (Operation Oiled<ref name=Konstam31>''Sink the Tirpitz 1942–44'', p. 31</ref>) はイギリスが1942年1月に実行したドイツ戦艦「[[ティルピッツ (戦艦)|ティルピッツ]]」に対する夜間爆撃作戦。

1942年1月、訓練を終えた「ティルピッツ」はノルウェーへと移動した<ref name=Konstam31/>。1月23日、イギリス軍機が[[:en:Fættenfjord|フェッテンフィヨルド]]に停泊する「ティルピッツ」を発見<ref name=Sweetman19>''Tirpitz'', p. 19</ref>。それを受けてイギリス首相[[ウィンストン・チャーチル]]は「ティルピッツ」爆撃計画策定を命じた<ref>''Target Tirpitz''、位置810/7314</ref>。フィヨルドの地形上、実行困難な空母からの雷撃機による攻撃は選択肢から外れ、攻撃は[[爆撃機軍団]]の担当となった<ref>''Sink the Tirpitz 1942–44'', p. 31, ''Target Tirpitz''、位置976-982/7314</ref>。攻撃の実施時間は夜間が選択され、月明かりの関係から作戦は1月29日から30日夜に実行と決まった<ref>''Sink the Tirpitz 1942–44'', p. 31, ''Tirpitz'', p. 22</ref>。

航続距離の問題で爆撃機はスコットランドの基地からの出撃となり、1月28日に第15および149飛行隊の[[ショート スターリング|スターリング]]16機と第10および76飛行隊[[ハンドレページ ハリファックス|ハリファックス]]10機が[[:en:RAF Lossiemouth|ロジーマス基地]]へと向かった<ref>''Sink the Tirpitz 1942–44'', p. 31, ''Tirpitz'', p. 22, ''Target Tirpitz''、位置982/7314</ref>。その際、スターリング1機が味方の船団から誤射されて不時着し、別のスターリング1機は着陸時に凍った雪にあたって尾部を破損した<ref name=Sweetman23>''Tirpitz'', p. 23</ref>。

整備やエンジンの問題で出撃はスターリング7機とハリファックス9機となった<ref name=Konstam32>''Sink the Tirpitz 1942–44'', p. 32</ref>。スターリングは1月30日0時30分から、ハリファックスは2時4分から2時34分にかけて出撃<ref>''Tirpitz'', pp. 23-24</ref>。ハリファックス4機は燃料不足のため引き返し、目標上空に到達した残りの機も雲によって投弾を妨げられた<ref>''Sink the Tirpitz 1942–44'', p. 32, ''Tirpitz'', pp. 23-24</ref>。結局、ハリファックス1機のみが撃ち上げられる対空砲火の中心に対して投弾したが、効果はなかった<ref>''Tirpitz'', p. 24, ''Target Tirpitz''、位置999/7314</ref>。

帰投中にハリファックス1機が墜落したが、搭乗員は救助された<ref>''Tirpitz'', p. 24</ref>。また、ハリファックス1機が着陸に失敗した<ref name=Konstam33>''Sink the Tirpitz 1942–44, p. 33''</ref>。

作戦失敗の原因は気象情報の不足であり、以後は攻撃前にノルウェーのレジスタンスからの現地情報入手に努めることとなったる<ref name=Konstam33/>。