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出典補記など
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{{混同|女性天皇}}
{{出典の明記|date=2021年3月}}
'''女系天皇'''(じょけいてんのう)とは、[[第2次小泉内閣 (改造)|小泉政権]]下の[[2005年]](平成17年)時に開催された「[[皇室典範に関する有識者会議]]」において、[[天皇]]の皇位継承候補を巡って出てきた架空の概念であり、男系男子の伝統文化の歴史とは異なる皇位継承を想定して使用されている言葉である<ref name="mizu">{{Harvnb|水間|2019}}</ref><ref name="kobo-saku">{{Harvnb|小堀・櫻井・八木|2006}}</ref><ref name="kobo4">{{Harvnb|小堀|2012|pp=30-35}}</ref>。通常の意味で「'''女系'''」とは、「母方でたどる血統」「女から女へと続いてゆく家系」<ref>{{Harvnb|岩波国語|2011|p=717}}</ref>、「女子だけで継承していく系統」のことであるが<ref>[https://www.weblio.jp/content/%E5%A5%B3%E7%B3%BB?dictCode=SGKDJ デジタル大辞泉「女系」]</ref>、この「'''女系'''天皇」の場合の「女系」には、「女から女へと続いてゆく」女系血統の'''連続性'''の概念は確認できず、ここで想定される皇位継承は「男女を問わず第一子を優先する」とする案が先の「皇室典範に関する有識者会議」で出されていた<ref name="mizu11">{{Harvnb|水間|2019|pp=99-115}}</ref>。
 
このため「女系天皇」とは、当座の想定概念として、「母方にのみ天皇の血筋をもつ」人物が天皇になることを指している言葉の意味であり<ref>[https://www.weblio.jp/content/%E5%A5%B3%E7%B3%BB%E5%A4%A9%E7%9A%87?dictCode=SGKDJ デジタル大辞泉「女系天皇」]</ref>、詳細に説明すれば、父親が[[神武天皇|神武天皇(初代天皇)]]からの歴代天皇の男系の血統ではなく、母親のみが神武天皇の血統である人物が{{refnest|group="注釈"|この場合の将来世代の天皇については、初代の女系天皇以降を女系天皇と呼ぶのかについての定義は確認できない。また、初代女系天皇が男性の場合、その男性からの男系子孫が天皇となることを女系天皇に含むか否かの定義も確認できない。}}、先例にない天皇になることを想定して使用されている言葉である<ref name="mizu2">{{Harvnb|水間|2019|pp=27-33}}</ref><ref name="take33">{{Harvnb|竹田|2020|p=33}}</ref><ref name="kobo4"/>。よって、父親の血統を遡ると神武天皇に繋がる女性が天皇になる「[[女性天皇|女'''性'''天皇]]」とは全く異なる<ref name="mizu2"/>{{refnest|group="注釈"|その'''女性天皇'''は、配偶者が神武天皇からの男系に繋がる人物でない限り、彼女の子孫は次代の天皇にはならない。}}。
 
日本では神武天皇の即位以来、男系による皇位継承が保持され<ref name="mizu2"/>、[[徳仁|第126代の今上天皇]]に至るまで、男系(父方)で辿ると必ず神武天皇に辿り着くとされている<ref name="mizu2"/>。対して「女系天皇」は'''架空の概念'''であり、もし仮にそれが容認され、「女'''性'''天皇」の子孫(その女性天皇の配偶者が神武天皇からの男系に繋がる人物でない場合)や、歴史的に例のない[[女性宮家|神武天皇の男系に属する女性皇族を当主として創設される「女性宮家」]]というものが恒常的に制度化され、その当主である女性皇族が民間人と結婚しその子どもが天皇となる場合、「神武天皇からの男系血統」の天皇とは異なる系統となる<ref name="mizu2"/><ref name="mizu11"/>。この事から、女系天皇の容認は、[[万世一系]](=神武天皇からの男系)である皇統の歴史の断絶であり、「神武天皇からの男系血統を継ぐ皇室」の終焉でもある<ref name="mizu2"/>。2020年時点において仮定するならば、例えば[[眞子内親王]]と婚約内定者の民間男性との間に産まれた子が天皇になったり、あるいは女性天皇となった[[愛子内親王]]が民間男性と結婚されその子が天皇になったりすると、「神武天皇からの男系血統」ではない者が天皇になるということである<ref name="mizu2"/><ref name="mizu11"/><ref>[https://www.news-postseven.com/archives/20200904_1592077.html/2 女性宮家創設なら「眞子様と圭殿下の子」が天皇候補の可能性-2ページ](NEWSポストセブン、2020年9月4日)</ref>{{refnest|group="注釈"|眞子内親王の女系子孫から女系尊属(先祖)を辿ると、民間人の血を引く[[文仁親王妃紀子]]に辿り着くため、皇室の女系血統としては眞子内親王から始まる女系血統を継ぐ天皇となる。なお、眞子内親王の子が男子であった場合、その男子の子供(眞子内親王の孫)は、男子の配偶者である民間人女性(眞子内親王の孫の母)の女系血統となるため、眞子内親王の女系血統を継ぐ子孫とはならない。}}。
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== 欧州王室との相違 ==
他の君主国の例を挙げると、[[イギリス]]の場合では、女系男性王の誕生、あるいは王家の血を引く貴族や他国の君主を招くことなどで、連合王国時代の[[イギリス君主一覧|君主]]で6回、前身の一つの[[イングランド君主一覧|イングランド君主]]も含めると何度も[[王朝]]交代がなされている{{efn|現在のイギリス王室である[[ウィンザー朝]]は[[1917年]]に始まった[[ドイツ系イギリス人]]の王族によるもの。}}<ref>イギリス王室1000年の歴史 レッカ社  カンゼン ASIN: B014219DUK</ref>。例えば、イギリスの女王陛下の[[エリザベス2世]]の夫君の[[フィリップ (エディンバラ公)|エディンバラ公爵フィリップ王配]]殿下は、元来ギリシャ王家の王族の出自であり(先祖らはデンマーク、ノルウェーの王家出身者)、女王との結婚以前から王族の身分の人物である<ref name="kobo3">{{Harvnb|小堀|2012|pp=24-29}}</ref>。なお、こうしたイギリスとの比較は日本の[[国体]]における皇室を考える上では異質なものであるという意見もあり、[[西尾幹二]]は『国民の歴史』の中で、「天皇とは血筋と[[神話]]がすべて」であると断言し、神武天皇から受け継がれているとされる男系の血筋やその神話が日本の皇室の存立にとっての最重要点であるとしている<ref name="mizu7">{{Harvnb|水間|2019|pp=58-64}}</ref>。
 
その他のヨーロッパの王室も日本の皇室とは歴史的背景等が異なるので同列には並べられないが、ここに相違点を以下に挙げる。
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== 参考文献 ==
*{{Citation|和書|author1=[[小堀桂一郎]] |author2=[[櫻井よしこ]] |author3=[[八木秀次]] |date=2006-02|title=「女系天皇論」の大罪|publisher=[[PHP研究所]]|isbn=978-4569648071|ref={{Harvid|小堀・櫻井・八木|2006}}}}
*{{Citation|和書|author=小堀桂一郎 |date=2012-10 |title=萬世一系を守る道 ―なぜ私は「女系天皇」を絶対に容認できないのか―|publisher=[[海竜社]] |isbn=978-4759312584|ref={{Harvid|小堀|2012}}}}
*{{Citation|和書|author1=[[竹田恒泰]] |author2=[[谷田川惣]] |date=2020-03 |title=入門「女性天皇」と「女系天皇」はどう違うのか ―今さら人に聞けない天皇・皇室の基礎知識―|publisher=PHP研究所 |isbn=978-4569846835 |ref={{Harvid|竹田|2020}}}}
*{{Citation|和書|editor1=[[西尾実]]|editor2=[[岩淵悦太郎]]|editor3=[[水谷静夫]]|date=2011-11|title=[[岩波国語辞典]]|edition=第7・新|publisher=[[岩波書店]]|isbn=978-4000800471|ref={{Harvid|岩波国語|2011}}}}