「汝平和を欲さば、戦への備えをせよ」の版間の差分

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== 出典 ==
この[[格言]]の出典は明らかになってはいない<ref>例えばダフ(Duff ,1899 )は、起源が明らかでないからと「それらしい」古典の著書を羅列し、「もっともふさわしいのは[[ウェゲティウス]]だ」と記述している。</ref>。
しかし一般的には、[[ローマ帝国]]の[[軍事学者]][[ウェゲティウス|フラウィウス・ウェゲティウス・レナトゥス]]の '''{{lang|la|Igitur qui desiderat pacem, praeparet bellum.}}''' の表現を変えたものとされている<ref>Book III, prologue, end.</ref>。[[390年]]ごろに書かれたとされる彼の論文「軍の問題に関して( [[:en:Epitoma rei militaris|Epitoma rei militaris]] )」に基づく数多くの格言の1つだと言われる。
この句が書かれているのは、[[軍事行動]]において準備を万全にしておくことの重要性を強調し、単なる偶然や[[数の優勢]]に頼ることをいましめた一節である。
{{quotation|したがって、平和を願う者は、戦争の準備をせねばならない。勝利を望む者は、兵士を厳しく訓練しなければならない。結果を出したい者は、技量に依って戦うべきであり、偶然に依って戦うべきではない<ref>"Igitur qui desiderat pacem, praeparet bellum; qui uictoriam cupit, milites inbuat diligenter; qui secundos optat euentus, dimicet arte, non casu." [http://www.thelatinlibrary.com/vegetius3.html The Latin Library]</ref>}}
[[孫子 (書物)|孫子]]にも同様の表現が見られ、
{{quotation|百戦百勝は、善の善なる者にあらず。戦わずして人の兵を屈するは、善の善なる者なり。|謀攻篇第三}}
{{quotation|子曰く、およそ善の善なる者は、其(敵)の来たらざるを恃むこと無く、我に以て待つあるを恃むなり。其(敵)の攻めざるを恃む事無く、我に攻むる所あるべからざるを恃むなり。|九変篇第八}}
と、[[勢力均衡|抑止力]]としての[[軍隊]]の重要性を訴えている。
 
== 現代における派生表現 ==
いずれにせよ、この格言はさらに以下のようなさまざまな変形を生むものとなり、多数の言語でさまざまな考えを表現するのに使われた。この格言をウェゲティウスのものとする筆者でも、その多くは実際の表現を挙げることもしない。
 
=== Si vis bellum para pacem ===
[[ファイル:Andrea Appiani 001.jpg|thumb|right|[[ナポレオン・ボナパルト|ナポレオン]]の[[神格化]]。[[アンドレア・アッピアーニ]]画、1807年。]]
例えば、[[ナポレオン・ボナパルト]]の[[外交政策]]に関して、[[歴史家]]の[[ルイ・アントワーヌ・フォヴレ・ド・ブーリエンヌ|ブーリエンヌ]]は次のように述べている<ref>De Bourrienne, p.418.</ref>。
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{{-}}
 
=== Si vis pacem para pactum ===
[[ファイル:9mmLuger.jpg|thumb|right|[[1901年]]に開発された[[9x19mmパラベラム弾|9mm9 mmパラベラム弾]]。「'''パラベラム'''」(Parabellum)という名は、この[[拳銃]]用[[実包]]を開発した[[ドイツ]]の兵器企業[[DWM (火薬メーカー)|DWM]](ドイツ武器弾薬工業)が、「汝平和を欲さば、戦への備えをせよ」(Si vis pacem, para bellum)を社のモットーとしていたことによる]]
好戦的な他国を軍備によって抑止し、平和を確保しようという考え方は、[[20世紀]]に[[ナチス・ドイツ]]など[[枢軸国]]の[[軍国主義]]によって不吉な転機を迎えた。(大きな)戦争を阻止するには、戦争の準備をするだけでは不十分で、実際に(小さな)戦争を起こす必要があるということになった。[[アンドリュー・カーネギー]]が議長を務めた1907年の National Arbitration and Peace Congress では、その何年も前にこの問題を取り上げている。
{{quotation|これら陸海の巨大な軍備は、戦争を行う手段ではなく、戦争を防ぐ手段なのだと言われている……しかしもっと安全な道もある……必要なのは各国政府の同意と善意だけだ。昨今は、平和を望むなら軍備を、と言われる。この議会は、民衆に代わってこう言う、'''Si vis pacem, para pactum'''、平和を望むなら、平和維持に賛同せよ、と<ref>Bertholdt,p.333</ref>。}}
 
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== 脚注 ==
{{Reflist}}
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== 関連項目 ==
* [[戦争]]
* [[平和]]
* [[勢力均衡]](抑止力)
* [[核抑止]]