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'''金融再生プログラム'''(きんゆうさいせいプログラム)とは、[[2002年]]10月、[[竹中平蔵]][[内閣府特命担当大臣(金融担当)|金融担当大臣]](当時)が作成した、日本の[[金融機関]](特に[[銀行]])の再生を目指した政策案のことである。通称「'''竹中プラン'''」。
 
「主要行の[[不良債権]]問題を通じた経済再生」が、その主軸となっている。要点は以下である{{Sfn|竹中平蔵|2006|p=75}}
 
==概説==
日本は90年代を通して100兆円以上の[[赤字財政支出|財政出動]]を継続して行っていたが、しかし経済は回復せず[[失われた10年]]を脱せていない状態であった{{Sfn|竹中平蔵|2006|p=33}}。
それは行うべきバブル期の[[不良債権]]処理を怠っていたからであり{{Sfn|竹中平蔵|2006|p=33}}、[[小泉内閣]]発足時の所信表明演説においても不良債権処理の推進<ref>第百五十一回国会における小泉内閣総理大臣所信表明演説 平成十三年五月七日</ref> を宣言していた。
 
就任した[[小泉純一郎|小泉総理]]は[[聖域なき構造改革|構造改革]]の一丁目一番地と位置づけ、[[金融庁]]に「不良債権終息宣言をできるようにせよ」と指示した{{Sfn|竹中平蔵|2006|p=42}}。しかし金融庁の案は大口債権者問題(ゾンビ企業)の解決を避けたものであり処理は一向に改善されず{{Sfn|竹中平蔵|2006|p=33}}、[[世界経済フォーラム]]においても日本は本当に処理を進められるのか疑問視されていた{{Sfn|竹中平蔵|2006|p=33}}。
 
そこで2002年9月30日の[[第1次小泉内閣 (第1次改造)|第1次改造]]において、小泉総理は[[内閣府特命担当大臣(金融担当)|金融担当大臣]]の[[柳澤伯夫]]を更迭し、[[内閣府特命担当大臣(経済財政政策担当)|経済財政政策担当大臣]]であった竹中を兼務させ、竹中らの手により不良債権処理プログラムが作成された。要点は以下である{{Sfn|竹中平蔵|2006|p=75}}。
 
# 資産査定の厳格化のため、市場価格による査定を徹底させる([[DCF法]]の採用){{Sfn|竹中平蔵|2006|p=75}}
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# 経営健全化計画が未達成な銀行に対しては業務改善命令を出す{{Sfn|竹中平蔵|2006|p=75}}
 
==経緯==
日本は90年代を通して100兆円以上の[[赤字財政支出|財政出動]]を継続して行っていたが、しかし経済は回復せず[[失われた10年]]を脱せていない状態であった{{Sfn|竹中平蔵|2006|p=33}}。
それは行うべきバブル期の[[不良債権]]処理を怠っていたからであり{{Sfn|竹中平蔵|2006|p=33}}、[[小泉内閣]]発足時の所信表明演説においても不良債権処理の推進<ref>第百五十一回国会における小泉内閣総理大臣所信表明演説 平成十三年五月七日</ref> を宣言していた。
 
就任した[[小泉純一郎|小泉総理]]は[[聖域なき構造改革|構造改革]]の一丁目一番地と位置づけ、[[金融庁]]に「不良債権終息宣言をできるようにせよ」と指示した{{Sfn|竹中平蔵|2006|p=42}}。しかし金融庁の案は大口債権者問題(ゾンビ企業)の解決を避けたものであり処理は一向に改善されず{{Sfn|竹中平蔵|2006|p=33}}、[[世界経済フォーラム]]においても日本は本当に処理を進められるのか疑問視されていた{{Sfn|竹中平蔵|2006|p=33}}。
 
そこで2002年9月30日の[[第1次小泉内閣 (第1次改造)|第1次改造]]において、小泉総理は[[内閣府特命担当大臣(金融担当)|金融担当大臣]]の[[柳澤伯夫]]を更迭し、[[内閣府特命担当大臣(経済財政政策担当)|経済財政政策担当大臣]]であった竹中を兼務させ、竹中らの手により不良債権処理プログラムが作成された。要点は以下である{{Sfn|竹中平蔵|2006|p=75}}
== 影響 ==
2003年、[[りそな銀行]]の監査法人は[[繰延税金資産]]の資産計上を適正(3年分限り)に行った結果、[[自己資本比率]]が4%を大きく下回る2%台であることが判明し、5月27日に[[預金保険法]]に基づく資本注入(第1号処置)を申請した{{Sfn|竹中平蔵|2006|p=113}}。同行は総額1兆9660億円の政府出資を受けて国有化された。
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同年、[[足利銀行]]の監査法人は[[繰延税金資産]]の資産計上を認めず、その結果同行は[[債務超過]]であることが判明(後に233億円の債務超過と判明)、金融庁は11月29日に預金保護法に基づく破綻処理(第3号処置)を発動した{{Sfn|竹中平蔵|2006|p=129}}。
 
=== ゾンビ企業の再生 ===
{{see also|創造的破壊|産業構造の転換#ゾンビ企業}}
[[ゾンビ企業]]とは、「債務超過で回復の見込みがないのにもかかわらず、追い貸しや金利減免などの銀行の支援によって生きながらえている、非生産的な企業」<ref>{{Cite journal |author=Ricardo J. Caballero |author2=Takeo Hoshi |author3=Anil K. Kashyap |date= 2008 |title=Zombie Lending and Depressed Restructuring in Japan |journal=[[American Economic Review]], American Economic Association |volume=98 |issue=5 |pages=1943-77 |url=http://www.nber.org/papers/w12129}}</ref> と定義されている<ref>{{Cite journal|和書|author=中村純一 |author2=福田慎一 |title=いわゆる「ゾンビ企業」はいかにして健全化したのか |date=2008-03 |publisher=日本政策投資銀行設備投資研究所 |journal=経済経営研究 |volume=28 |number=1 |naid=40016026053 |pages=1-36 |url=http://www.rieti.go.jp/jp/projects/cgp/09.html |ref=harv}}</ref>。
 
'''[[ゾンビ企業]]'''とは、「債務超過で回復の見込みがないのにもかかわらず、追い貸しや金利減免などの銀行の支援によって生きながらえている、非生産的な企業」<ref>{{Cite journal |author=Ricardo J. Caballero |author2=Takeo Hoshi |author3=Anil K. Kashyap |date= 2008 |title=Zombie Lending and Depressed Restructuring in Japan |journal=[[American Economic Review]], American Economic Association |volume=98 |issue=5 |pages=1943-77 |url=http://www.nber.org/papers/w12129}}</ref> と定義されている<ref>{{Cite journal|和書|author=中村純一 |author2=福田慎一 |title=いわゆる「ゾンビ企業」はいかにして健全化したのか |date=2008-03 |publisher=日本政策投資銀行設備投資研究所 |journal=経済経営研究 |volume=28 |number=1 |naid=40016026053 |pages=1-36 |url=http://www.rieti.go.jp/jp/projects/cgp/09.html |ref=harv}}</ref>。
 
メディアでは大口債権者として、以下の9社が報じられた。
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* [[いすゞ自動車]] <ref name="newsweek" /> - 1,000億円の[[デットエクイティスワップ]]実施
* [[日商岩井]] <ref name="newsweek" /> - [[ニチメン]]と合併
* [[東京電力ホールディングス]]<ref name="nikkeibp">{{cite news
| author = 大西 孝弘
| url = https://business.nikkei.com/atcl/opinion/15/221102/071000491/
| title = 東電、東芝…。政府が作るゾンビ企業群の恐怖。本当に日本の資産や技術を生かすことになるのか
| newspaper = [[日経ビジネス]]
| publisher = [[日経BP]]
| date = 2017-07-11
| accessdate = 2019-09-03
}}</ref> - [[福島第一原子力発電所事故]]で[[日本国政府]]が[[原子力損害賠償・廃炉等支援機構]]を通じて支援
* [[東芝]]<ref name="nikkeibp"/> - 粉飾決算で医療機器部門と半導体部門を売却。政府系金融機関の[[産業革新機構]]と[[日本政策投資銀行]]が支援。
{{see also|創造的破壊|産業構造の転換#ゾンビ企業}}
 
== 成果 ==