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{{Otheruses|自動車における廃車|鉄道車両の廃車|廃車 (鉄道)}}
自動車における'''廃車'''(はいしゃ)とは、[[自動車]]の本来の用途における使用(人や物を運ぶこと)をやめ、車籍を抹消すること、またはそうされた車両のことである。▼
{{複数の問題
| 出典の明記 = 2021年7月
自動車、特に日本車は故障しにくく丈夫なことで世界中に知られているが、一般的には10〜15年ほどで寿命を迎え、特に15年超えの車両は故障などしていなくても、税金の問題で廃車となることが多い。日本では東北以北や北陸など、積雪地域においては融雪剤として使われる[[塩化カルシウム]]による[[腐食]]の問題もあり、寿命はさらに短くなる。▼
| 独自研究 = 2021年7月
}}
▲[[自動車]]における'''廃車'''(はいしゃ)とは、[[自動車]]の本来の用途における使用(人や物を運ぶこと)をやめ、車籍を抹消すること、またはそうされた車両のことである。
▲自動
▲== 日本における廃車の手続 ==
=== 登録自動車・軽自動車の抹消登録 ===
日本の場合、自動車の所有者が'''抹消登録'''(まっしょうとうろく)
抹消登録の方法として、[[道路運送車両法]]第15条に基づ
登録自動車の場合は
==== 永久抹消登録 ====
道路運送車両法第15条に基づく廃車手続きで、
2005年1月1日より[[使用済自動車の再資源化等に関する法律]](通称 ==== 一時抹消登録 ====
道路運送車両法第16条に基づく廃車手続きで、
自動車を一時抹消登録した場合は'''登録識別情報等通知書'''(備考欄に「一時抹消登録」印字)
盗難などにより車が行方不明になった場合も、車両が解体処理されたことが証明できないため、後に発見された時の再登録を考慮して一時抹消の手続きが取られる。この場合には盗難届等の証明書が必要となる。また、一時抹消登録を行った車でも日本国外への[[輸出]]は可能だが、その場合には運輸支局から輸出抹消仮登録証明書の発行を受ける必要がある。
一時抹消登録を受けた車両のうち、一時抹消後に「抹消登録証明書」を紛失した場合には、抹消登録証明書は原則として再発行されないため、再登録は非常に困難となる。中古車([[オートバイ]]を含む)業界では、この抹消登録証明書の有無を指して「書付き」「書無し」と呼んで区別する。「書無し」の場合は実働車体であっても再登録が事実上不可能に近いため[[部品取り]]としての扱いしか受けられない。逆に「書付き」の場合は「職権打刻」等の正規手続きを経て、他のフレームに[[車台番号]]を移し替えることで再登録が可能である。そのため稀少車の場合は、ほぼ全損変形し部品としては無価値に近いフレームであっても高価で取引される場合がある。[[インターネットオークション]]などの個人売買では、この「書付き」「書無し」の説明が不十分で、後にトラブルとなるケースもあるため購入前には十分な確認が必要である。
▲自動車を一時抹消登録した場合は'''登録識別情報等通知書'''(備考欄に「一時抹消登録」印字)が、二輪の小型自動車と検査対象軽自動車の場合は'''自動車検査証返納証明書'''(同じく「自動車検査証返納」印字)が、車検のないバイク(二輪の軽自動車)の場合は'''軽自動車届出済証返納済確認書'''と'''軽自動車届出済証返納証明書(自動車重量税用)'''が交付される。
=== ローンが残った車の廃車手続 ===
所有者名義が自分になっている場合、[[ローン]]が残っていても廃車手続きをすることが可能であり、その場合は一括で支払うか、新しい車両へ残債を引き継ぐことが選択できる。一方で、所有権が信販会社やディーラーにある場合は、廃車手続きの前に
=== 廃車の現状 ===
[[
[[
[[ファイル:Hinoranger2daime.JPG|thumb|200px|right|トラックの廃車体<br />[[日野・レンジャー]]]]▼
[[ファイル:Mazda.light.bus.tipe-a.jpg|thumb|200px|right|バスの廃車体<br />[[マツダ・ライトバス]]]]▼
[[ファイル:スバルサンバーディアス.jpg|thumb|200px|right|[[軽自動車]]の廃車体<br />[[スバル・サンバー|スバル・サンバーディアス]]]]▼
==== 廃車の行く末 ====
* 廃車後の車両の行き先として、自動車の[[解体屋]]、中古車としての流通がある。
* 解体屋から先の[[リユース]]あるいは[[リサイクル]]工程としては、部品別に分解して中古部品や[[リビルド]]品としての販売や、材質別に分別して原料として、再度自動車部品やその他の製品の製造に使用される。また、廃金属として[[中華人民共和国|中国]]など海外へ[[輸出]]されるケースもある。他に[[プレス機]]で[[サイコロ]]状にして[[海中]]に沈め、[[魚礁]]として利用されたケースもある。
* 十分に使えると判断された"廃車"を[[中古車]]として[[流通]]させる場合もある。流通先として国内もあるが、[[ロシア]]、[[アフリカ]]などの海外に向けて輸出されるケースも多い。現地で日本[[国内専用車]]を相当数見られることから、日本から輸出された中古車両は多いと推測できる
* [[ワンボックスカー|1BOX車]]や[[日本のバス車両|バス]]などを中心に、[[鍵]]付きの[[倉庫]]、集会所、
* [[現代自動車|ヒュンダイ]]は、2018年に韓国国内で広報キャンペーン * [[道路]]上に長期間放置されたり、[[山]]や[[港]]、[[工業団地]]裏、[[橋|橋梁]]下などに[[不法投棄]]される場合もある。そうした不法投棄車両が多数となって[[社会問題]]化したため、[[2005年]](平成17年)[[4月1日]]から[[自動車リサイクル法]]が施行され、一時期に比べて不法投棄車両は減少している。
* 他の物品における[[ジャンク品]]と同様に、破壊を前提とした[[興行]]や[[撮影]]([[劇用車]])に供されたり、何らかの[[実験]]台([[水害|水没]]や[[火災]]テスト、[[ガードレール]]や[[交通信号機|信号機]]支柱など地上設備の性能試験など)、後述の「ミサイル」のような(破損することを前提とした)運転練習用にされる場合もある。撮影に使用されるケースとしては[[テレビドラマ]]や[[映画]]、再現ビデオなどの[[カーアクション]]シーンに用いられる。興行としては[[:en:Demolition derby|デモリッションダービー]](廃車をぶつけ合い、最後まで動いていた者が勝ちとする競技)競技車両、[[モンスタートラック]]競技の障害物、カージャンプショーの際のクッションなどが挙げられる。また[[自動車検査登録制度|車検切れや書類紛失]]、[[保安基準]]不適合などの理由で「自走は可能だが[[公道]]では走れない」車両の場合、通称「[[ミサイル]]」(サーキット走行専用に用意された[[ドリフト走行]]練習用車両)や[[工場]]での構内専用車など、クローズドコース専用車となる場合がある。
==== 廃車の原因 ====
[[File:Crashcorolla.jpg|thumb
[[
▲[[Image:Xd nosecut.jpg|right|200px|thumb|輸出用カットボディ。手前から<br>XD[[ヒュンダイ・エラントラ|エラントラ]]前期<br>AE100G[[トヨタ・カローラフィールダー|カローラツーリングワゴン]]<br>E24[[日産・キャラバン|キャラバン]]]]
ある[[自動車]]が廃車となる理由には、大きく分けて次の3種類がある。
# 老朽化や経年による'''経年廃車'''
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自動車は、整備や手入れを多額の費用や時間をかけて行えば、30 - 40年あるいはそれ以上の期間使用することも可能である。かつて日本では「'''10年・10万kmは寿命'''」の標語で、その目標に達すると廃車にしてしまうことが多かった。現在では異なり、車両の寿命は延びつつある。[[舗装|舗装道路]]の比率が高まったこと、[[鋼板]]の防錆性能の向上などによる。
長期間使用される例としては、[[車庫]]や[[ガレージ]]等に保管していた車をそのまま使用する、[[旧車]]などで車を[[レストア]]させて使用するという例もある。しかし、これらは非常に稀であり、大抵の自動車は遅くとも[[普通車]]では20 - 30年(ただし[[軽自動車]]、および[[リッターカー|排気量1,000cc未満の小型車]]などでは性能や大きさの問題から15年程度)、早くて10年前後で役目を終えて、所有者は次の車に乗り換える。しかし、近年自動車のモデルチェンジが従来の4年単位から約5 - 7年単位と長くなり、10年以内に新型車へと買い換える所有者も増えている(その場合は廃車とならずに[[中古車]]として市場に流通する場合もある)。なお車両の平均使用年数(初回登録から廃車まで)は稀に若干の減少があるものの、全体的に見ると乗用車・貨物車・乗合車ともに増加の一途をたどる傾向にある
ただし、長期間使用し続けているものの、経済的な面から廃車にする場合もあり、次のような事例が考えられる。
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** 例1 : 輸入車の場合、日本販売法人や輸入業者の撤退・変更などにより、たとえ本国(あるいは現在販売が継続されている国/地域)では修理に必要な部品が簡単に入手できても、日本では入手できず修理を断念する場合がある。
** 例2 : [[フロン類|特定フロンガス]]を使用するエアコンが装備されている車両の場合、ガスの供給がほぼ絶たれているため修理が困難である。
** 例3 : 国産車においても、製造メーカーの部門撤退やサプライヤー等の倒産などによってメーカーからの部品供給が途絶する場合は多い。
*
** 例4 : 特殊な事例としては、部品取りの確保を目的として廃車にするケースもある。<br />意図的に抹消登録を行っているかどうかは不明だが、特定の車種を多く擁する場合([[タクシー]]会社など)だと、耐用年数やダメージなどの関係で本来なら廃車にされる車両を部品取りとしてキープしている場合もある。意図的に抹消している一例としては、[[自衛隊]]においても[[73式小型トラック]](旧型)を[[ニコイチ]]目的で'''廃車'''にしているというものがある。中には新型(通称 : [[三菱・パジェロ|パジェロ]])では対応できない分野もあるという事情もあり、部品取りの確保を目的として耐用年数が規定に達した車両は走行可能な状態であっても'''廃車'''として市販型[[三菱・ジープ]]の生産終了により起こりうるメンテナンスパーツの枯渇に備えているのである。▼
*: 近年では[[アメリカ]]に輸出販売されていた車種を中心に'''リプロダクションパーツ'''と呼ばれる純正互換部品を個人輸入して修理を行う事例もあるが、電子制御式[[燃料噴射装置]]や[[点火装置]]などは[[ブラックボックス]]化されている場合も多く、この手の基盤型電子部品が入手できずに修理を断念する場合も見られる。また、国産車の中でも国内専売グレードに使用された特殊な部品は海外からの部品入手と言った手段が原則として採れない場合も多い。特にこの傾向は事実上日本専売車種である[[軽自動車]]で顕著であり、[[ショックアブソーバー]]や油圧ブレーキのゴムシール類などの走行上重要な保安部品が普通車に比べて早期に枯渇する傾向が強い。
** 例4 : 特殊な事例としては、部品取りの確保を目的として廃車にするケースもある。
▲*
* '''経済的理由(修理することがソロバンに合わない)。'''
** 例1 : 修理や部品の購入は可能であっても部品代や(工賃等の諸経費を加味した)修理代が同型(または同等以上の性能を持つ)良品個体の中古車相場を上回ってしまう。
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** [[スクラップインセンティブ (自動車)|スクラップインセンティブ]]により、中古車として流通せずに廃車になる。
* '''車両の技術的変遷により、整備環境が喪失した。'''
** たとえば燃料供給装置を例に取ると、[[燃料噴射装置|インジェクション]]車が一般化した結果[[キャブレター]]車を整備できるメカニックが引退していなくなったために乗り換えを決断したオーナーの例がある
==== 廃車業者とのトラブル ====
* 廃車した自動車は必ず[[解体]](スクラップ)されるわけではなく、
* 無料の一括査定サイトを利用
* 廃車手続きが完了すると、[[自動車税]]、[[自動車重量税]]、[[自動車損害賠償責任保
== 廃車趣味 ==▼
[[自動車趣味]]([[バスファン]]を含む)のひとつとして、[[不法投棄]]された車両や長年放置された車両を探索し、ウォッチングと[[撮影]]をする[[ジャンル]]が存在する。[[1950年代
▲廃車は必ず解体(スクラップ)されるわけではなく、まだ乗れると判断されたものは日本国内に中古車として転売、あるいは海外へ輸出されるケースもある。(一時抹消登録)。一時抹消登録でも廃車にはなるが、イメージとして「廃車=解体(永久抹消登録)」が強いため、業者と売却者との認識の違いからトラブルに発展することがある。<ref>[https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190129-00010001-kurumans-bus_all]クルマを処分したつもりが店頭で売られてた… 廃車手続=スクラップは誤った認識? |Yahoo!ニュース</ref>
[[芸文社]]の[[自動車雑誌]]『[[ノスタルジックヒーロー]]』が、こうした趣味の対象としての放置車両を「草むらのヒーロー」というコーナーで紹介したことから、自動車愛好家の間でブームとなり、[[略称]]「草ヒロ」と呼ばれるようになった。その後は専門の雑誌や書籍が刊行され、愛好家による個人サイトなども多数制作されるようになった。
▲無料の一括査定サイトを利用すると、複数の業者から一斉に電話がかかってくるケースがある。上手に利用をすれば、時間をかけずに複数の業者からの見積もり金額を知れるなどの利点があるが、強引なセールスに巻き込まれる恐れもある。一括査定サイトに、個人情報を書き込むことは、その後に複数業者から営業電話があることを認識した上で申し込みをするのが良い。<ref>[http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20120315_3.pdf]増加する自動車の売却トラブル―震災後の自動車不足を背景に、強引な買い取りや解約トラブルが|独立行政法人国民生活センタ</ref>
▲廃車手続きが完了すると、自動車税、自動車重量税、自賠責保健の還付金が返ってくる。自動車税は翌月から次の3月までの税金が返還。ただし、軽自動車には自動車税の還付はない。自動車重量税と自賠責保険は、有効期間が1ヶ月以上残っていれば残金が返還される。しかし、買取業者には還付金を知らせる義務がないため、売却者に知らせないケースも多い。その為、還付金の扱い方については事前確認をしておく必要がある。
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== ヨーロッパにおける廃車の手続 ==▼
ドイツ、フランス、イタリア、イギリス、オーストリア、スイスではBMW、ルノー、フィアット、ローバーなどが共同で廃車の持ち込みを受け入れている<ref>広田民郎『21世紀クルマのリサイクルのすべて』リサイクル文化社、2000年、45頁</ref>。▼
[[File:Haisha-Bus.jpg|thumb|right|バスの廃車体<br />[[JR四国バス]]の車両]]
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1989年、アメリカのデトロイトで開催されたモーターショーでBMWのエバーハート・フォン・クーンハイム社長がBMWは自社の自動車のリサイクルに責任を持つと表明<ref name="recycle46">広田民郎『21世紀クルマのリサイクルのすべて』リサイクル文化社、2000年、46頁</ref>。BMWは自動車のリサイクル技術の研究のため1990年6月にドイツのランツフート工場に自動車解体試験施設を開設した<ref name="recycle46" />。BMWは1991年にドイツ国内において自動車メーカーとしては世界初となる自社製自動車のすべての引き取りの受入れとリサイクルを開始した<ref name="recycle46" />。▼
▲[[ヨーロッパ]]では、ドイツ、フランス、イタリア、イギリス、オーストリア、スイスではBMW、ルノー、フィアット、ローバーなどが共同で廃車の持ち込みを受け入れている<ref>広田民郎『21世紀クルマのリサイクルのすべて』リサイクル文化社、2000年、45頁</ref>。
▲1989年、[[アメリカ]]の[[デトロイト]]で開催された[[モーターショー]]で、BMWのエバーハート・フォン・クーンハイム社長が「BMWは自社の自動車
▲== 廃車趣味 ==
▲[[1950年代|1950]] - [[1970年代|70年代]]の車両([[旧車]])が主で、[[レーシングカー]]・[[乗用車]]・[[商用車]]([[ライトバン|バン]]、[[貨物自動車|トラック]]、[[日本のバス車両|バス]])・[[特種用途自動車|特殊車両]]等、その対象は多岐に及ぶ。
▲専門の雑誌やサイトも多数存在し、探索者の多くは[[廃墟]]探訪と同様に、現代文明に伴う滅びの[[美学]]や、[[黄昏]]([[トワイライト]])の風景を味わうことを目的とするが、さらに、自動車[[設計]]の進化や生産技術やの変化、また、[[インダストリアルデザイン|工業デザイン]]や[[機械材料|素材]]の変遷などを、実物を通して学ぼうとする車好きも存在する。
== 脚注 ==
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== 関連項目 ==
* [[中古車]]▼
* [[部品取り]]、[[ジャンク品]]
* [[解体屋]]
* [[
* [[ノスタルジックヒーロー]]
▲* [[中古車]]
* 廃車に関連する法律・指令等
** [[道路運送車両法]]
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