「ランゲルハンス細胞」の版間の差分

削除された内容 追加された内容
m編集の要約なし
m 引用文献の追記
10行目:
 
== ランゲルハンス細胞とアトピー性皮膚炎 ==
ランゲルハンス細胞と[[アトピー性皮膚炎]]との関係について、近年様々な研究報告がなされている。ランゲルハンス細胞は、IgE受容体をもっておりIgE抗体を介してアレルゲンを捕捉しアレルギー反応を加速する。I型アレルギーのみならず<ref name=CA>[ランゲルハンス細胞による抗原提示により[[T細胞]]が反応し、抗原の侵入から数日を経て発症する。]</ref>、IV型(遅延型)アレルギー反応にも重要な働きを演じていることが判明している。また、近年注目されるようになった病態論として表皮バリア破綻説、即ちバリア機能の欠陥という皮膚の生理学的異常の分子レベルの解明が進んでいる。
 
新しい発見として2005年、ランゲルハンス細胞は病原体の侵入があると免疫系細胞に警戒態勢をとらせると考えられてきたが、それにとどまらず感染や炎症に対する皮膚の反応を弱めていることを<ref name=DB>[http://opa.yale.edu/news/article.aspx?id=1868 Langerhans Cells Regulate Immune Reactions in the Skin(ランゲルハンス細胞は免疫反応を調節する)]</ref>、エール大学医学部の研究者たちが明らかにした。
 
2009年 慶應義塾大学医学部久保亮治特別研究講師、天谷雅行教授らの研究グループは、ランゲルハンス細胞の細胞突起が、表皮に形成される皮膚バリアを突き抜けて外界の抗原、異物を取り込むことを発見した<ref name=EC>[https://doi.org/10.1084/jem.20091527 External antigen uptake by Langerhans cells with reorganization of epidermal tight junction barriers]</ref>。アトピー性皮膚炎の病態の理解・治療法の開発に結びつく可能性が期待されるが、この領域でのランゲルハンス細胞の役割はまだ十分には解明されていない。
 
== ランゲルハンス細胞 解明の年譜 ==
*1868年、ドイツの解剖学者 パウル・ランゲルハンス(Paul Langerhans)により、表皮でランゲルハンス細胞が発見された<ref name=D>[https://doi.org/10.1007/BF01959006 Ueber die Nerven der menschlichen Haut]</ref>
*1961年、バーベック博士は(M. S. Birbeck)等が、ランゲルハンス細胞にラケット状の細胞内小器官を見出した<ref name=E>[https://doi.org/10.1038/jid.1961.80 An Electron Microscope Study of Basal Melanocytes and High-Level Clear Cells (Langerhans Cells) in Vitiligo]</ref>
*1970年、フェルトマン(J. E. Veldman)がオランダのフローニンゲン大学で発表した博士論文<ref name=F>Histophysiology and electron
*microscopy of the inimvme response, Veldman JE., Groningen, 1970年、ワルドマン(Waldmann)が</ref>でランゲルハンス細胞がリンパ節でT細胞に抗原提示をする相互連結性嵌入細胞と同定した。
*1973年、ロックフェラー大学の[[ラルフ・スタインマン]]がマウスの脾臓で同じ細胞を再発見した。突起のある腕をもつ外観から「樹状細胞」と改めて命名した。
*2005年、[[イェール大学]]医学部が、ランゲルハンス細胞は免疫反応を調節することを発表。