「朝鮮民主主義人民共和国」の版間の差分

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== 概要 ==
[[File:Chaoxianren.JPG|thumb|260px|2010年8月30日[[平壌]][[万寿台]]の[[金日成]]像と北朝鮮人]]
北朝鮮の政治は朝鮮労働党を[[一党独裁制|執権政党]]とし、他に衛星政党みが存在する[[ヘゲモニー政党制]]であり、朝鮮労働党の[[朝鮮労働党総書記|最高指導者]]の地位は[[金日成]]、[[金正日]]、金正恩と親から子への[[世襲]]が続いている。[[冷戦]]期に[[中ソ対立]]のはざまで[[非同盟運動]]を推進し、「自主、自立、自衛」を掲げて[[主体思想]]を唱道<ref name="britanica">{{Cite web|title=朝鮮民主主義人民共和国とは|url=https://kotobank.jp/word/%E6%9C%9D%E9%AE%AE%E6%B0%91%E4%B8%BB%E4%B8%BB%E7%BE%A9%E4%BA%BA%E6%B0%91%E5%85%B1%E5%92%8C%E5%9B%BD-98052|website=コトバンク|accessdate=2021-01-05|language=ja|first=ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典,デジタル大辞泉,百科事典マイペディア,世界大百科事典 第2版,精選版 日本国語大辞典,旺文社世界史事典 三訂版,旺文社日本史事典|last=三訂版,日本大百科全書(ニッポニカ)}}</ref><ref name="sankei">{{Cite web|title=【海峡を越えて 「朝のくに」ものがたり】(40)引き金となった「決起未遂」 黄長●亡命事件の真相|url=https://www.sankei.com/life/news/181013/lif1810130024-n1.html|website=産経ニュース|date=2018-10-13|accessdate=2021-01-05|language=ja|first=SANKEI DIGITAL|last=INC}}</ref>。以来「[[マルクス・レーニン主義]]を創造的に朝鮮に適用した」とする主体思想を党と国の「指導的指針」と定め、その中で「主体的な革命観を立てるためには、党と首領の指導が必要」として首領の指導への忠実性を人民に要求し<ref>[http://echo-lab.ddo.jp/Libraries/%E4%B8%AD%E5%A4%AE%E5%AD%A6%E8%A1%93%E7%A0%94%E7%A9%B6%E6%89%80/%E7%B4%80%E8%A6%8132(2003)/%E4%B8%AD%E5%A4%AE%E5%AD%A6%E8%A1%93%E7%A0%94%E7%A9%B6%E6%89%80%E7%B4%80%E8%A6%81%E3%80%80%E7%AC%AC32%E5%8F%B7%20119%E6%9D%8E%E3%80%80%E9%8E%94%E5%93%B2%E3%80%8C%E5%8C%97%E6%9C%9D%E9%AE%AE%E4%B8%BB%E4%BD%93%E6%80%9D%E6%83%B3%E3%81%AE%E5%BD%A2%E6%88%90%E3%81%A8%E7%89%B9%E5%BE%B4%E3%80%8D.pdf 李鎔哲『北朝鮮主体思想の形成と特徴』(中央学術研究所紀要第32号)]</ref>、極端な[[北朝鮮の個人崇拝|個人崇拝]]と[[独裁政治]]が現在に至るまで続いている。
 
北朝鮮の政治体制について、[[百科事典マイペディア]]は「『共和国』とは名ばかりの3代にわたる世襲独裁体制」と評価する<ref name="britanica"/>。[[日本]]の[[防衛省]]の[[シンクタンク]]、[[防衛研究所]]は[[2017年]]に「独裁化と[[粛清]]を通じた[[恐怖政治]]が続いている」と分析している<ref>{{Cite web|title=北朝鮮「独裁化と粛清を通じた恐怖政治が続いている」 中国「尖閣支配の取り組みは実行段階」 防衛研が「東アジア戦略概観」で警鐘|url=https://www.sankei.com/politics/news/170414/plt1704140026-n1.html|website=産経ニュース|date=2017-04-14|accessdate=2021-01-05|language=ja|first=SANKEI DIGITAL|last=INC}}</ref>。[[ヒューマン・ライツ・ウォッチ]]は「世界で最も抑圧的な国の1つ」「あらゆる基本的な自由を大幅に削減し、政治的反対、独立した[[メディア]]、[[市民社会]]、[[労働組合]]を禁止している」「秘密裏に[[強制収容所]]を運営し、そこでは政府への反対者と見なされた人々が拷問、飢餓、強制労働を強いられている」と分析している<ref>{{Cite web|title=北朝鮮 {{!}} Country Page {{!}} World {{!}} Human Rights Watch|url=https://www.hrw.org/ja/asia/north-korea|website=www.hrw.org|accessdate=2021-01-05}}</ref>。[[エコノミスト]]誌傘下の研究所[[エコノミスト・インテリジェンス・ユニット]]による[[民主主義指数]]は世界最下位(2019年度)<ref>{{Cite web|title=EIU Democracy Index 2019 - World Democracy Report|url=https://www.eiu.com/topic/democracy-index|website=www.eiu.com|accessdate=2021-01-05}}</ref>、[[国境なき記者団]]による[[世界報道自由度ランキング]]も世界最下位を記録している(2020年度)<ref>{{Cite web|title=報道自由度、日本66位 国境なき記者団、1つ上昇|url=https://www.nikkei.com/article/DGXMZO58344020S0A420C2000000|website=日本経済新聞|date=2020-04-22|accessdate=2021-01-05|language=ja}}</ref><ref>{{Cite web|title=報道自由度 韓国はアジア最上位の42位=日本66位|url=https://jp.yna.co.kr/view/AJP20200421002400882|website=聯合ニュース|date=2020-04-21|accessdate=2021-01-05|language=ja|last=사이토토모코}}</ref>。
経済面では一人当たりの[[国内総生産|GDP]]において、北朝鮮と韓国は[[1970年代]]半ばまでほぼ同水準で、稀に北が上回ることもあったが、[[1970年代]]後半に非同盟運動の分裂と対外債務の膨張で、[[朝鮮民主主義人民共和国の経済史|北朝鮮の経済]]の停滞が目立つようになり、[[1990年代|90年代]]以降はさらに低落<ref name="britanica"/><ref>{{Cite web|title=図録▽韓国・北朝鮮の1人当たりGDPの長期推移|url=https://honkawa2.sakura.ne.jp/8903.html|website=honkawa2.sakura.ne.jp|accessdate=2021-01-05}}</ref>。この間、韓国側が急速な経済成長を遂げたため、南北の所得格差が大きく開いた。[[2016年]]時において、南北間には20倍以上の所得格差があると見られる<ref>{{Cite web|title=北朝鮮の国民所得、過去5年で最高の伸び|url=https://www.afpbb.com/articles/-/3155778|website=www.afpbb.com|accessdate=2021-01-05|language=ja}}</ref>。
 
人口は2015年の国連経済社会局人口部によれば約2515万人であり、[[朝鮮民族]]のみで構成される<ref name=":0"/>。公用語は[[朝鮮語]]。[[韓国語]]とは同じ言語だが、長引く分断で異なる点も少なくない<ref>[https://kotobank.jp/word/%E6%9C%9D%E9%AE%AE%E8%AA%9E-98006#E6.97.A5.E6.9C.AC.E5.A4.A7.E7.99.BE.E7.A7.91.E5.85.A8.E6.9B.B8.28.E3.83.8B.E3.83.83.E3.83.9D.E3.83.8B.E3.82.AB.29 日本大百科全書(ニッポニカ) 朝鮮語]</ref>。宗教は住民の大半が[[無宗教]]者だが、[[キリスト教]]や[[仏教]]、[[天道教]]などが少数いる<ref name="britanica"/>。信仰の自由が憲法に明記されているものの、実際あらゆる信仰、布教活動を政治犯罪として弾圧しており、国内に存在するキリスト教会や仏教寺院は、労働党によって管理されている<ref>[https://mainichi.jp/articles/20181023/ddl/k27/040/338000c 毎日新聞2018年10月23日 漆黒を照らす/68 北朝鮮に招待されたローマ法王 宗教弾圧の現実知って /大阪]</ref>。
 
地理としては、北部は[[豆満江]]を挟んで中華人民共和国及び[[ロシア連邦]]と、[[鴨緑江]]を挟んで中華人民共和国と接し、[[咸鏡山脈]]、[[白頭大幹|白頭山脈]]、[[蓋馬高原]]など北東部が高い。[[白頭山]]一帯は金日成の「[[抗日パルチザン|抗日革命運動]]」の「聖地」にされており、その戦跡が多い。[[狼林山脈]]や[[太白山脈]]の支脈が南西方向に並走して西海岸に至る。西海岸に通じる河川には[[大同江]]、[[清川江]]を含み、流域には[[準平原]]と[[沖積平野]]が広がっている。東海岸側の河川は短くて平野も規模が小さい。南は[[東朝鮮湾]]の湾奥に達し、その南にある[[太白山脈]]も一部が領域下にある<ref name="britanica"/>。南側は軍事境界線(38度線)を挟んで韓国に接しているが、北朝鮮の[[朝鮮民主主義人民共和国社会主義憲法|憲法]]上は、韓国の統治領域を含めた朝鮮半島全体を[[領域 (国家)|領土]]と規定している。気候は寒暑の差が大きく、月平均気温で南部[[平壌]]は1月には-8℃、7月には24℃。北部[[中江]]で1月には-21℃、7月には22℃になる。年降水量は800~1,500ミリメートルであり、うち6割は6月から8月にかけて降る<ref name="britanica"/>。
== 国名 ==
=== 正式国名 ===
朝鮮語による公式な名称は、'''{{lang|ko|조선민주주의인민공화국}}'''({{Audio|Ko-조선민주주의인민공화국.oga|聞く|help=no}} チョソン ミンジュジュウィ インミン コンファグッ)。[[漢字]]表記は「{{lang|ko|朝鮮民主主義人民共和國}}」だが、1948年9月9日の建国から漢字を廃止している同国では、漢字表記はあくまで[[外国語]]の扱いである。そのため地名や人名の漢字表記も外国語扱いであり、公式の名簿での漢字は存在しない。
 
「[[朝鮮]]」(チョソン)は古代においては現在の[[遼東半島]]付近を指す地名であったが、[[衛氏朝鮮]]の成立以降は朝鮮半島の一部を指す言葉にもなった。[[紀元前108年]]に[[前漢]]が衛氏朝鮮を滅ぼした後に設置された[[楽浪郡]]の都(現在の平壌)は[[朝鮮県]]と呼ばれている。その後長らく「朝鮮」という言葉は用いられなかったが、1392年に成立した[[李氏朝鮮]]が国号として用いて以降は半島全体の地域的名称や、そこを統治する国家を示す言葉として用いられるようになった。
「朝鮮民主主義人民共和国」を[[国家の承認|国家承認]]していない[[日本]]の[[行政機関]]([[外務省]]等)や[[マスメディア]]は同国に対し、[[実効支配]]地域の名称を用いて'''北朝鮮'''(きたちょうせん)と呼んでいる。また、[[NHKワールド・ラジオ日本]]における朝鮮語放送においても、同様に「北朝鮮」({{llang|ko|북조선}}、プクチョソン)という表現を使用している<ref>{{Cite web|title=최신뉴스 {{!}} NHK WORLD-JAPAN News|url=https://www3.nhk.or.jp/nhkworld/ko/news/|website=NHK WORLD|accessdate=2021-01-05|language=ko}}</ref>。
 
これに対し、北朝鮮政府や在日本公民団体の[[在日本朝鮮人総聯合会]](朝鮮総聯)は、自らを朝鮮の正統国家と主張する立場から、「{{lang|en|North Korea}}」または「北朝鮮」と呼ばれることを嫌い、「'''朝鮮'''」表記を主張。[[報道機関]]に対して抗議や[[デモ活動]]を繰り返した。しかし、日本の報道機関は受け入れず、次に「'''共和国'''」の呼称を提案した。これも日本側には受け入れられず、最終的に、記事の最初に正式国名を一度だけ併称することを条件に、「北朝鮮」の呼称を受け入れるという妥協が成立した<ref>[[#重村1988|重村(1988)]]、83頁。</ref><ref group="*">共和国政府や朝鮮総聯からは、当初の妥協案の「'''共和国'''({{llang|ko|공화국}})」の呼称のほか、新たに「朝鮮」の朝鮮語読みである「'''チョソン'''、{{llang|ko|조선}}」を呼称とする妥協案を掲げ、これらを推奨。</ref>。
 
このような動きを受け、[[1972年札幌オリンピック]]以降、長らく日本のマスメディア(特に[[テレビ]]は[[報道]]時に正式名称が長いため最初は正式名称と略称を併称し、2度目以降は「北朝鮮」のみを用いるという呼称方法を採用。冒頭での呼称は、テレビ・[[ラジオ]]などアナウンスの場合は「'''北朝鮮、朝鮮民主主義人民共和国'''」という発声であり<ref>{{Cite web|title=ニュースベラベラ|url=https://www.tv-asahi.co.jp/ss/47/news-bera/top.html|website=[[SmaSTATION!!]]([[テレビ朝日]])|date=2002-10-12|accessdate=2021-03-09}}</ref>、[[新聞]]など文字の場合は「'''朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)'''」という記述であった。また新聞では、この地域の在留者について「北朝鮮人」ではなく「朝鮮人」と一般的に記述されている
 
[[2000年代]]に入り「[[北朝鮮当局によって拉致された被害者等の支援に関する法律]]」(拉致被害者支援法)が制定後は、マスメディアも冒頭から単に「北朝鮮」と呼称している<ref>{{Cite news |url=https://www.koreaworldtimes.com/topics/news/4324/ |title=朝鮮民主主義人民共和国と呼んでいた日本のメディアはいつから北朝鮮になったのか? |publisher=コリアワールドタイムズ |date=2018-07-15 |accessdate=2020-05-08}}</ref>。背景には、2002年(平成14年)9月17日に行われた小泉純一郎[[内閣総理大臣|首相]](当時)の平壌訪問及び[[日朝首脳会談]]、及びそれを契機とする[[北朝鮮による日本人拉致問題|日本人拉致事件]]に関する世論の関心、北朝鮮当局に対する反感の高まりがある。遅くとも、2003年以降は『北朝鮮、朝鮮民主主義人民共和国』と呼称するマスメディアは無くなった。文脈が読み取れる場合には、さらに省略して「'''北'''」と表現する場合もある<ref>{{Cite web|title=二階幹事長「もっと真面目にやれ」 北ミサイル会合で少ない出席議員に怒り|url=https://www.sankei.com/politics/news/191002/plt1910020025-n1.html|website=産経ニュース|date=2019-10-02|accessdate=2021-01-05|language=ja|first=SANKEI DIGITAL|last=INC}}</ref><ref>{{Cite web|title=北のミサイル施設、クレーンは日本製か 製造元「遺憾」:朝日新聞デジタル|url=https://www.asahi.com/articles/ASKC8517PKC8ULFA01B.html|website=朝日新聞デジタル|accessdate=2021-01-05|language=ja}}</ref>。[[日本サッカー協会]]は、主に「朝鮮民主主義人民共和国」の表記を使っている<ref>[http://samuraiblue.jp/newscenter/press_release/news_000381.html 2014FIFAワールドカップブラジル アジア3次予選 朝鮮民主主義人民共和国代表 対 SAMURAI BLUE(日本代表) (11/15@朝鮮民主主義人民共和国/平壌) JFAオフィシャルサポーターツアー 販売概要] - 日本サッカー協会 2011年11月1日</ref>。