「図書目録」の版間の差分

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== 歴史 ==
[[ファイル:Schlagwortkatalog.jpg|thumb|[[グラーツ大学図書館]]のカード目録]]西洋における図書目録の起源は[[写本]]の一覧表であり、版型順に並べたり、著者名を大まかなアルファベット順に並べたものだった。[[印刷]]された目録を「辞書体目録」(dictionary catalog) などと呼び、その図書館外の学者らは目録を見て内容を想像した。新たな書籍の情報を追加できるように空白ページを挟んだものや、書類ばさみ方式で紙を新たに挟めるようにしたものなどがあった。また、ブリキ缶に紙を綴じずに入れる場合もあった。カード目録が登場したのは[[19世紀]]であり、これによって柔軟性が増し、20世紀末にはOPACが開発された(後述)。西洋の図書目録の初期の歴史については、Strout(1956年)<ref>Strout, R.F. (1956), "The development of the catalog and cataloging rules", Library Quarterly, Vol.26 No.4, pp.254–75.</ref>に詳しいをはじめ、多くの研究がある{{Sfn|澁川|1985|p=34-46}}
 
*[[紀元前3世紀]]、[[アレクサンドリア図書館]]の[[カリマコス]]によって『{{仮リンク|ピナケス|en|Pinakes}}』が作られた<ref>{{コトバンク|ピナケス}}</ref>。これは現存せず、『[[スーダ辞典|スーダ]]』などに断片的な情報が伝わるのみである{{Sfn|澁川|1985|p=34-46}}。
*[[9世紀]]ごろ、[[イスラム圏]]の[[知恵の館]]などの図書館で図書目録が生まれ、[[ジャンル]]やカテゴリで書籍を分類していた<ref>{{citation|last=Micheau|first=Francoise|contribution=The Scientific Institutions in the Medieval Near East|pages=988–991}} in {{Harv|Morelon|Rashed|1996|pp=985-1007}}</ref>。
*[[9世紀]]、[[ドイツ]]の[[ロルシュ修道院]]で大規模な図書目録が作られた{{Sfn|澁川|1985|p=68}}。
*[[9世紀]]ごろ、[[イスラム圏]]の[[知恵の館]]などの図書館で図書目録が生まれ発達し、[[ジャンル]]やカテゴリで書籍を分類していた<ref>{{citation|last=Micheau|first=Francoise|contribution=The Scientific Institutions in the Medieval Near East|pages=988–991}} in {{Harv|Morelon|Rashed|1996|pp=985-1007}}</ref>。
*[[10世紀]]、[[バグダード]]の書籍商[[イブン・ナディーム]]によって『[[フィフリスト]]』が作られた。
* 1595年、[[ライデン大学]]の図書館({{仮リンク|ライデン大学図書館|en|Leiden University Library|label=}})が、世界で初めて印刷物としての図書館目録 ''Nomenclator'' を発行した<ref>{{Cite journal|和書|author=折田洋晴|year=2013|title=古いヨーロッパ図書館学文献|url=http://id.nii.ac.jp/1062/00010436/|journal=St. Paul's librarian|volume=28|page=40}}</ref>。
* 1674年、[[オックスフォード大学]]の図書館([[ボドリアン図書館]]の[[トーマス・ハイド]]の図書館目録。
 
=== 東アジア ===
{{See also|目録学|目録#歴史}}
中国では、[[目録学]]と呼ばれる学問が形成されるほどの伝統があり、その始まりは、[[漢]]の[[劉向]]・[[劉歆]]父子による[[朝廷]]の蔵書目録『[[七略]]』に遡る。その『七略』を受け継いで、後世の[[正史]]の多くには、その時代の図書目録が収録されている(『[[漢書]]』[[芸文志]]、『[[隋書]]』[[経籍志]]など)。[[晋 (王朝)|晋]]の[[荀勗]]が作った『中経新簿』では[[四部分類法]]が採用され、以降長く中国における図書分類法の基本となった。四部分類法によって官民ともに多くの図書目録が作成され、なかでも、[[清]]の官撰解題目録である『[[四庫全書総目提要|欽定四庫全書総目提要]]』は、200巻に及ぶ大規模な図書目録となった<ref name="hukui" />。
 
日本では、仏教書の目録が最初に作成されたと推定され、[[最澄]]・[[空海]]ら[[唐]]に留学した8名の僧侶が日本に持ち帰った経典や宝物などの目録は「入唐八家請来目録」と称せられた。続いて一般書の目録も作成され、[[漢籍]]の目録としては[[藤原佐世]]が作成したとされる『[[日本国見在書目録]]』が、一方で、国書(日本の書籍)の目録としては[[13世紀]]末に作成されたとされる編者不明の『本朝書籍目録』が、現存最古の目録とされている。[[江戸時代]]になると、書籍そのものの[[刊行]]が盛んになるとともに、刊行された書籍に関する目録に対する需要が増えて、多数の書籍目録が刊行された。ただ、国書の目録に関しては[[明治]]に至るまで標準的な図書分類法が完成しなかったため、各目録とも独自の主題に基づいた分類法を採用した<ref name="hukui" /><ref name="sibata" />。統一した図書分類法作成の動きが登場するのは近代に入ってからとなる。
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==参考文献==
* {{Citation|和書|title=目録の歴史|year=1985|last=澁川|first=雅俊|publisher=勁草書房〈図書館・情報学シリーズ〉|isbn=978-4-326-04808-3}}
* Chan, Lois Mai. ''Cataloging and Classification: An Introduction''. New York: McGraw-Hill, 1994.
* {{Citation |last1=Morelon |first1=Régis |last2=Rashed |first2=Roshdi |year=1996 |title=Encyclopedia of the History of Arabic Science |volume=3 |publisher=Routledge |isbn=0415124107 }}
* Svenonius, Elaine. ''The Intellectual Foundation of Information Organization''. Cambridge, Mass: MIT Press, 2000.