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== 漢訳仏教圏における慈悲の思想的発展 ==
漢訳大乗経典を用いる仏教では、慈を含む[[四無量]]を三種に説く。「衆生縁」「法縁」「無縁」の三縁慈悲である。いわば慈悲心の生起する理由とその在りかたをいう。
# '''衆生縁'''('''有情縁'''{{efn2|「論曰。慈有三種。一有情縁。二者法縁。三者無縁。」(『仏地経論』、大正新脩大蔵経、釈経論部(下)第26巻、p.314)}})とは、[[衆生]](しゅじょう、jantu,sattva)を対象とする慈悲心である{{refnest|name=ニッポニカ_慈悲|[[藤田宏達]]、[https://kotobank.jp/word/%E6%85%88%E6%82%B2-74800#E6.97.A5.E6.9C.AC.E5.A4.A7.E7.99.BE.E7.A7.91.E5.85.A8.E6.9B.B8.28.E3.83.8B.E3.83.83.E3.83.9D.E3.83.8B.E3.82.AB.29 「慈悲」 - 日本大百科全書(ニッポニカ)]、小学館。}}。'''有情縁'''とも言う{{efn2|「論曰。慈有三種。一有情縁。二者法縁。三者無縁。」(『仏地経論』、大正新脩大蔵経、釈経論部(下)第26巻、p.314)}}。
# '''法縁'''(ほうえん)とは、すべてのものごと([[法 (仏教)|法]])は実体がなく[[空 (仏教)|空]]であると知って、執著を断じてから起こす慈悲心{{refnest|name=ニッポニカ_慈悲}}。
# '''無縁'''とは、何者をも対象とせずに起こす慈悲心{{refnest|name=ニッポニカ_慈悲}}。それは仏にしかない心であるという{{refnest|name=ニッポニカ_慈悲}}。
この三縁の慈悲とは、第一は一般衆生の慈悲、あわれみの心をいい、第二は聖人、つまり[[阿羅漢]]や[[菩薩]]の位にあるものの起こす心、第三は[[仏]]の哀愍の心であると言える。