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=== 食材 ===
[[File:pcs34560_IMG2017.JPG|Right|thumb|手前は[[魚の開き|開き]]。奥左はフィレの[[燻製]]。右は[[マリネ]]漬け。]]
様々な[[調]]法や[[食品|加工品]]([[干物]]<ref>「静岡・丸栄水産、養殖ニジマスで干物 サーモンピンクの身、淡い塩味」『[[日経MJ]]』2021年5月24日コンビニ・フード面</ref>や[[燻製]]など)で食される。ニジマスは飼育・繁殖が容易であるため、[[タイセイヨウサケ]](アトランティックサーモン)と並んで世界的に最も一般的なサケ科の食材として知られており、食用に品種改良されたものが海洋と淡水の両方で大規模に生産されている。日本でも[[ギンザケ]](銀鮭)と並んで最も一般的なサケ科の食材として大規模に生産されている。ニジマスには淡水から海面に移して養殖する降海型(スチールヘッド、大型なので[[刺身]]や[[燻製|スモーク]]に適する)と、一生淡水で養殖する陸封型(レインボートラウト、小型なので[[塩焼き]]などに適する)があり、大きさが違うので調理法も違う。日本で養殖されているものはほとんど陸封型(小型)であるが、海面養殖を行った方が大きく美味く成長するので、海面養殖による[[地域ブランド]]化(「○○サーモン」)の試みが各地で行われている。
 
陸封型のニジマスは「'''レインボートラウト'''」と呼ばれる。降海型のスチールヘッドと比べて小型であり、100 - 140グラム程(20 - 23cm23 cm程度)のサイズである。白身で塩焼きや[[ムニエル]]、[[甘露煮]]として食べる。生産量としては降海型に及ばないものの、こちらも淡水魚としては大規模に生産(日本では平成28年度で約50005,000トン)されており、[[ウナギ]](数字の上では日本で最も生産量の多い淡水養殖魚だが、商業的な完全養殖は実現していない)を除く淡水魚としては日本では[[アユ]](平成28年度で約52005,200トン)と並んで最も生産量の多い養殖魚となっている<ref>[http://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/kaimen_gyosei/attach/pdf/index-7.pdf 平成28年漁業・養殖業生産統計] 農林水産省</ref>。「レインボートラウト」は、これをそのまま日本語に直訳した「'''ニジマス'''」の名称で販売され、アユとともに川魚の代表とされている。
 
降海型のニジマスは「'''スチールヘッド'''(スチールヘッドトラウト)」と呼ぶ。陸封型のレインボートラウトと比べて大型になる。現在世界各地で海面養殖されているものは、大型のドナルドソン種をベースにさらに[[品種改良]]されたもので、2 - 3年で2 - 3キログラムほど、4 - 5年で10kg(110cm10 kg(110 cm - 120cm120 cm程度)を超えるまでに成長する。また[[付加価値|商品価値]]を上げるために[[カロチノイド]]の一種である赤系色素の[[アスタキサンチン]]を配合したエサを与えて着色する技術があり、薄紅色の[[サーモンピンク]]の身になる。このようなタイプのニジマスの食材としての名称を、日本語([[和製英語]])で「'''[[サーモントラウト]]'''」と呼び、刺身や[[寿司]]などの生食がメインとなる。北海道などでは[[野生]]種もしばしば漁獲され、「スチールヘッド」をそのまま日本語に直訳した「'''テツ'''」(または「テットウ」)と呼ばれる。野生個体は[[寄生虫]]がいる可能性が有るので、生食する時は十分気を付けて食べるか、冷凍して[[ルイベ]]にする。[[厚生労働省]]の指導では、-20℃20 ℃以下で24時間以上冷凍すると、[[アニサキス]]は死ぬ。
 
養殖物は[[性成熟]]しない代わりに巨大になるように[[染色体]]操作<ref>{{Cite web |author=荒井克俊 |url=https://www.jstage.jst.go.jp/article/aquaculturesci1953/45/3/45_3_411/_pdf |title=水産増養殖における染色体操作の現状 |publisher=水産増殖 45巻3号 P411-416 |website=[[J-STAGE]] |accessdate=2021-09-05}}</ref> された3倍体の個体がほとんどであり、出荷調整が出来るため、年間を通じ入手することが出来る。3倍体ではない物は秋には[[産卵]]のために脂が落ちるので、春先から夏に店頭に出回ることが多い。国産の養殖の大型ニジマスは海外産に比べて、生産量や人件費の関係で比較的高価であり、輸入物のサーモントラウトと比較すると2 - 3倍の価格であることが多いようである。飼料にもよるが、輸入物の鮭鱒に比べて脂ののりが薄く、さっぱりとして癖が無いのが特徴となる。通常の輸入鮭鱒と比べても高価な部類に入る上に、生産量が少ない為、一般的に消費者の口に入る機会は少ない。
 
マス(鱒)の卵を「'''マスコ'''(鱒子)」と呼び、ニジマスのマスコを[[卵巣]]に入ったまま([[筋子]])、又はばらしたもの([[イクラ]])を[[醤油漬け]]にして食べる。ニジマスの抱卵時期は鮭(シロザケ)の卵(鮭子、サケコ)よりも早く、7-8月くらいから採れる。ニジマスの卵はシロザケの卵よりも小粒で、黄色いが、しょうゆ漬けするとシロザケのイクラと同じ赤色になる。一般的にマスコのイクラ(マスイクラ)はサケイクラよりも小さくて安いが、静岡県の富士養鱒漁業協同組合では[[富士山]]の[[湧水]]で育てたニジマスのイクラを「'''レインボーキャビア'''」の名称でブランド化して販売している。「レッドキャビア」や「フレンチキャビア」などのブランドで販売しているところもある([[キャビア]]については当該項目参照)。一方で、釣り場で釣ったニジマスの卵から自作することで、買うと高価な美味しい筋子やイクラを大量に食べられるので、釣り人に「是非一度試して欲しい」と群馬県水産試験場でもお勧めの料理法<ref>[http://www.pref.gunma.jp/07/p15200074.html 筋子&イクラの作り方] 群馬県</ref>。染色体が3倍体の養殖物は性成熟しないので、マスコが取れない。
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==== サーモントラウト ====
[[カロチノイド]]の一種である赤系色素の[[アスタキサンチン]]と蛋白質が結合したカロテノプロテインを主として構成される外殻を持つ[[エビ]]や[[カニ]]等の[[甲殻類]]を配合した、[[魚粉]]が主体の飼料で育てたニジマスは、身が着色され、薄紅色のサーモンピンクの身になる。このようなタイプの物を、日本語で「サーモントラウト({{lang-en-jp|salmon trout}})」と呼ぶ。現在の日本のスーパーの店頭にて「サーモントラウト」「トラウトサーモン」「トラウト」等と表示される切身は、ノルウェー、チリ産の[[海面養殖]]されたニジマスである。これらの名前は商品名であり、魚種を示す名前ではない。魚種としてはニジマスのドナルドソン種、あるいはこれをベースにした交雑種などである。
 
ニジマスは日本では一応「マス」の仲間とされているが、食材としての「サーモントラウト」は主に「'''サーモン'''」「'''サケ'''(鮭)」の名称で販売されている。揚げ物・焼き物や[[お茶漬け]]などの加工物では「サケ」、寿司や刺身などの生食用では「サーモン」と呼ばれることが多い。
 
2013年(平成25年)に表面化した[[食品偽装問題]]の際に、「サケ」の名称でニジマスを販売していることが問題となったが、「サケ[[弁当]]」や「サケ茶漬け」などの形で既に定着しているため「OK」との基準が[[消費者庁]]によって示された<ref>{{Cite web |date=2016-04-01 |url=https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/guideline/pdf/140328premiums_5.pdf |format=PDF |title=メニュー・料理等の食品表示に係る景品表示法上の考え方について |publisher=消費者庁 |accessdate=2019-07-24}}</ref>。例えば寿司ネタの「サーモンにぎり」は、寄生虫の心配をせずに生食が行える養殖ニジマスの安定供給が実現されたことによって初めて生まれたため、最初から「ニジマス」だった<ref>{{Cite news |和書|title=業界「おいしい名前認めて」 サーモントラウト→ニジマスの指針案見直しへ |newspaper=[[産経新聞|産経ニュース]] |date=2014-02-21 |url=https://www.sankei.com/life/news/140221/lif1402210025-n1.html |accessdate=2019-07-24}}</ref>。現在は海外でも「salmon sushi」として人気がある。
 
=== 地域振興 ===