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'''カツラ'''(''''''{{sfn|西田尚道監修 学習研究社編|2000|p=27}}、[[学名]]:''Cercidiphyllum japonicum'')は、[[カツラ科]][[カツラ属]]の落葉高木。別名、トワダカツラ。
 
== 名称 ==
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== 形態・生態 ==
[[落葉広葉樹]]の[[高木|大高木]]で、高さはふつう20 - 25[[メートル]] (m) {{sfn|西田尚道監修 学習研究社編|2000|p=27}}、高いものは30 mほどで{{sfn|松倉一夫|2009|p=20}}、樹幹の直径は2 mほどにもなる。幹は直立し、1本立ちのものから[[株立ち]]のものもある{{sfn|西田尚道監修 学習研究社編|2000|p=27}}。寿命は長く、成長すると主幹が折れ、根元からたくさんの「ひこばえ(萌芽)」を伸ばし、株立ちするものが多い{{sfn|松倉一夫|2009|p=20}}。樹形は幹がまっすぎに立ち、整った三角形を呈する{{sfn|林将之|2008|p=43}}。[[樹皮]]は灰褐色で、はじめは滑らかであるが、生長に従い縦に浅く割れ目が入り、やや薄く剥がれる{{sfn|林将之|2008|p=43}}{{sfn|松倉一夫|2009|p=20}}{{sfn|鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文|2014|p=215}}。一年枝は濃褐色や赤褐色で無毛で、皮目が多く、短枝もよくできる{{sfn|鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文|2014|p=215}}。幼木の樹皮は赤褐色で、縦長の皮目が点在する{{sfn|鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文|2014|p=215}}。
 
花期は3 - 45月で{{sfn|西田鈴木庸夫・高橋冬・安延道監修 学習研究社編|20002014|p=27215}}、[[雌雄異株]]である{{sfn|西田尚道監修 学習研究社編|2000|p=27}}。早春のころ、[[花弁]]も[[萼]]もない独特な形状の目立たない紅色の[[花]]が開き、そのあとに黄色く色づいた[[葉]]が芽吹く{{sfn|西田尚道監修 学習研究社編|2000|p=27}}{{sfn|松倉一夫|2009|p=20}}。[[雌花]]は、細長い角のような紅紫色の[[雌蕊]]が3個から5個突き出し、[[柱頭]]は糸状で紅色{{sfn|西田尚道監修 学習研究社編|2000|p=27}}。[[雄花]]は、紅紫色の細長い雄蕊を十数本ぶら下げ、葯は紅色{{sfn|西田尚道監修 学習研究社編|2000|p=27}}。果期は10月{{sfn|西田尚道監修 学習研究社編|2000|p=27}}。[[果実]]は[[袋果]]が集まってつく{{sfn|西田尚道監修 学習研究社編|2000|p=27}}。冬の枝に果実がついていることも多く、袋果の中には翼のある[[種子]]がたくさん詰まっている{{sfn|鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文|2014|p=215}}。
 
[[葉]]は[[対生]]し、小枝の両脇に隙間なく並んでいる{{sfn|松倉一夫|2009|p=20}}。[[葉身]]は長さ4 - 10[[センチメートル]] (cm) 位のハート形の広卵形{{sfn|西田尚道監修 学習研究社編|2000|p=27}}{{sfn|松倉一夫|2009|p=20}}。若い枝ではハート形よりも細長い葉もでる{{sfn|林将之|2008|p=42}}。[[葉柄]]の付け根から7 - 9本に分かれて放射状に広がる[[葉脈]]が良く目立つ{{sfn|松倉一夫|2009|p=21}}。葉縁は波型の鋸歯がありギザギザではない{{sfn|松倉一夫|2009|p=21}}。[[葉柄]]は、細長く2 - 2.5 cm{{sfn|松倉一夫|2009|p=21}}。秋(10月上旬 - 下旬)には、黄色から褐色、時にオレンジ色に[[黄葉]]して美しい{{sfn|西田尚道監修 学習研究社編|2000|p=27}}{{sfn|松倉一夫|2009|p=20}}。側脈は葉縁までは伸びていない{{sfn|松倉一夫|2009|p=21}}。落葉して葉が乾燥すると、甘い香り(カラメルのような良いにおいに似ている)を発するが、匂いを発するのは落葉した直後だけで、都市部に植えられたカツラには匂いを発しないとこもある{{sfn|林将之|2008|p=43}}。
 
冬芽は枝に対生し、円錐状卵形で、芽鱗は2枚のうち外側の1枚が冬芽全体を覆って裏側で重なる{{sfn|鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文|2014|p=215}}。短枝に側芽がつき、短枝が発達すると側芽は内側に曲がる{{sfn|鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文|2014|p=215}}。枝先には仮頂芽が2個つき、赤褐色や紅紫色をしている{{sfn|鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文|2014|p=215}}。冬芽の下にある葉痕は三日月形からV字形で、[[維管束]]痕は3個ある{{sfn|鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文|2014|p=215}}。
<gallery style="margin-top:1em; margin-bottom:1em">
ファイル:CercidiphyllumJaponicumLeaves.jpg|葉
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== 利用 ==
[[ファイル:Cercidiphyllum japonicum502.jpg|thumb|140px|桂の無垢一枚板]]
用途として、[[庭木]]や[[街路樹]]、[[公園樹]]として植えられるほか、整った樹形からシンボルツリーとして広場やビルの中庭に植えられることもある{{sfn|林将之|2008|p=43}}。材は香りがよく、腐りにくくて耐久性があるので{{sfn|平野隆久監修 永岡書店編|1997|p=111}}、建築、家具、鉛筆などの材料に使われる。また、[[碁盤]]、[[将棋盤]]など様々な用途使われる{{efn|ただし、最高級品とされる[[カヤ]]に比べると、色は茶色が強く安値である。また6寸を超える厚盤はとりにくい。値段は榧の薄い脚付き盤(板目木表盤)と同じくらいになる。}}が、近年は市場への供給が減っており、貴重な木材となりつつある。
 
桂皮([[シナモン]])は、同じ桂の字を使うが[[クスノキ科]]の異種の樹皮である。
 
== 文化 ==
日本では直立する幹が仏像の一本づくりに使われたことから、カツラの前で手を合わせる習慣もある{{sfn|平野隆久監修 永岡書店編|1997|p=111}}
 
==著名なカツラ==
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{{Commons&cat|Cercidiphyllum japonicum|Cercidiphyllum japonicum}}
{{Wikispecies|Cercidiphyllum japonicum}}
* {{Cite book|和書|author =鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文|title =樹皮と冬芽:四季を通じて樹木を観察する 431種|date=2014-10-10|publisher =[[誠文堂新光社]]|series=ネイチャーウォチングガイドブック|isbn=978-4-416-61438-9|page =215|ref=harv}}
* {{Cite book|和書|author =西田尚道監修 学習研究社編|title =日本の樹木|date=2000-04-07|publisher =[[学習研究社]]|series=増補改訂ベストフィールド図鑑 5|isbn=978-4-05-403844-8|page =27|ref=harv}}
* {{Cite book|和書|author =林将之|title =葉っぱで調べる身近な樹木図鑑|date=2008-02-29|publisher =[[主婦の友社]]|isbn=978-4-07-258098-1|pages =42 - 43|ref=harv}}
* {{Cite book|和書|author =平野隆久監修 永岡書店編|title =樹木ガイドブック|date=1997-05-10|publisher =[[永岡書店]]|isbn=4-522-21557-6|page =111|ref=harv}}
* {{Cite book|和書|author=正木覚 |title=ナチュラルガーデン樹木図鑑|publisher=[[講談社]] |date=2012-04-26 |page=46 |isbn=978-4-06-217528-9 |ref=harv }}
* {{Cite book|和書|author =松倉一夫|title =葉・花・実・樹皮で見分ける! 樹木観察ハンドブック 山歩き編|year=2009|publisher =[[JTBパブリッシング]]|series=るるぶDo!ハンディ|isbn=978-4-533-07564-3|page s=20 - 21|ref=harv}}