「ペンタン」の版間の差分

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ペンタン程度の簡単な化合物は、きちんと冒頭で定義した方が良い。炭素数5つと入れれば良いだけなのだから。
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{{ Infobox 化合物
| name=ペンタン
| 画像=[[ファイルFile:N-Pentan.png|250px|ペンタン]]
| IUPAC名=Pentane | 別名=
| 分子式=C<sub>5</sub>H<sub>12</sub> | 分子量=72.15
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| 組成式=C<sub>5</sub>H<sub>12</sub> | 式量=
| 形状=無色の液体 | CAS登録番号=109-66-0 | SMILES=CCCCC
| 密度= 0.62638 (20℃20 ℃) | 相=液体
| 水への溶解度= 0.03 (g/100 mL) (20 ℃)<ref name="Hart_OrganicChemistry_8thEdition_translation_p216">Harold Hart(著)、秋葉 欣哉・奥 彬(訳)『ハート基礎有機化学(改訂版)』 p.216 培風館 1994年3月20日発行 ISBN 4-563-04532-2</ref>
| 水への溶解度= <!--g/100 mL ( ℃)-->
| 溶媒2= | 溶解度2= <!--g/100 mL ( ℃)-->
| 溶媒3= | 溶解度3= <!--g/100 mL ( ℃)-->
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| 出典=
}}
'''ペンタン'''(pentane)は、直鎖状の[[アルカン]]である。
 
'''ペンタン'''(pentane)は、炭素数5つの直鎖状の[[アルカン]]である。[[天然ガス]]や[[石油エーテル]]、[[ガソリン]]等に含まれている。
== 化学的性質 ==
[[ファイル:Pentane 3D ball.png|thumb|300px|ペンタンの分子モデル]]
常温・常圧では無色の[[液体]]で、芳香を有する。[[天然ガス]]や[[石油エーテル]]、[[ガソリン]]等に含まれている。ペンタンには分枝した[[構造異性体]]が2つ([[イソペンタン]]と[[ネオペンタン]])あり、これらと区別する場合は'''n-ペンタン'''('''ノルマルペンタン''')と呼ぶ。構造異性体を含めた総称としてペンタンと呼ぶ場合もあるが、IUPAC命名法でペンタンといえば直鎖状のn-ペンタンのことである。
 
== 名称 ==
揮発性が高く引火しやすい(引火点-49℃)。日本では[[消防法]]に定める第4類[[危険物]]の[[危険物#第4類|特殊引火物]]に該当する。
[[ファイルFile:Pentane 3D ball.png|200px|thumb|300pxleft|ペンタンの分子モデル]]
 
ペンタンも含めて、直鎖状のアルカンを'''ノルマルアルカン'''と総称する<ref><!--p.41は無関係なので、勝手に「pp.40-42」などとせぬ事。-->Harold Hart(著)、秋葉 欣哉・奥 彬(訳)『ハート基礎有機化学(改訂版)』 p.40、p.42 培風館 1994年3月20日発行 ISBN 4-563-04532-2</ref>。ペンタンには分枝した[[構造異性体]]が2つ、つまり、[[イソペンタン]]と[[ネオペンタン]]が存在し、構造異性体を含めた総称として、俗に「ペンタン」と呼ぶ場合もある。そこで、これらと区別する際に、'''<i>n</i>-ペンタン'''('''ノルマルペンタン''')と呼ぶ場合がある。
==利用==
 
しかしながら、IUPAC命名法でペンタンと言えば、直鎖状の''n''-ペンタンを指す。なお、構造異性体であるイソペンタンをIUPAC名で言えば2-メチルブタンであり、ネオペンタンをIUPAC名で言えば2,2-ジメチルプロパンと、きちんと区別できる。その上に、IUPAC名は化合物の構造を言い表している。
 
よって本稿では、これ以降、IUPAC名に従って記載する。
 
== 物理化学的性質 ==
常圧でのペンタンの沸点は36 ℃であり<ref name="Hart_OrganicChemistry_8thEdition_translation_p50">Harold Hart(著)、秋葉 欣哉・奥 彬(訳)『ハート基礎有機化学(改訂版)』 p.50 培風館 1994年3月20日発行 ISBN 4-563-04532-2</ref>したがって、常温・常圧でペンタンは液体として存在する。常圧での沸点が常温を上回る、最短の炭素鎖の直鎖状アルカンが、ペンタンである<ref name="Hart_OrganicChemistry_8thEdition_translation_p50" /><ref>T.W.Graham Solomons、Craig B. Fryhle 著、花房 昭静、池田 正澄、上西 潤一 監訳 『ソロモンの新有機化学 (上巻) (第7版)』 p.149 廣川書店 2002年10月5日発行 ISBN 4-567-23500-2</ref><ref group="注釈">参考までに、1気圧において、融点が25 ℃を上回る最短の炭素鎖の直鎖状アルカンは、[[オクタデカン]]である。つまり、オクタデカンよりも炭素鎖の長い直鎖状アルカンは、常温常圧で固体として存在する。逆に、本文から論理的に自明なように、[[ブタン]]よりも炭素鎖の短い直鎖状アルカンは、常温常圧で気体として存在する。</ref>。なお、液体であっても色は無い。また、ペンタンの揮発性は比較的高く、揮発してきたペンタンを、ヒトの嗅覚は感知できる。
 
アルカンであるため、水には溶解し難いものの、20 ℃の水100 mLに、ペンタンは0.03 gだけ溶解する<ref name="Hart_OrganicChemistry_8thEdition_translation_p216" />。
 
アルカンは一般に可燃物であり、酸素と化合して燃焼し、水と二酸化炭素に変化する。この反応は発熱反応であるため、アルカンの燃焼反応は、アルカンと酸素が供給され続ける限り、外部からエネルギーを与えずとも、勝手に持続し得る<ref>Harold Hart(著)、秋葉 欣哉・奥 彬(訳)『ハート基礎有機化学(改訂版)』 p.58、p.59 培風館 1994年3月20日発行 ISBN 4-563-04532-2</ref>。ペンタンもまた可燃物であるだけでなく、さらに、揮発性が高く、引火点が-49 ℃と引火し易いため、その取り扱いには注意が必要である。
 
揮発性が高く引火しやすい(引火点-49℃)。日本では[[消防法]]に定める第4類[[危険物]]の[[危険物#第4類|特殊引火物]]に該当し、法規制されている。
 
== 利用 ==
ペンタンには多くの利用法が知られており、以下に、その例の一部を記載する。
 
=== 発泡剤 ===
[[発泡スチロール]]製造に際して[[発泡剤]]として利用される。
 
=== 熱媒体 ===
安価で比較的安全な低沸点流体として、[[地熱発電]]の1種である[[地熱発電#バイナリーサイクル|バイナリー発電]]に於いて、[[蒸気タービン]]を回すための媒体として用いられこと場合ある。水より低温でも沸騰して蒸気になるため、水では沸騰しない低い温度の熱源を利用できるためである。
 
[[九州電力]][[八丁原発電所]]には日本国内初のバイナリー発電施設があり、[[2006年]]からペンタンを利用したバイナリー発電を行なっている。
要するに、比較的低い温度の熱源に、液化したペンタンを曝して沸騰させて気体にし、液体から気体になった際に体積が急激に膨張した圧力で、蒸気タービンを回し、その回転を利用して発電機を駆動するのである。なお、蒸気タービンを回した後は、何らかの方法で再びペンタンを液体に戻して、ペンタンは循環させて使用する<ref group="注釈">熱媒体として使い方が行われ得るのは、ペンタンだけではない事を、念のために断っておく。例えば、アルカンであれば、[[プロパン]]が冷凍庫での熱媒体として用いられる場合がある。また、蒸気タービンを回す熱媒体としては、他に、[[アンモニア]]なども利用され得る。</ref>。
 
[[九州電力]][[八丁原発電所]]には日本国内初のバイナリー発電施設があり、[[2006年]]からペンタンを利用したバイナリー発電を行なっ実施している。
 
=== 有機溶媒 ===
室温で液体として存在する直鎖状アルカンの中では、ペンタンが最も揮発性が高いため、実験室では蒸発させ易い溶媒として利用される場合がある。[[液相クロマトグラフィー]]の溶媒としても使われる場合がある。
 
室温で液体のアルカンの中では最も揮発性が高いことから、実験室では蒸発させやすい溶媒としてよく利用される。ペンタンはたいてい多くの非極性溶媒([[有機塩素化合物]]、[[芳香族]]、[[エーテル (化学)|エーテル]]など)と自由に混和する。しかし、ペンタンは非極性で官能基がことからため、非極性でアルキル鎖に富んだ化合物しか溶かせない。[[液相クロマトグラフィー]]の溶媒としてもよく使われている
===有機溶媒===
室温で液体のアルカンの中では最も揮発性が高いことから、実験室では蒸発させやすい溶媒としてよく利用される。ペンタンはたいていの非極性溶媒([[有機塩素化合物]]、[[芳香族]]、[[エーテル (化学)|エーテル]]など)と自由に混和する。しかし、非極性で官能基がないことから、非極性でアルキル鎖に富んだ化合物しか溶かせない。[[液相クロマトグラフィー]]の溶媒としてもよく使われている。
 
== 構造異性体脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
* [[イソペンタン]](2-メチルブタン)
=== 注釈 ===
* [[ネオペンタン]](2,2-ジメチルプロパン)
<references group="注釈"/>
=== 出典 ===
<references/>
 
== 外部リンク ==
* {{ICSC|0534|title=n-ペンタン}}
* [http://www.jaish.gr.jp/anzen/gmsds/0958.html モデルMSDS n-ペンタン](中央労働災害防止協会)
 
{{Chem-stub|へんたん}}