「Wikipedia:査読依頼/抗生物質 20210919」の版間の差分

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前回2021年9月23日(UTC)の私の書き込みに関する補足。それから、その後に書き込まれた内容に関しても少しだけ。
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::* 新規に 抗生物質(抗菌、防黴、抗腫瘍等を含めた概要+構造・作用機序からの分類)を作成(現「[[抗菌薬]]」の分類節は重複せざるを得ないか。)
::こんな処でしょうか。お待たせした割に出来の良くないお返事で大変申し訳無い。--[[利用者:Utataneko|Utataneko]]([[利用者‐会話:Utataneko|会話]]) 2021年9月25日 (土) 04:48 (UTC)
 
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:* 最初に、Karasunokoさんの2021年8月12日からの当該記事への精力的な加筆に敬意を表します。
:: 「抗生物質」の記事は歴史的に重要な記事の1つです。
:: また、用語として俗に言う「抗生物質」と、専門用語での「抗生物質(つまり、歴史的な定義)」とで混用が見られて曖昧ですから、それを整理する意味でも必要な記事です。そして、これを辞書に解説させる事は酷ですので、Wictionaryではなく、Wikipedia向きでしょう。だから「抗生物質と抗菌薬」の違いを、厳密に説明する事も、この記事の役割の1つと考えます。もちろん「抗微生物薬」との違いを説明する事も重要ですね。
:: そして、そもそも日本で「抗生物質信仰」とまで言われた現象が起きた理由の1つは、一般人が「抗生物質」を何にでも効くと誤解していた事が関係しているはずですし、いや、未だに誤解している日本人も見かけますけれど、いずれにしても、正しく理解していないと、プラセボとしてしか効かないどころか、耐性菌が身体に巣喰ったり、耐性菌の発生源になるなど、不利益を被るわけですから、社会的な意義も有る重要な記事の1つです。
:: ですのでWikipediaの項目の1つとして「抗生物質」の記事が残る事自体は、悪い事ではありません。むしろWikipediaに必要な記事でしょう。
:: また、これらの事を鑑みると、いつか誰かが手入れをしないとイケナイ記事の1つと言って良いでしょう。その記事への加筆ですので、敬意を表します。
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:: Karasunokoさんが2021年9月25日に仰いました「抗菌薬に内容を移した結果抗生物質の内容が薄くなるというのはできれば避けたい」との話ですけれど、全く心配いりません。薄くなるどころか、書かなければならない事の方が多いですから。
:: それに、この後、私が抗菌薬に移行すべき内容と、抗生物質に残すべき内容を分離しますけれど、半分程度は残ります。
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:: さて、前回2021年9月23日の書き込みは、私に時間が無く、充分な書き込みができませんでしたので、補足します。
:: ただし、基本的な私の意見は変わりません。今回は分量が有るので、<strong>前回の私の書き込みが、私の意見の要旨</strong>だと考えていただいて結構です。しかしながら、前回の書き込みは、何かを参照する時間すら私に無かったので、私が充分に根拠を示せていないため、私の意見に根拠を示す事を目的として、今回の補足を行った次第です。
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:: まず、2021年9月22日にYasuakiHさんが仰っていた「主軸が定まらない印象」という御感想の原因の1つは、やはり「抗生物質」を曖昧に扱っている点が影響していると考えます。
:: 例えば、10年以上も前の書籍、
::* 西島 正弘・後藤 直正・増澤 俊幸・河村 好章(編)『薬学領域の病原微生物学・感染症学・化学療法学(第2版)』 p.287 廣川書店 2009年11月20日発行 ISBN 978-4-567-52131-4
:: ですら「抗菌薬(抗生物質・合成抗菌薬)の定義」の節で「抗生物質や合成抗菌薬という用語で、厳密に分けるよりも、<strong>一括して'''抗菌薬'''と呼ぶほうが現実的である</strong>。」としています。
:: そうしないと、何が起きるかと言えば、いちいち、産生する微生物が何なのかを確認して、人工的に化学修飾が行われていたら半合成抗菌薬と呼び、そもそも人工合成であった場合には合成抗菌薬と呼ばねばなりません。もはや、構造活性相関や作用機序など、そっちのけの、カルトクイズや、問題のための問題の世界です。さらに、抗生物質の記事でない場合に「抗生物質」という言葉を使用すると、怖ろしい事に、いちいち「抗菌薬として使われる抗生物質」とか「抗真菌薬として使われる抗生物質」とか書く羽目になります。原因が、抗生物質≠抗菌薬、抗生物質≠抗真菌薬、抗生物質≠抗菌薬+抗真菌薬と、どのように組み合わせても、厳密に区別した場合には、両辺を「=」で結べないからなのは、お判りいただけるでしょう。何しろ、医薬品として使えなかった抗生物質も多数存在するのですから。
:: なお、注意していただきたい点は、一括して「抗生物質」と呼ぼうとは<strong>書かれていない</strong>点です。学術的ではないからでしょうね。または、もはや実情に合わないからでしょう。
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:: また、この本の節の名称に「抗菌薬(抗生物質・合成抗菌薬)」と書かれている事は、一般人向けの書籍でしばしば登場する「抗生物質」という言葉が、しばしば抗菌薬と混同されているだけでなく、歴史的に日本語では、それこそ医療の場などですら抗菌薬の意味で使われていた事も包含しているのでしょう。
:: ……と、勝手に私が「医療の場などですら」と言っても信用に足らないので、根拠として、40年前に出版された書籍で、良い書籍が有りますので、以下に挙げましょう。
::* 田中 信男・中村 昭四郎(著)『抗生物質大要―化学と生物活性(第3版増補)』 p.3 東京大学出版会 1984年10月25日発行 ISBN 4-13-062020-7
:: 出版元が東京大学出版会だという点も、根拠として示すには好都合でしょう。東京大学には学部が揃っていますから。この本には「抗生物質という言葉は、必ずしも(本来の)定義どおりには使用されていない。」とまで書かれています。この『抗生物質大要』の3ページには「高等植物のつくる抗菌作用を示す物質も、抗生物質の中に含まれることがある。」とまで書かれている位です。挙句の果てに『抗生物質大要』の3ページには「(抗菌作用を示さなくとも)微生物の産生する生物学的活性を示す物質の総称」として、この「抗生物質」という言葉が用いられる可能性すら想定してありました。このように、この言葉が、どんどん拡大解釈されてきた歴史はあるわけです。恐らく、この20世紀末頃が、日本語で「抗生物質」という言葉が最も混乱して用いられていた時代なのでしょう。
:: これを鑑みると、それこそ言語学者の力を借りる事も、この記事には必要なのかもしれません。
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:: ハッキリ言って、この「何でもアリ」になりかけた時代の「抗生物質」について説明せよ言われても、私には荷が重過ぎます。これは私事ですけれど、知人に消毒や抗菌に関連して、私が「抗菌薬と抗生物質の違い」を説明した際に、質問を受けて答えに苦慮した事の1つに「酵母が嫌気的に産生するエタノールが抗生物質に含まれるのかどうか」が有ります。しかし、その事について書かれた文献を、私は見た事が無いです。さらに、これに関連して、表皮常在細菌叢が皮脂を原料に産生する有機酸によるpH低下が、他の細菌がヒトなどの皮膚に巣喰う事を阻害している事は、よく知られていますけれど、これが「抗生物質」に含まれるのかについても、私は知りません。ところが「何でもアリ」になりかけた時代に書かれた『抗生物質大要』の3ページの記述を見ると、どのように書くか、少なくとも私は迷ってしまいます。
:: まぁ『抗生物質大要』は40年も前の書籍ですし、そろそろ歴史的な話として片付けてしまって良いと思いますけれど。
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:: ともあれ。
:: ここまで長々と書いた内容は、全て「[[抗生物質|抗生物質の記事]]」で説明すべき、または、説明しても良い内容です。
:: そして、この中で「抗菌薬」の記事で説明できる部分は、厳密には抗生物質と抗菌薬は異なるのに、一般人は混同している場合があるといった程度の話でしょう。したがって、抗生物質と抗菌薬の2つの記事は、差別化できます。ですから、抗生物質と抗菌薬の記事は、統合すべきではありません。あくまで、<strong>本来は抗菌薬の記事に書いておくべき、抗菌薬の作用機序などを、抗菌薬の記事に移行させるべき</strong>というのが、私の意見です。
:: なお「抗生物質信仰」の話については、抗菌薬ではなく、抗生物質の記事に書いておいた方が良いでしょう。何しろ、ウィルスには効かないのに、一般人は感染症なら何にでも効くとばかり「抗生物質」を求めたのですから。彼らは「抗菌薬」を正しく理解していたわけではないのですから。
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:: さて。
:: こうして、ようやく用語に関する解説を終えた所で「抗生物質」の記事を書き進める際に、1つの困難にぶつかります。
:: すなわち、この何でもアリになりかけた曖昧な定義のままで、抗生物質の作用について1つの記事で解説する事は、分量的にも不可能だという事です。少なくとも、私には良いアイディアが無いです。
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:: それよりも、せっかく抗菌薬や抗真菌薬や抗ガン剤や、その他の様々な記事が別に作られているのですから、内部リンクの機能を使って、そちらの記事に説明を任せれば良いのです。一部は前述しましたが、さらに、後述するように、各種の医薬品の記事では説明できない、抗生物質の記事でないと説明できない内容まで有るのです。ハッキリ言えば、いくらWikipediaには字数制限は無いとは言え、他の記事に任せられるような内容を、この総論的な「[[抗生物質|抗生物質の記事]]」に書いておく余裕など無いのですね。
:: ですから、<strong>用語に関する解説を終えた段階で、この記事では、狭義の抗生物質に絞って、解説をしてゆかないと、とても1つの記事で書き切れない</strong>ですし、何を書いて良いのか判らない、<strong>他の記事と充分に差別化できない状態に陥ります</strong>。
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:: ……なお、私が勝手に「分量的に不可能」と言っても根拠が薄弱だと御考えなら、専門書を購入して読んでください。それこそ「抗微生物薬」を専門に解説する書籍で、21世紀に入って発行された書籍の場合、抗菌薬・抗真菌薬・抗ウィルス薬は、別々に章立てして解説している本しか、少なくとも私は知りません。1冊の本にできる程の分量です。そのような書籍が複数出版されている事を以って、根拠の提示としては充分でしょう。
:: ついでに、日本の病院や調剤薬局には、ほぼ必ず1冊は有って、毎年買い替える事も多い、医学書院の『治療薬マニュアル』で、私の手元に有る物で最も古い物が2016年版ですけれど、その章立てを見ても「抗菌薬」「抗真菌薬」「抗ウイルス薬」「抗癌剤」は、別々の章で扱われています。5年前の書籍でも、この状態です。作用機序が全く違いますし、使い所も、作用点も、全く違う薬物ですから、当然ですよね。
:: そして、これらを一緒くたに解説しても、まとまりの無い、用語の定義がハッキリしない、曖昧な記述の記事になるでしょう。仮に上手くまとめ上げても、Wikipediaは多数の人間に加筆修正が許されていますから、いずれ曖昧な記述の記事に変化してゆくと思います。特に日本語は、主語の安易な省略を許容していますので、益々、曖昧な記述の記事になってゆく懸念があります。恐らく、良質な記事とは正反対の方向へ向かうでしょう。
:: 以上を鑑みると、抗菌薬を「抗生物質」として解説する事は、実情に合わないと言えると思います。何しろ、抗生物質の定義を曖昧にしないと、抗生物質の定義から外れる抗菌薬が多数出てきますからね。
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:: なお、私が、この「[[抗生物質|抗生物質の記事]]」に手を出してこなかった大きな理由の1つは、私が書いても、抗菌薬の一部(ペニシリン、エリスロマイシン、キタサマイシン/混合物で用いた点が興味深い、スピラマイシン/畜産で使われた上に、交叉耐性が問題になり易いマクロライド系抗菌薬、ストレプトマイシン、ゲンタマイシン、カナマイシン/アミノグリコシド系抗菌薬の中で例外的に30Sと50Sの両方のリボソームサブユニットに結合する、アストロマイシン/他のアミノグリコシド系抗菌薬と構造が異なる、スペクチノマイシン/アミノグリコシド系抗菌薬に分類する場合もあるものの全く構造が異なり3つの環が縮環している、エンビオマイシン/他のペプチド系抗菌薬と異なり、産生菌が''Streptoverticillium''、バシトラシン/産生菌が''Bacillus''属と珍しい、オキシテトラサイクリン、クロラムフェニコール、バンコマイシン/VREの登場には畜産が関わっていると言われており掘り下げられる、テイコプラニン/産生菌が''Actinoplanes teichomyceticus''と他と違う、フシジン酸、リンコマイシン、ホスホマイシン、サイクロセリンなど)と、βラクタマーゼ阻害薬の一部(クラプラン酸/抗菌活性は弱いものの、βラクタマーゼを強く阻害する、Streptomyces clavuligerusが産生する物質/私が[[スピラマイシン]]などの加筆で用いた『微生物薬品化学(改訂第4版)』 p.210 を参照)と、抗真菌薬の一部(アムホテリシンB、ナイスタチン、グリセオフルビン、シッカニン)と、駆虫薬のごく一部(アベルメクチン/エバーメクチンとも片仮名転記される。''Streptomyces avermitilis''が産生する、細菌や真菌には無効で、線虫などに打撃を与える。有名なイベルメクチンの元化合物。)と、免疫抑制薬の一部(シクロスポリン/元々は抗真菌作用を有した物質とされていたそうです。『微生物薬品化学(改訂第4版)』 p.140 を参照)と、抗ガン薬の一部(ドキソルビシン、アクラルビシン、ブレオマイシン、アクチノマイシンD、マイトマイシンC)辺りの話を、「main」のtemplateで、それぞれの記事に転送しつつ、簡単に記載して終わりになってしまうからです。
:: あとついでに言うと、例えば、クロルテトラサイクリンは化学修飾されているため、抗生物質ではありません。これを抗生物質の記事に書いてはおけないのです。書くなら、抗菌薬の記事に書かねばなりません。ハッキリ言って、かなり手間がかかります。恐らく、この記事だけのローカルルールとして、検証を楽にするため、また、ミスを防止するために、初出の場所に、その抗生物質を産生する微生物をcommentとして埋め込まないと、間違うと思います。
:: さて、では、合成抗菌薬や半合成抗菌薬を除いて、今、挙げた「抗生物質」について、ただ並べて記載されてあっても「それぞれの記事が有れば、それで充分」という形に、落ち着くと思います。少なくとも、私に良いアイディアは有りません。作用点も、作用機序も、構造も、薬のジャンルも、バラバラですから。今挙げた「抗生物質」を調べただけで、すぐに「さっさと、それぞれの構造や作用機序に合わせて分類して、個別に記事を書こう」と思うのではないでしょうか。一体、どうやって、これらの薬物を全て関連させて、筋道立てて、1つの記事にまとめるのでしょう?
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:: 何が言いたいのかというと、医薬品として使用されている「抗生物質」を、<strong>構造活性相関や作用機序、ついでに、臨床での用途などの方向から、この「[[抗生物質|抗生物質の記事]]」の記事を成長させる事は、無理筋ではないか</strong>という話です。
:: 確かに、近年は学問が細分化され過ぎていて、分野横断的な視点が持ち難いからこそ、浅く広くという記事が有っても良いのかもしれませんけれど、論述する内容が曖昧で、ここまで雑多な内容になる事が目に見えている状態では、単なる暗記のための薬品名集のようになってしまうだけで、理解が深まり難いため、これらの方向から加筆を進めても、記事としての完成度は向上し難いと考えます。
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:: また、確かに俗に「抗生物質」と呼ばれている範囲に触れる必要が有る点は確かなのですけれど、もしも、<strong>このまま俗に「抗生物質」と呼ばれている範囲も含めて曖昧に用語を使ったまま記述を続けると、それこそ[[抗菌薬|抗菌薬の記事]]への統合が妥当な状態に、益々近付きます</strong>。俗に「抗生物質」と呼ばれているのは、まさに「抗菌薬」だからです。
:: ですから、抗菌薬の記事の記述が脆弱な今のうちに、つまり、記述を抗菌薬の記事へ移行させた後の統合作業が楽なうちに、現状の「[[抗生物質|抗生物質の記事]]」の内容の中で、抗菌薬に関する記述の大部分を移行させる事を、強く薦めます。
:: それを行っても、今から記述するように、他に書く事が沢山有るからです。
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:: 例えば、ここで、<strong>歴史に目を向けると「抗生物質」として記述する事に意味が出てくる</strong>ように、私は思います。
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:: 私は歴史は完全に専門外ですので、ハッキリ言ってよく知りませんけれども、私の知る限り、牛痘接種などのワクチンでの感染症対策や、フェノールなどの消毒薬での感染症対策に続いて、合成抗菌薬のサルファ剤が出て、そして、抗生物質の中でグラム陽性菌に対して抗菌薬として用いられるペニシリンの発見者が「自分が作ったわけではなく、自然が作ったのを、自分が見付けただけ」といったような事を言ったとされる抗生物質が出てきて、しかし、間もなく耐性菌の問題が出てきて化学修飾が行われて半合成抗菌薬が作られ、しかし、それに対しても耐性菌が出てきて、また、微生物と一口に言ってもグラム陽性の細菌にしか充分に効かないので、他の抗生物質の検索なども行われ、色々な「抗微生物薬」が、抗生物質、半合成品、合成品を問わずに出てきたと記憶しています。
:: この流れを整理して、さらに、耐性菌の出現時期も併せて記載すると良いのではないでしょうか。
:: なお、抗生物質の登場前後の話は、例えば、
::* Wolfgang U. Eckart(著)原題『Geschichte der Medizin』(ドイツ語、2009年)
:: に書いてあるそうで、好都合な事に、その日本語訳書籍として、
::* Wolfgang U. Eckart(著)今井 道夫・石渡 隆司(監訳)『医学の歴史』 東信堂 2014年12月10日発行 ISBN 978-4-7989-1254-7
:: が日本で出版されたので、このような書籍を出典に使う事も手だと思います。この日本語版の『医学の歴史』のp.292が概説、p.295~p.303が、合成抗菌薬と抗生物質の登場前後の流れが、判り易く書かれていて、その後の事がp.304~p.309辺り位まで書かれていました。
:: また例えば、
::* Steve Parker(著)原題『Kill or Cure』(英語、2013年)
:: には、大変に読み易い日本語訳書籍が出版されており、
::* Steve Parker(著) 千葉 喜久枝(訳)『医療の歴史 ― 穿孔開頭術から幹細胞治療までの1万2千年史』 創元社 2016年1月1日発行 ISBN 978-4-422-20238-9
:: なら、比較的手に入り易いと思います。
:: この日本語版の『医療の歴史 ― (略)』のp.252~p.259が抗生物質の登場の頃について大変判り易く書いてくれています。ただ、できれば、この本のp.206~p.215の消毒薬の所と、必要ならば、この本のp.196~p.203の微生物学の黎明期の話なんかも関連させて読むと、より判り易いと思います。
:: なお、1点だけ、この日本語版の『医療の歴史 ― (略)』の欠点を挙げますと、原文では過去形で書かれているはずの歴史的過去の記述が、日本語文に有り勝ちな「伝記小説風」の現在形で書かれていますので、その点には気を付けてください。Wikipediaは百科事典であって、文学ではないので、時制を曖昧にする表現は、そぐわないですから。過去に起きて完了した事は、きちんと過去形で書いておかないと、ただでさえ曖昧になり易い日本語の欠点が、増幅されます。ついでに、Wikipediaでは、すぐに古くなる表現は使わない事が推奨されていますので、その意味でも、過去形で書く事を強く薦めます。
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:: ただし、これら2冊の書籍は、あくまで私が、たかだか数冊に目を通した中で、特に判り易く、この「[[抗生物質|抗生物質の記事]]」の執筆に向くと思われた書籍の例に過ぎません。ですから、他にも良い本が有ると思いますけれど、そこは私にとって完全に門外の話ですので、勘弁してください。
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:: さて、ここからは、些細な事も含まれますけれど、仮に歴史的な内容に書き換えたとしても、依然として「抗生物質」の記事に残るであろう記述について、5点書いておきます。
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:: 1つ目は「天然の誘導体から半合成されるものもある」は、用語の使用の仕方が良くありません。有機化学などで多用される誘導体という用語は大変便利で、様々な書き方ができてしまうのですけれど、それでも、ここは「天然物を原料に半合成された、天然物の誘導体も有る」などと書く方が良いでしょう。例えば、ある天然物Aの誘導体A+を、さらに人為的に化学修飾して作ったA++も、やはり天然物Aの誘導体ですから。
:: また「天然物の誘導体」ならば有り得る言い方ですが、この「天然の誘導体」という言い方は論理的に有り得ません。それは天然に存在する何らかの天然物に類似した構造を持った、天然物です。それこそ「天然物を原料に」と書けば済む話です。本当は「誘導体」などという曖昧性の高い用語ではなく、「天然物を人工的に化学修飾した物も有る」とハッキリ書いた方がスッキリするように思います。
:: ……と、するべき事が明確に判っていて、何もしないというのも問題かと思いましたので、この1つ目だけは、私が、この後、編集して修正しておきます。他は、時間が無いので、勘弁してください。
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:: 2つ目は「抗生物質」の中には、外用する場合もある点です。
:: 例えば、ブレオマイシンは、注射でも用いますけれど、軟膏剤も有ります。商品名は挙げませんけれど、日本でも販売されてきたので、簡単に確認できるはずです。
:: 他にも、クロラムフェニコールに至っては、内服もしますし、各所に外用もします。日本でも、経口投与用の錠剤、点眼剤、点耳剤・点鼻剤、膣錠、軟膏剤、外用液剤と、様々な剤形が販売されてきたので、これも簡単に確認できるはずです。このように「抗生物質」に当たる薬物も、外用で用いる例は有るわけです。
:: もちろん、消毒薬が抗生物質を含めた抗菌薬とは区別される点に異論は有りませんけれど、現状の「アルコールなどの消毒薬 (disinfectant) も微生物を死滅・不活化させる働きを持つが、一般に強い毒性を持つために服用はできず、抗生物質を含めた抗菌薬とは区別される」という書き方では、違いを説明した事には、ならないように思います。
:: 無論、毒性のために生物には使用できないグルタルアルデヒドや過酢酸のような物もありますけれど、エタノールのように常識的な量の内服では濃度が低過ぎて効果が出ない物も多数ありますよね。常識的な量を内服して吸収され、分布した後の低濃度でも、効果が出ないと内服用の抗菌薬としては使用できないわけです。ここは書き方を変えた方が良いように思います。
:: なお「アルコール」には、確かに、2-メチルプロパノールやエタノールなども含まれますけれど、化学の用語としてのアルコールは非常に広い範囲を含み、アルコールならば消毒薬という命題は成り立ちませんので、この「アルコールなどの消毒薬」という表現は、論理的に不正確です。消毒薬の狭い分野で「アルコール」と言えば、それは2-メチルプロパノールやエタノールなどの限られた化合物を指すわけですが、Wikipediaではもっと広い分野で用語の整合性を取る必要が有ると考えます。
:: 検証にも支障を来たしますから、慣用名でも構いませんので、きちんと物質名を正確に記載してください。
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:: 3つ目はネオマイシン(neomycin)について掘り下げても良いかもしれないという事です。ネオマイシンの話は、単に加筆のhint程度なので、気軽に読んでください。
:: ネオマイシンは、ネオマイシン耐性遺伝子を併用して、動物の細胞への遺伝子導入などに利用されたはずです。もっとも、ネオマイシンと一口に言っても、産生菌も''Streptomyces albogriseolus''や''Streptomyces fradiae''などが挙げられますし、これはネオマイシン類(neomycins)であって、色々と種類が有るので、どこまで書くのかという問題は有ります。また、この遺伝子工学の分野を、私は概論程度しか知らないので、良い文献を挙げられません。
:: ただ、日進月歩の分野なので、下手に書くと、すぐに記述が古くなる分野とは言え、かなり昔に完成されて、しばらく使われて、今は別な方法が用いられているはずなので、歴史としてネオマイシンの話は記述できると思います。
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:: 4つ目は、毒性などのために、<strong>医薬品として使用できなかった抗生物質に関する記述が、圧倒的に不足している</strong>点が気になります。
:: 現状では、[[ピューロマイシン]]の記述が有る場所以外は、そのような物質が存在する事を周知の事実として知っている者が、冒頭定義文の中で、それについて言及されているのだと頷きながら読み進めるのみでしょう。しかし、この医薬品として使用できなかった抗生物質、例えば、私が最近執筆した記事では[[メシマイシン]]がそれですけれど、そのような抗生物質について記述しておかないと、特に「抗菌薬」の記事に統合してしまえば充分だと言わる恐れもあるのではないでしょうか。
:: ただ、臨床応用されなかった抗生物質は、極端に資料が減りますので、執筆の難度は高いですから、困難が伴います。
:: それでも、この4つ目に挙げた、<strong>医薬品として使用できなかった抗生物質の話は、抗菌薬や抗真菌薬などの医薬品の記事には書き難い内容ですので、まさに「抗生物質」の記事に書くべき内容</strong>です。
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:: 最後に挙げる5つ目は、現状の記事の欠点の1つと言って良いと、私は考えます。それは「交叉耐性」について2021年9月23日の時点で記述が、ほとんど無かった点です。これは、良質な記事を目指すならば、避けて通れない内容と考えます。交叉耐性について記載しないと、交叉耐性を周知の事実として知っている者でなければ、耐性出現の深刻さと、それが加速度的に進む事などを充分に理解できないのではないでしょうか。その後の加筆で、幾分増補されましたけれど、まだ書くことは多いように思います。
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:: 長くなりましたので、最後にまとめますと、<strong>この記事は記述の方向性を、歴史の方面に変えた方が、いわゆる「良質な記事」に近付く</strong>と思います。異様に肥大化した抗菌薬の詳細な話は、[[抗菌薬|抗菌薬の記事]]に転記しないと、バランスに欠くと考えます。何しろ、抗生物質と抗菌薬はイコールではないのですから。
:: もし用語の解説をした上で、歴史を書いただけでは不足と御考えなら、抗生物質ならば全て医薬品という命題も<strong>成り立ちません</strong>ので、抗菌薬などの医薬品を主題とした記事では「実用化前に排除された」といった程度に書くしかない、<strong>医薬品にできなかった抗生物質についてなど、この記事だからこそ詳述できるはずの内容を書いていった方が良い</strong>でしょう。そうすれば、もはや私も含めて誰も「他の記事に統合できるのではないか」などと言ったりもしないはずです。--[[利用者:G-Sounds|G-Sounds]]([[利用者‐会話:G-Sounds|会話]]) 2021年10月1日 (金) 21:02 (UTC)