「デ・ハビランド ジプシー」の版間の差分

削除された内容 追加された内容
ページ「De Havilland Gipsy」の翻訳により作成
タグ: 曖昧さ回避ページへのリンク コンテンツ翻訳 コンテンツ翻訳バージョン2
 
編集の要約なし
1行目:
 
 
[[ファイル:De Havilland-Gipsy II-001.jpg|サムネイル|ジプシーII]]
'''デ・ハビランド ジプシー'''(De Havilland Gipsy)は、1927年にフランク・ハルフォードが設計した航空機用空冷直列4気筒エンジンで、[[デ・ハビランド DH.60 モス]]に搭載されていた[[ADC シーラス]]を代替するために開発された、当初は[[排気量]]5リットルの正立直列5気筒エンジンとして開発されたが、後の改良型は排気量と出力を増大させたうえで倒立エンジンとして設計された。
17 ⟶ 15行目:
 
=== DH.71 タイガー・モス・レーサー ===
 {{Main|デ・ハビランド DH.82 タイガー・モス}}
ハルフォードとデ・ハビランドはすぐさま{{Convert|135|hp|abbr=on}} を発揮する試作エンジンの開発で合意し、これを{{Convert|100|hp|abbr=on}} にディレーティングしたものが生産モデルとなった。ハルフォードがエンジンを開発する間、デ・ハビランドはそのエンジンを載せるテストベッドとして小型レース機 DH.71 を設計した<ref name="Bransom">Bransom 1991, p.25.</ref>。2機のDH.71が製造され、いささか自信過剰気味の'''タイガー・モス'''と命名されたが、レースでの戦績は無難なもので、唯一見るべき成果はその重量クラスにおける世界最高速度記録 {{Convert|186|mi/h|km/h|abbr=on}} を達成したことであった。DH.71はレースでは成功しなかったが、新エンジンの開発という目的は達成された。{{Convert|100|hp|abbr=on}} を発揮する新エンジンの量産モデルはジプシーと名付けられた。
 
=== 技術的な説明特徴 ===
シーラスと同様、ジプシーは空冷直列4気筒エンジンで、重量はわずか{{Convert|300|lb|kg}}、定格出力は2,100rpm時に{{Convert|98|hp|abbr=on}} 98hp(73kW)、ボア×ストロークは{{Convert|4.5|in|abbr=on}}×{{Convert|5|in|abbr=on}} で排気量 {{Convert|319|cuin|l|abbr=on}} であった。まもなく改良されて{{Convert|120|hp|abbr=on}} を発揮するジプシーIIとなり、どちらを搭載したものも[[デ・ハビランド DH.60 モス|DH.60G ジプシー・モス]]と呼ばれた。ジプシーは特性が素直でメンテナンスも簡単なエンジンで、ジプシー・モスが多くの長距離飛行をこなしたことで信頼性も高いことが証明された<ref>Bransom 1991, p.26.</ref>。
 
=== ジプシー・メジャーの誕生 ===
 {{Main|デ・ハビランド ジプシー・メジャー}}
[[ファイル:GipsyIII.JPG|右|サムネイル|シャトルワース・コレクションに保存されているデ・ハビランド ジプシーIII]]
ジプシーは優れたエンジンであったが、1つ大きな欠点があった。正立エンジンだったため、クランク・シャフトの上にあるシリンダー・ブロックが胴体上部から突き出てパイロットの視界を妨げていた。クランク・シャフトはプロペラに直接接続されるため、ハードランディングしたときや不整地でプロペラが地面に接触して破損しないようにする都合上、エンジンの位置を下げることもできなかった。解決策は、一部のパイロットが「キャブレターと燃料タンクがさかさまにさえならなければ、モスで背面飛行できる」と自慢していたことからもたらされた。この言葉を聞いたハルフォードは、ジプシーを倒立させたうえで、[[キャブレター]]を反転(倒立させたものを反転させているので、キャブレターは正立)させてテストすることにした<ref>Bransom 1991, p.28.</ref>。これは正立時と同様に完璧に動作したので、ジプシーIとIIの生産ラインはすぐさま倒立4気筒エンジンのジプシーIIIの生産ラインに切り替えられた。ジプシーIIIを搭載した機体はDH.60G-IIIとなったが、ジプシーIIIはまもなく[[デ・ハビランド ジプシー・メジャー|ジプシー・メジャー]]に発展したため、DH60G-IIIはモス・メジャーと呼ばれるようになった<ref>Bransom 1991, p.29.</ref>。
 
DH.60の成功により、デ・ハビランド・エアクラフトは新たなスポーツ航空機と練習機の生産にも取り組むようになり、その機体にはすべて自社のジプシーシリーズが搭載された。さらには他の航空機メーカー向けにもジプシーを製造するようになり、特にジプシー・メジャーはイギリスのみならず海外の多くの軽飛行機で選定されるエンジンとなった。その中で特に注目すべき機体は、第二次世界大戦中に練習機として数多のパイロットを育てた[[デ・ハビランド DH.82 タイガー・モス|DH.82 タイガー・モス]]である。
98 ⟶ 96行目:
[[ファイル:Blackburn_B2_flying.jpg|右|サムネイル|動態保存されているブラックバーン B-2]]
 
{{columns-list|colwidth=22em|
* エアスピード フェリー
* アロー アクティブ
131 ⟶ 130行目:
* スパルタン クルーザー
* ウェストランド=ヒル プテロダクチル
}}
 
=== ジプシーIV ===
 
* デ・ハビランド DH.81 スワロー・モス
 
=== ジプシーR ===
153行目:
== 仕様(ジプシーI) ==
 
*
{{レシプロエンジン仕様|<!-- If you do not understand how to use this template, please ask at [[Wikipedia talk:WikiProject Aircraft]] -->
<!-- Please include units where appropriate (main comes first, alt in parentheses). If data are missing, leave the parameter blank (do not delete it). For additional lines, end your alt units with </li> and start a new, fully formatted line with <li> -->|バルブ=[[OHV]]|出力重量比=0.3 hp/lb|圧縮比=5:1|出力=85 hp (1,900 rpm、海面高度)|燃料システム=ゼニス製キャブレター|冷却システム=[[空冷]]|燃料=石油 (非航空用グレード燃料も使用可)|重量=285 lb (129.3 kg)|タイプ=空冷直列4気筒|全高=29.9 in (759.5 mm)|全幅=20 in (508 mm)|全長=40.5 in (1028.5 mm)|体積=318.1 in<sup>3</sup> (5.21 L)|ストローク=5.0 in (127 mm)|シリンダー直径=4.5 in (114.3 mm)|出典=<ref name="Bransom">Bransom 1991, p.25.</ref><ref name= "Lumsden">Lumsden 2003, p.71.</ref>}}
 
*
 
== 参考文献 ==
 
=== ノート出典 ===
{{Reflist}}
 
 
=== 参考文献関連書籍 ===
{{refbegin}}
* Bransom, Alan. ''The Tiger Moth Story, Fourth Edition''. Shrewsbury, UK: Airlife Publishing Ltd., 1991. {{ISBN|0-906393-19-1}}.
* Lumsden, Alec. ''British Piston Engines and their Aircraft''. Marlborough, Wiltshire: Airlife Publishing, 2003. {{ISBN|1-85310-294-6}}.
{{refend}}
 
== 外部リンク ==
 
* [http://www.rafmuseum.org.uk/research/collections/engine-de-havilland-gipsy-1/ de Havilland Gipsy at the Royal Air Force Museum]
 
{{DEFAULTSORT:ではひらんとしふし}}
[[Category:航空用レシプロエンジン]]
[[Category:イギリスの航空機用エンジン]]