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{{Otheruses|神話}}
[[Image:Lilith (John Collier painting).jpg|thumb|『[[リリス (絵画)|リリス]]』([[ジョン・コリア (画家)|ジョン・コリア]]/作、1892年)<br/>体に大蛇を巻きつけて恍惚の表情を浮かべるリリスが描かれている。]]
'''リリス'''
旧約聖書では『[[イザヤ書]]』34:14に言及があるのみで、そこではリリス({{lang|he|לִּילִית}}, 標準[[ヘブライ語]]ではリリト Lilit)は夜の妖怪か動物の一種であった{{Refnest|group="注"|「夜の魔女」〔[[口語訳聖書|口語訳]]、[[新共同訳聖書|新共同訳]]〕あるいは screech owl (鳴きたてる[[フクロウ]]<ref>[[フレッド・ゲティングズ]] 『悪魔の事典』 大瀧啓裕訳、青土社、1992年、428頁。</ref>)〔[[欽定訳聖書|King James Version]]〕と翻訳されている}}。古代[[メソポタミア]]の女性の悪霊[[リリートゥ]]がその祖型であるとも考えられている<ref>[[ジェフリー・バートン・ラッセル|J. B. ラッセル]] 『悪魔―古代から原始キリスト教まで』 野村美紀子訳、1984年、教文館、87頁。</ref>。[[ユダヤ教]]の宗教文書[[タルムード]]および[[ミドラーシュ]]においては、リリスは夜の妖怪である。しばしば最初の女とされるが、この伝説は中世に誕生した。[[アダム]]の最初の妻とされ、アダムとリリスの交わりから悪霊たちが生まれたと言われる<ref name="Bischoff">エーリヒ・ビショフ 『カバラQ&A―ユダヤ神秘主義入門』 林睦子訳、三交社、1995年、88-90頁。</ref>。そのリリスの子どもたちはヘブライ語で[[リリン]]とも呼ばれる<ref>ゲティングズ 『悪魔の事典』 429頁。</ref>。アダムと別れてからもリリスは無数の悪霊たち([[シェディム]])を生み出したとされ、13世紀の[[カバラ]]文献では悪霊の君主である[[サマエル]]の伴侶とされた([[#カバラ|後述]])。[[サタン]]の妻になったという俗説もある<ref>森瀬繚 『いちばん詳しい 「堕天使」がわかる事典』 SBクリエイティブ、2014年、71頁。</ref>。
現代ではリリスは[[女性解放運動]]の象徴の一つとなっている。
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== アッカド神話 ==
=== キスキル
リリスは、シュメール語の『[[ギルガメシュ叙事詩]]』序に見える女性の妖怪 キ
リリスの現れる箇所はS. N. クレイマーの訳によると、
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闇の娘リリスは住処を幹に作っていた
}}
=== バーニーの浮彫 ===
[[Image:Lilith Periodo de Isin Larsa y Babilonia.JPG|thumb|[[バーニーの浮彫]], c. 1800 BCE - British Museum, ME 2003-7-18,1]]
上に引用したギルガメシュ叙事詩のくだりは、おおよそ前1950年ごろの[[バーニーの浮彫]](ノーマン・コルヴィル・コレクション(Norman Colville collection))に当てはめられることがある。そこには脚が鳥の鉤爪になり、両脇に[[フクロウ]]を従えた姿の女性が彫られている。
この同一視における重要なポイントは鳥の脚とフクロウである。この浮き彫りはおそらくギルガメシュ叙事詩の妖怪キシキルリルラケかその他の女神を表現したものだろうと考えられているが、実際のところリリスとの関係は希薄であり、おそらく[[欽定訳聖書]]におけるリリスの訳語 screech owl (キーキー鳴くフクロウ、あるいは[[コノハズク]]か[[メンフクロウ]])にひきずられたものだろう。非常に類似した同時期の浮き彫りは[[ルーヴル美術館]]に所蔵されている(AO 6501)。
=== メソポタミアのリリートゥ ===
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[[アルスラン・タシュ]]の「リリス除魔法」([[アレッポ]]国立博物館)と呼ばれている資料は、偽造ではないかと疑われているものの、もし真正なものだとすればだいたい前7世紀ごろの飾り板であり、そこには[[スフィンクス]]のような怪物と牝[[オオカミ]]が子供を食っている様子が描かれ、[[フェニキア文字]]でスフィンクスのような怪物をリリ(Lili)と注記している。
リリスとフクロウとの関連がいつごろに遡るのかについてはわからないが、おそらくこの鳥が吸血性の夜の精霊だとみなされたことによるものだろう。この習俗は[[古代ギリシア]]において広まり、復讐の女神[[エリーニュス]]や夜の女神[[ヘカテー]]にそれを確認することができる。
== 聖書におけるリリス ==
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