「クー・シー」の版間の差分

'''クー･・シー'''（Cu Sith　、'''カーシー'''）は、[[スコットランド]]に伝わる[[イヌ|犬]]の[[妖精]]<ref>草野巧 『妖精』 [[新紀元社]] 35頁。</ref>。名もそのまま[[ゲール語]]で「犬の妖精」を意味する（クー＝犬、シー＝妖精）。

全身に長い暗緑色の毛を生やし、丸まった長い尾を持つ牛並みに大きな犬で、妖精達の番犬とされている<ref>草野巧 『幻想動物事典』 新紀元社 111頁。</ref><ref name="Y">『妖精』 36頁。</ref>。人間を襲う事もあると言いう。全く音をたてず、滑るようにして移動する<ref name="Y" />。

呼称は「クー・シー」の他、「カー・シー(Cir　sith)（Cir sith）」<ref>キャロル・ローズ『世界の怪物・神獣事典』[[原書房]]　 [[2004年]]　 107頁</ref>「ケー・シー(Ce（Ce sith)sith）」<ref>キャロル・ローズ『世界の怪物・神獣事典』173頁</ref>とも書かれる。

「2歳の牛」ほどの大きさの体を覆う全身の体毛は、背が暗緑色、脚部は薄い緑色、耳は濃い緑で<ref>日本民話の会外国民話研究会訳『世界の犬の民話』三弥井書房　 [[2009年]]　 79頁</ref>、尾は長く、背中に上がったまま丸まる、あるいは平たく編んで下にたらされ、妖精達のすむ丘の内側(（ブルー「Bru」と呼ばれる)）に繋がれていて、誰かの侵入に対して放たれる、とされている。

なお、広く分布している「犬型の妖精」は、黒妖犬（[[ブラックドッグ (亡霊)|ブラックドック]]）と呼ばれるように黒く、ほかのケルト圏、 [[イングランド]]で伝えられる「妖精丘(（ノール「Knoll」と呼ばれる)）に住む犬」は「赤い[[耳]]に白い体毛」を持つとされる。

妖精の女性に従い、人間の持つ雌牛の、捜索や搾乳、妖精丘の外側(（シーヘン「Sithean」と呼ばれる)）への追い込みを行う。また、時折妖精丘(（そのものはノウ「Knowe」と呼ばれる)）から出て彷徨し、岩場の裂け目で寝泊りすることもあるといわれる<ref>キャサリン・ＭM・ブリッグズ『妖精事典』[[冨山房]] [[1992年]]　 87頁</ref>。その際、人への[[死]]の前兆として<ref>キャロル・ローズ『世界の妖精・妖怪事典』原書房　 [[2003年]]　 121頁</ref>現れることもあるという。

獲物を追う際は、絶えず吠えることをせず、3度物凄いうなり声をあげる。その声は遠くからも聞こえるほどだという<ref>『[[水木しげる漫画大全集]]』 補巻3 媒体別妖怪画報集(3) 　[[2017年]]　 [[講談社]]　ｐ544 p544</ref>。

<!-- John gregorson campbell(campbell（ジョン・グレゴーソン・キャンベル)）著 『superstition of the highland and islands of scotland』(『妖精事典』では『スコットランド高地地方と島々の迷信』と訳される　『世界の犬の民話』にも同著が挙げられている) j.maclehose Glasgow 1900年刊 30～31頁 -->