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== 腫瘍抗原 ==
{{Main|腫瘍抗原}}
癌細胞では正常では発現しないはずの[[抗原]]が産生されることがあり、これを腫瘍特異抗原(TSA)と呼ぶ。一方、正常組織にも癌組織にも発現している抗原は腫瘍関連抗原(TAA)と呼ばれる。これらの腫瘍抗原は細胞の有する遺伝子に変異が起こった結果生じたタンパク質であり、その産生機構については(1)[[ウイルス]]産物(例:[[EBウイルス]])、(2)[[癌遺伝子]]あるいは[[癌抑制遺伝子]]における変異、欠失などの変化などが提唱されている。これらの腫瘍抗原は下記に示すような細胞により認識され、腫瘍細胞は排除されるはずであるが、実際には[[免疫寛容]]と呼ばれる機構が働いて免疫系が腫瘍細胞をうまく認識できないことも多い。そもそも免疫寛容とは自己抗原に対する免疫反応が抑制される現象である。免疫寛容は免疫系の自己抗原に対する特異性に関与しており、免疫寛容の機序としては[[T細胞]][[クローン]]の除去や[[アネルギー (免疫学)|アネルギー]]等といったものが知られている。しかし、この免疫寛容が腫瘍抗原に対しても働くことがあり、癌細胞は生体の持つ免疫機構から免れるための機構となっている。その他にも癌細胞が抑制性の[[サイトカイン]]である[[TGF-β]]や[[IL-10]]を放出して免疫系を負に制御する免疫寛容機構も知られている。