「ワイエルシュトラスの因数分解定理」の版間の差分

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無限積の収束、注意追加
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上記の方法を整函数へ拡張する方法を考える。一般の整函数の場合、数列 <math>\{c_n\}</math> が[[有限集合|有限]]でない場合が有り得る。つまり、零点が可算無限個存在する場合もあり得る(例えば、<math>sin\ z</math>)。もし、無限数列<math>\{c_n\}</math>が有界であれば、必ず[[集積点]]を持つ([[ボルツァーノ=ワイエルシュトラスの定理]])ので、[[一致の定理]]により<math>\{c_n\}</math>を零点とする函数<math>f(z)</math>は、複素平面全体で恒等的に 0 である。
 
従って、函数<math>f(z)</math>が、<math>\{c_n\}</math>を零点とし、かつ複素平面全体で恒等的に 0 ではないためには、<math>\{c_n\}</math>は有界であってはならないことになる。この場合、<math>\{c_n\}</math>が有限集合の場合と同様に、函数<math>f(z) = \,\prod_ntextstyle \prod_{n = 1}^\infty (z-c_n)</math>を考えても、<math>n</math>が一定値を超えれば、因子<math>(z-c_n)</math>の絶対値は全て 1 を超えるので、この[[無限積]]は収束しない。
 
発想を変えて、函数<math>f(z) = \,\prod_ntextstyle \prod_{n = 1}^\infty (1- \tfrac{z}{c_n})</math>とすればどうであろうか(<math>\{c_n\}</math>は0を含まないものとする)。この無限積は、もし収束するのであれば、数列<math>\{c_n\}</math>を零点として持つ。また、因子<math>(1- \tfrac{z}{c_n})</math>は <math>n\to\infty</math> のとき 1 に漸近して行くので、収束する可能性はある。なお、無限積は z に関係なく恒等的に 0 に収束する場合は、収束とはみなされない点も考慮する必要がある。
 
実は、単純にこの形では無限積の収束は保証できないが、各因子<math>(1- \tfrac{z}{c_n}\,)</math>にある係数(zの函数)を掛けてから無限積を取ると収束することを証明するのが、本定理「ワイエルシュトラスの因数分解定理」である。次に示す、ワイエルシュトラスの'''基本因子'''(elementary factors)<math>E_p(z)</math> を使えば、<math>(1- \tfrac{z}{c_n})</math>と係数を掛けた因子は<math>E_p(\tfrac{z}{c_n})</math>と表される。