「熱暴走」の版間の差分

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なんらかの外因(急激に温度が上昇するなど)で[[集積回路]]の[[ダイ#die|ダイ]]の上で[[クラック]]や[[ひずみ|歪み]]による構造破壊が発生し、低温では導通状態にあるものの一定温度を超えると破壊された部分の導通が失われ、装置は異常動作を起こす。異常動作した後、集積回路を搭載した装置(例えば[[コンピュータ]])を一定時間冷やすと機能を回復するため、全く違う現象であるものの熱暴走の呼称が使われた。
 
現在の集積回路は温度エージングによってこれらの欠陥が含まれている製品を後行程で取り除いているため、現在は極めて稀な故障となった。またこのような故障が許されない装置では回路は[[恒温槽]]に置かれたり、あるいは動作に関係なく発熱と[[冷却]]が一定温度で拮抗状態となるように設計されている([[MOSFET|N-MOS]]プロセス技術等)。砂漠地帯での運用が想定される軍事用コンピュータ<ref>[https://landandmaritimeapps.dla.mil/Downloads/MilSpec/Docs/MIL-STD-883/std883.pdf Mil-Std-883G: Department of Defense Test Method Standard for Microcircuits [http://www.aspentechnologies.com/resources/mil_std_883g]</ref>、超低温から超高温まで激しい温度変化に曝される[[エンジンコントロールユニット|ECU]]、航空宇宙向けや[[人工衛星]]で採用されている。
 
その他、大規模集積回路で採用されている[[歪みシリコン]]技術は、結晶格子の大きさが異なる[[シリコン]]と[[ゲルマニウム]]の[[合金]]によって[[電子]]の移動速度を加速し、応答速度を改善する技術である。しかし、温度変化に非常に鈍感である(100[[セルシウス度|℃]]以上になっても問題はない)シリコンに比べて、ゲルマニウムは温度に敏感で、温度が上昇すると固定されていなければならない回路定数が変化してしまい正常な機能を喪失する恐れがある。このため歪みシリコン技術を使用した集積回路の動作温度は比較的低温(35 - 65℃)で稼働させる様、回路上に温度センサーを多数配置してダイ全域の温度を監視して通電状態を制御したり、非常に強力な冷却装置(ヒートシンクなど)を併用する事が多い。