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'''ヘンリー・マーティン・リーランド'''（'''Henry Martyn Leland''', [[1843年]][[2月16日]] - [[1932年]][[3月26日]]）は[[アメリカ合衆国|アメリカ]]の二大[[高級車]][[ブランド]]として知られる[[キャディラック]]・[[リンカーン (自動車)|リンカーン]]を創業した[[自動車]]技術者
==若い頃==
[[バーモント州]]で生まれたリーランドが、織機工場の見習いをしていた[[1861年]]に[[南北戦争]]が勃発、リーランドは北軍に志願したが若年過ぎるという理由で拒否される。ちょうどその頃南北戦争によって増産が必要にも関わらず、工員不足に悩んでいたスプリングフィールド兵器会社から誘いを受けたリーランドは同社に移籍。銃器の世界では早くから行なわれていた精密工作による部品の規格化の重要性を肌で学んだ。その後[[コネチカット州]]の[[コルト]]社の工場などで経験を積んだ後、[[1870年]]に友人のフォークナーと共同で自分の工場を立ち上げ、精密工作機械の製造・販売に乗り出す。
==オールズモビル社==
リーランドが自動車製造に手を染めるきっかけになったのは、[[ランサム・E・オールズ|ランサム・オールズ]]が経営していた[[オールズモビル]]社がリーランドの工場から[[歯車|ギア]]を仕入れていた事である。はじめはギアのみの仕入れだったものが、オールズモビル社の工場が火災にあい、エンジンもリーランドの工場から仕入れるようになった。
オールズモビルのエンジンの出力は3馬力とされていたが、彼が培ってきた精密工作技術によってエンジンを製作したところ、設計そのものには手を加えなかったにも関わらず、3.7馬力を出したという。
==キャディラック社==
[[1902年]]、精密工作の権威として名が売れていたリーランドは[[ヘンリー・フォード・カンパニー]]のチーフエンジニアの職を打診される。この会社はその名の通り[[ヘンリー・フォード]]をチーフエンジニアとしていたが、大衆車を目指したいフォードと
リーランドのエンジンは精密であっただけでなくコンパクトでリーランドは手でもって部屋に運び込んで見せたほどだった。感銘を受けた出資者はフォードの後釜としてリーランドをチーフエンジニアとし、フォード設計のシャーシにリーランドのエンジンを載せた車両を製作をはじめる。リーランドは自身の名前を社名とすることを断り、デトロイトを開拓したフランス貴族の名を推奨。会社はキャディラックと改称し、その名にふさわしい高級車の製造に乗り出す事になる。
==部品の互換性==
キャディラックのチーフエンジニアとなったリーランドはそれまでに培った精密工作技術によって、[[マイクロゲージ]]を基準とした自動車部品の互換化確立に尽力する。自動車部品の互換が不能だった時代には自動車が故障するとその車に合わせてパーツを特注せざるをえず、修理には大きな手間隙を要していた。自動車部品の互換が可能になった事で世界中どこで壊れようと同一部品に交換するだけでよくなり、自動車修理にかかる時間が大幅に短縮できるようになった。自動車部品の互換化による恩恵はそれだけでなく、生産性向上にもつながる事になる。つまり、部品が互換可能になれば別工場で大量に部品を作りだめする事も可能になったからである。後にフォード・モーターが流れ作業による大量生産が確立できたのも、自動車部品の互換化という前提が存在したからゆえと言えるだろう。
==リンカーン社==
リーランドは[[1909年]]にキャディラックを[[ゼネラルモーターズ]](GM)に450万ドルで売却したものの、[[第一次世界大戦]]期までキャディラックの責任者としての役割を果たす。[[1917年]]、リーランドは航空エンジン生産の是非をめぐってGM首脳と対立して辞職、新たに[[リンカーン・モーター・カンパニー]]を立ち上げる。部下はリーランドの名前をつけることを要望していたが、リーランド自身はこのときもそれを断っている。リンカーン社は戦時中は航空エンジンの生産に携わったが、戦争が終わると高級車メーカーに転身した。
第一次世界大戦後は不況の影響もあり、高級車の時代ではなくなった。リンカーン社は経営破たんし[[1922年]]にはオークションによりフォード・モーターに買収される。自動車産業界の歴史の中においても破格の安値だったといわれている。以降は、フォード・モーターの高級車ブランド名として存続しその名を現在に伝えている。
==その他自動車産業界での交流==
* GMの社長となった[[アルフレッド・スローン]]が、[[ハイアット・ローラー・ベアリング]]社の社長の時代に、リーランドの精密機械についての講習を受ける機会があり、そのときの会話が、大量生産のあるべき姿を導き出すきっかけとなったといっている。
* [[レジスター|電動レジスター]]を発明した[[チャールズ・ケタリング]]は、1910年に電気式の[[セルモーター|セルフ・スターター]](イグニッション・システム)を開発しリーランドに売り込んだ。1912年、キャディラックはそれまで使われていたマグネトーに換えて世界初の電気式で自動のセルフ・スターターを搭載した車となった。ケタリングは、のち[[GM]]の研究所を率いた。
[[Category:自動車技術者|りいらんとへんりい]]
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