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Blue Eyes (会話 | 投稿記録)
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「企業会計等における費用・損失と損金のうちの費用・損失との関係」加筆
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 [[法人税法]]では、[[益金]]における[[権利確定主義]]とともに、[[費用]]の帰属事業年度を決定する[[法的基準]]となる[[債務確定主義]]が採用されている。
 [[法人税法]]第二十二条第三項第二号にいう「債務の確定」とは、当該[[事業年度]]終了の日までに[[費用]]に係わる[[債務]]が成立し、金額が確定していること、あるいは当該[[事業年度]]終了の日までに金額を[[合理的]]に算定できることを[[要件]]とする。なお、[[債務]]が成立するためには、かかる[[法律効果]]の発生原因たる[[法律要件]](契約等)の存在することを要する。
 
 なお、この概念に対して、会計学上の[[発生主義]]がある。
 
 
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 [[法人税法]]及び[[租税特別措置法]]は、一定の[[支出]]及び[[損失]]について、[[損金経理]]を条件として[[損金]]の額に算入することができるとしている。[[損金経理]]とは、[[法人]]がその確定した[[決算]]において、[[原価]]、[[費用]]または[[損失]]としてそれらの額を[[経理]]することをいう。
 
 
==企業会計等における費用・損失と損金のうちの費用・損失との関係==
 
 いわゆる[[借用概念]]については、[[租税法]]自身において特別に文言の定義を定めない限り、特に密接に関連・結合している[[民法]]・[[商法]]等の取引法を含むその他の法令で用いた法文の意義と同一に解して、法全体の秩序と調和するように解釈しなければならない。これに加えて、[[法]]の根底には、事実たる慣習の尊重、[[社会通念]]、[[一般常識]]を基礎とする[[条理]]が存在している。
 
 損金を規定した[[法人税法]]第二十二条第三項は、その各号の規定において[[会計]]上の用語を借用概念として用いているが、これがすなわち、そのまま会計上の[[費用]]あるいは[[損失]]を意味するものではない。[[法人税法]]第二十二条第三項に定められた[[損金]]たる[[原価]]・[[費用]]・[[損失]]は、それらが[[租税法]]としての[[法人税法]]に取り込まれた以上は、[[租税法律主義]]の明確性の原則から、これを法的な視角から捉えなければならない。[[会計]]上の[[費用]]が直ちに[[法人税法上]]の[[損金]]のうちの[[費用]]となるのではない。
 
 従って、例えば支払利息についても、[[法人税法]]第二十二条第三項第二号にいう「債務の確定」の[[要件]]たる「当該[[事業年度]]終了の日までに[[費用]]に係わる[[債務]]が成立し、金額が確定していること、あるいは当該[[事業年度]]終了の日までに金額を[[合理的]]に算定できること、そして、[[債務]]が成立するための発生原因たる[[法律要件]](契約等)が存在すること」という法的な基準を充足することによって、この[[費用]]を法的な視点から客観的に把握することが可能となり、これを[[損金]]のうちの[[費用]]として計上することができるものと解すべきである。当該[[費用]]が、[[会計]]上において[[支払利息]]として[[経理]]されているという事実をもって、これを[[損金]]のうちの[[費用]]として捉えてはならない。あくまでも、法的な視角から[[損金]]を構成する[[原価]]・[[費用]]・[[損失]]を捉えるのである。つまり、[[会計]]上の費用・損失の存在と[[法人税法]]上の[[損金]]たる費用・損失という[[概念]]は、それぞれ独立して別個に存在するものである。よって、会計上の費用・損失と法人税法上の損金たる費用・損失は、本質的に異なるものであるから、これら両者の差異を見いだしてそれを意義付けるという関係にはない。