バルビツール酸(バルビツールさん、: barbituric acid)とは、ピリミジン構造を持つ複素環式化合物の一種で、別名をマロニル尿素 (malonylurea) と呼ばれる無色無臭の固体。熱水に溶ける。中枢神経系抑制作用が知られる一連のバルビツール酸系薬剤の親化合物にあたる。バルビツール酸自身には中枢神経系抑制作用の薬理活性は知られていない。

バルビツール酸
バルビツール酸の構造式
識別情報
CAS登録番号 67-52-7
KEGG C00813
特性
化学式 C4H4N2O3
モル質量 128.09
外観 無色固体
密度 ?, 固体
融点

248 (二水和物[1])

特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

発見・合成 編集

1864年、ドイツの化学者アドルフ・フォン・バイヤーマロン酸尿素を酸のもとで反応させて得られる生成物がバルビツール酸であることを見出した(下式)[2]

 

その後、マロン酸ジエチルが基質として用いられるようになった[3]

α炭素上の水素は反応性が高く、クネーフェナーゲル縮合などの炭素-炭素結合生成反応を容易に起こすことができる。

リボフラビンの合成に利用される。

関連項目 編集

参考文献 編集

  1. ^ Merck Index 14th ed., 963.
  2. ^ Baeyer, A. "Mittheilungen aus dem organischen Laboratorium des Gewerbeinstitutes in Berlin: Untersuchungen über die Harnsäuregruppe" Ann. Chem. Pharm. 1864, 130, 129-175. DOI: 10.1002/jlac.18641300202
  3. ^ Dickey, J. B.; Gray, A. R. Organic Syntheses, Coll. Vol. 2, p.60 (1943); Vol. 18, p.8 (1938).(オンライン版