両手挽鋸(りょうてびきのこ)は、2人で取り扱うように設計された大型の二人挽鋸(ふたりびきのこ)などとも呼ばれ、チェーンソーが普及するまで林業の伐木などに用いられた。

オレゴン州で使用された両手挽鋸

概要 編集

チェーンソーの中には、2人で取り扱う必要があるほど大型のものもあるが、人力鋸の場合は、2人用のクロスカット・ソー英語版が主に重要な地位を占めた。通常1~4m程度で、両端に握りが付いており、ジャイアント・セコイアを伐採する場合などは、より長い鋸を作成するために、鋸刃を端から端までろう付けすることがあった。

両手挽鋸を使用するには、使用者の技術も必要だった。一緒に鋸は、木を挟んでのこぎりを交互に引っ張った。切り口が閉じ始めて鋸が挟まれてしまう場合、鋸刃の後ろにくさびを挿入し、これを防止した。下側から切る必要があった場合は「アンダーバッキング」と呼ばれる吊り下げられた丸太の下からの切断方法も実施された。

両手挽鋸は主に2つの種類に分類される。木を伐採するために使用される伐採型鋸と、伐採された木を材木に切るために使用されるバッキング型鋸で、 2つの鋸の設計は、わずかに異なっており、伐採のこぎりは刃が狭く、ウェッジを簡単に挿入できるのに対し、バッキング型は刃が広く、強度が高かった。

両手挽鋸は両方向に切断するように設計された。切断しながらおがくずを取り除くには、慎重な刃の設計が最も重要だった。

両手挽鋸は古代ローマ時代から使用されていたが、ヨーロッパで一般的になったのは15世紀半ばからだった。アメリカでは、17世紀半ばにはクロスカットのこぎりが使用されていたが、19世紀後半には、伐採木の斧に取って代わられていた。

日本の鋸は、西洋で用いられたものと設計は異なるものの、やはり2人で使用するものがあった[1]

脚注 編集

  1. ^ 両手挽鋸 - 結婚式の「丸太切り」”. 藤田丸鋸工業. 2021年6月20日閲覧。

参考文献 編集

関連項目 編集