反対称関係(はんたいしょうかんけい、: antisymmetric relation)とは、集合 X に関する二項関係 R であって、次の条件を満たすものをいう。

すなわち、X の任意の元 xy に対して「x から y への関係、および y から x への関係がともに成り立つならば、x = y である」ような関係のことである。この条件を反対称律: antisymmetric law)という。

また、反対称律は次の条件と同値である。

すなわち、反対称関係とは「x からy への関係が成り立ち、かつ xy が等しくないならば、y から x への関係は成り立たない」ような関係であると定義してもよい。

反対称律に加え、反射律および推移律が成り立つ二項関係を、順序関係という。したがって、一般に順序関係は反対称関係である。例えば、実数における大小関係 (≦) や集合における包含関係 (⊆) は順序関係であるから、反対称関係でもある。順序関係でなく、反対称関係である関係の例としては、等号なしの大小関係 (<) が挙げられる。

反対称関係は対称関係の論理的否定ではない。対称関係でも反対称関係でもある関係(等号=など)もあり、また対称関係でも反対称関係でもない関係もある。対称関係でないものは非対称関係と呼ばれる。なお、ある変換により符号が反転する性質を反対称性というが、この概念とも直接の関係はない。

参考文献 編集

  • Lipschutz, Seymour; Lipson, Marc (2007), Schaum's outline of theory and problems of discrete mathematics, Schaum's outline series (3rd ed.), New York: McGraw-Hill, ISBN 978-0-07-151101-8, https://books.google.com/books?id=9KtFcFa81FcC&pg=PA29 
    • Lipschutz, Seymour『離散数学 コンピュータサイエンスの基礎数学』成嶋弘 監訳、オーム社〈マグロウヒル大学演習〉、1995年3月24日。ISBN 978-4-274-13005-2 

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