High Definition Audio(ハイディフィニション オーディオ)はAudio Codec 97 (AC'97) の後継規格としてインテルが提唱したサウンドインターフェースの標準規格である。2004年に最初のRev.1.0が発表され、現在のPCサウンド機能の主流となっている。一般にHD Audio(エイチディー オーディオ)またはHDA(エイチディーエー)と略称されることが多く、本項においても以降はHD Audioと略称する。開発時はコードネームAzalia(アザリア)と呼ばれ、一部マザーボードBIOSではそちらで表記されている製品も存在する。

アナログコーデックチップの例 (Realtek ALC882)

概要 編集

1996年に制定されたAC'97は短期間で広く普及しPCサウンド機能の主流となっていた。しかしAC'97規格上では高ビットレートコンテンツへの対応などに限界があり、拡大するPCのマルチメディア用途に対応する為の後継規格としてHigh Definition Audioがインテルにより制定された。従来のAC'97と同様に論理コントローラとアナログコーデックを分離する構造を採っている。アナログコーデックチップはAC'97と外見的に酷似しているが電気的な互換性は無い。また、システム基板上に実装されるフロントオーディオジャック用ピンヘッダの配列もAC'97とは互換性が無い。

規格上ではAC'97を圧倒し本格オーディオ機器にも匹敵する高音質データを扱えるスペックであるが、実際の音質にはハードウェアの実装が大きく影響する。例えば、低コストで作られたオンボード実装であればオーディオ専用機器と比べてノイズの遮蔽や安定した電力供給が難しいため、低いS/N比しか得られない。また、HD Audioは規格上の上限値としてステレオ192kHz/32bitのデータストリームまで対応しているが、全てのHD Audio対応機器がこのようなストリームを扱えることを意味するものではない点に注意が必要である。

HD Audio規格の特徴 編集

  • 192kHz/32bitまでのデータストリームに対応
  • 96kHz/32bitでの8チャンネルサラウンドに対応
  • 15ストリームまでの並行処理に対応
  • アレイマイクによる複数チャンネルでの同時入力に対応
  • 48Mbit/s帯域の専用バスでアナログコーデックと論理コントローラをリンク
  • 接続端子の割り当て変更機能によるユーザビリティの向上
  • ハードウェア互換性の向上

普及 編集

HD Audioは2004年に発表されたインテル社のI/O コントローラー・ハブ ICH6に搭載されて登場した。その後も搭載製品は増え、2006年ころにはほぼAC'97を置き換えることに成功している。

HD Audio規格準拠アナログコーデックチップを製造している主なメーカー 編集

関連項目 編集