空中バス(くうちゅうバス、簡体字: 巴铁; 繁体字: 巴鐵; 拼音: Bā Tiě英語: Transit Elevated Bus, TEB)は、中華人民共和国で計画されていた交通機関

概要

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中華人民共和国で2010年頃から計画されていた交通機関で、バス地下鉄を一体化させたという乗り物[1]。2010年11月12日アメリカ合衆国雑誌TIME』が発表した2010年のベスト発明50に選出された[2]

2016年の第19回中国北京国際科技産業博覧会で模型が公開されて注目を集める。電気で動く大型のアーチ型バスで、2本の車道をまたいで走るという乗り物。この乗り物は2層構造になっており、上の部分に人間が乗車して、下の部分は空洞になって乗用車が走れるようになっている。平均時速は40キロメートルで、1200人が乗車できる[3]

2016年8月には河北省秦皇島市で実物大の試作車による走行試験が行われる。試作車の幅は7.8メートル、長さ21.6メートル、高さ4.8メートルで車体下部は高さ1.8メートルのトンネルのようになっている。動力は電気で、最高時速は60キロメートルで、道路の両端に設けられた軌道上を走行する。この日は1両のみが公開されたが、最大3両編成で運行でき、1度に1200人を運ぶことができる[4]。だがこの時点でメーカーの関連会社は元本保証や高配当をうたい個人投資家などからバスの開発費用を集めるということを行っているため、大掛かりな投資詐欺ではないかと指摘する声も存在していた[5]

完成していた試験路線は長さは300メートルで、試運転を目的として建設されており、一時は運行されていたものの突然人員を撤退させて放置されていた。政府側は何度も製造側に掛け合い再検討をしようとしたが、製造側は知らんぷりであった。放置されたままの試験路線は交通に影響を与えており、夏休み前に通行の流れを保証するために2017年6月に解体されることが決まった[6]。メーカーは撤去ではなく日本に運んで試験を行うと述べていた[7]

2017年7月に運営会社のトップら32人が違法に資金集めをしていた疑いで逮捕された。車両自体も技術的な問題を抱えているとされ実現の見通しが立たなくなった[8]

脚注

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  1. ^ 1時間目 (王小燕&白昊)次世代交通「巴鉄」の模型が登場、「中日青年友好歴史の旅」に参加して③ - 中国国際放送局”. japanese.cri.cn (2016年5月31日). 2024年6月18日閲覧。
  2. ^ 絶賛から一変、中国「空中バス詐欺事件」の顛末”. 日経ビジネス電子版 (2016年9月9日). 2024年6月18日閲覧。
  3. ^ 中国オリジナルの車をまたいで走るバス「巴鉄」が公開_新華網日本語”. jp.xinhuanet.com (2016年5月27日). 2024年6月18日閲覧。
  4. ^ 【小塩史人のワールド独談】中国凄すぎ! 奇想天外な立体空中バスTEB 「お急ぎの方は車両の下をおくぐり下さい…」でも曲がれるの?(1/2ページ)”. 産経新聞:産経ニュース (2016年8月23日). 2024年6月18日閲覧。
  5. ^ 渋滞お構いなしの「空中バス」 “詐欺”の指摘が…”. テレ朝news (2016年8月17日). 2024年6月18日閲覧。
  6. ^ 話題の「空中バス」撤去決定、中国”. www.afpbb.com (2017年6月26日). 2024年6月18日閲覧。
  7. ^ 中国の「空中バス」がついに撤去・・・? 「撤去じゃない、日本に行く」=中国報道 (2017年7月2日)”. エキサイトニュース (2017年7月2日). 2024年6月18日閲覧。
  8. ^ 中国「空中バス」頓挫 運営トップら逮捕、不正な資金集め容疑”. 日本経済新聞 (2017年7月5日). 2024年6月18日閲覧。