自画像 (ティントレット)
『自画像』(じがぞう、仏: Autoportrait、英: Self-Portrait)は、イタリア・ルネサンスのヴェネツィア派の巨匠ティントレットが1588年ごろ、キャンバス上に油彩で制作した絵画である。マザラン枢機卿などに所有された後、オルレアン・コレクションに入ったが、1785年にマリー・アントワネットのためにサン=クルー城といっしょに購入された[1]。現在、パリのルーヴル美術館に所蔵されている[1][2]。
フランス語: Autoportrait 英語: Self-Portrait | |
作者 | ティントレット |
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製作年 | 1588年ごろ |
種類 | キャンバス上に油彩 |
寸法 | 62.5 cm × 52 cm (24.6 in × 20 in) |
所蔵 | ルーヴル美術館、パリ |
画家は、この作品をドイツの金細工職人で画商でもあったハンス・ヤコプ・クーニッヒ (Hans Jakob König) のために描いた[1]。クーニッヒはヴェネツィア在中で、芸術家の肖像画コレクションを所有していた[1]。
この絵画は、ティントレットの60代末の自画像である[1][2]。ほかにもいくつかもっと若いころの自画像もあるが、真正面から捉えているのは本作だけである[2]。自身を鏡で観察しているように表し、老いというものをまったく隠していない[1]。目蓋は下がっているものの、射るような眼差しは揺るぎない決意、真の天才としての自意識を明らかにしている[1]。画面には何の道具立ても自己顕示的なポーズもなく、画家は闇の中から白髪白髯の顔のみを浮かび上がらせている[2]。肖像画の歴史からみて、画期的な作品といえるであろう[2]。この肖像はまた、贖い主イエス・キリストを表した図像を想起させる[1]。
脚注
編集参考文献
編集- 中山公男・佐々木英也責任編集『NHKルーブル美術館IV ルネサンスの波動』、日本放送出版協会、1985年刊行 ISBN 4-14-008424-3