貝おほひ』(かいおおい)は、松尾芭蕉の俳諧集。1672年寛文12年)刊。 松尾芭蕉がまだ故郷にあって、宗房と名乗っていた頃の30番俳諧合であり、処女出版でもある。

序詞 編集

その序には、「小六ついたる竹の杖、ふしふし多き小歌にすがり、あるは流行言葉の一くせあるを種として、云捨られし句どもを集め 右と左にわかちて つれぶしにうたはしめ 自らが短き筆の辛気ばらし 清濁高下を記して 三十番の発句合せを思い(中略)当所あまみつおほん神(天満宮)のみやしろの手向草となしぬ 寛文十二年正月二十五日 伊賀上野松尾氏宗房 釣月軒にして自ら序す」と書いてある。時に芭蕉29歳。

収録作品 編集

中にある芭蕉の句には、「きても見よ甚兵衛が羽折花ごろも 女夫鹿や毛が揃うて毛むづかし」などがある。「芝三田二丁目 中野半兵衛開板」とあるから江戸で出版されたと推察されるが、原本は伝わらない[1]

脚注 編集

  1. ^ 柳亭種彦が注をいれたものがあるが、写本である。