質料(しつりよう、古代ギリシア語: ὕλη、ヒュレー)は、古代ギリシアの概念で、形式をもたない材料が、形式を与えられることで初めてものとして成り立つ、と考えるとき、その素材、材料のことをいう。

アリストテレス哲学における「質料」 編集

アリストテレスはこの概念について『自然学』で解説している。

たとえば、建築家が「木造の家」をつくるとき、材木が質料(ヒュレー)である。この受動的な存在である材木にはたらきかけ、形を与えることによって、「木造の家」が現実化する。プラトン的なイデア観においては、イデアは現実の外にあってエロース(愛)の対象となった。しかし、アリストテレスにおいては、「イデアは個物に内在する」ととらえる。上記の例でいうと、材木を用いて家をつくるその家のかたちがイデアなのであり、イデアは家を建築する場=実在の家に内在化する。このようなイデアを、プラトンの考えと区別し、エイドス(形相)と称した。こうして、ヒュレーとエイドスの関係で事物を考えることによって、事物の運動発展を論理的に説明できるようになった。

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